欧米では、石油原動機車の販売を禁止する方向が加速している。2030年代までに、多くの国や地域で、石油車の利用ができなくなる。

 表向きの理由は、CO2地球温暖化の阻止だが、ホンネは、日本の石油原動機車を追放し、欧米が自動車業界の主導権を取り戻すことだと噂されている。



 もう一つは、ビルゲイツ・アルゴアらの「ダボス陰謀団」よる「グレートリセット」計画がある。

 世界中の人間活動のエネルギーを電気に一元化して、原発でそれを作りだし、コンピューターで社会を一括管理し、人類支配の特権階級を固定することだと考えられる。



 だが、それはロシアによる第三次世界大戦が起きたとき、最初に使われるのがEMP爆弾で、あらゆる電気電子機器、そして生活インフラが破壊され、100年以上前のライフスタイルに戻ることを強いられると考えれば、現代人に待ち構える未来は地獄しかない。

 おそらくダボス陰謀団(ユダヤ人超富裕層)だけは、EMPでも破壊されない堅牢なインフラを準備しているのだろうが、人類の9割は、インフラ崩壊によって死滅すると考える必要がある。結局、彼らの狙い通りなのだが。

 https://www.businessinsider.jp/post-199054



 米ニューヨーク州、2035年までにガソリン車販売禁止へ 2022年9月30日

 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN29EGS0Z20C22A9000000/



 【ニューヨーク=堀田隆文】米東部ニューヨーク州は29日、2035年までにガソリン乗用車の販売を禁止する方針を明らかにした。西部カリフォルニア州の環境当局も35年までにガソリンのみで駆動する新車の販売を禁止する規制案を8月に決定している。米国では東部、西部の主要州から電気自動車(EV)の普及を後押しする規制が広がる。



 キャシー・ホークル知事が29日付で、州の当局などに向けた指令を出した。乗用車(多目的スポーツ車、ピックアップトラック含む)について、2035年までにすべての新車を環境負荷の少ないゼロエミッション車(ZEV)とする。新車販売に占めるZEVの比率を26年に35%、30年に68%とし、35年に100%にする。



 ガソリン車の販売を規制する一方、EVの普及を後押しする。ホークル知事は指令のなかで、EVを買う消費者に対する購入補助について言及した。補助額は1台当たり最大2000ドル(約29万円)。米連邦政府は最大7500ドルの補助を実施していく方針で、両者をあわせると最大9500ドルとなる。



【関連記事】米カリフォルニア州、2035年にハイブリッド車も販売禁止

 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2509E0V20C22A8000000/



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 引用以上



 世界の自動車社会の趨勢はEV車であって、ガソリン・ディーゼル車に対する風当たりは強まるばかり。

 しかし、そこに政治的思惑はあっても、科学的根拠は存在しない。

 私は、このブログで、EV車が世界の主役になる未来は存在しない。それは補助的選択肢を超えることはできないと、何回も書いてきた。



 その本質的理由は、バッテリーのエネルギー密度が石油の30分の1しかなく、ガソリン車より長い150年のEV開発史のなかで、長い時間を費やしてもバッテリー問題を克服できなかったからだ。

 過去150年できなかったことが、未来のわずか10年で可能かといえば、それは無理だ。

 「未来の技術進歩に委ねる」という考え方は、根拠薄弱な妄想にすぎない。人類のイノベーション能力は、退化の一途なのだから。

 https://ilink-corp.co.jp/3772.html



 つまり、石油原動機と電気原動機を比べると、エネルギー一供給あたりの航続時間が圧倒的に不足していて、とうてい実用レベルではない。

 ガソリン40リットルを3分で給油できるのに、200Km走行分の給電が3時間もかかるのでは、誰も使いたいと思わない。

 もしも無理矢理、全車両をEV化したなら、恐ろしい現実が訪れる。現在に比べて行動範囲が10分の1以下になると考えて良い。



 EVシフトは綺麗事ばかり」電気自動車先進国の「悲惨な現状」とは

 https://car-moby.jp/article/news/ev-shift-leads-to-disastrous-situation/



 細かく理由を見てゆくと、リチウムイオン電池は重量エネルギー密度が100Wh/kgのため、160kgのバッテリーを積んでも航続距離は180km。

 ガソリンの重量エネルギー密度は12kWh/kgと電池の約8分の1のため、180kmを走るのにガソリンは8.9L(6.7kg)で済む。

 エネルギー密度は、石油がバッテリーの30倍と、比較にさえならないほどだ。だから、EV車の超長距離走行は事実上不可能である。



 ランニングコストを比較すると、EVは満充電の電気代は386円でランニングコストは2.41円/km。 (電気代を24.13円/Kwで計算) 

 ガソリンエンジンは、燃費20km/L、ガソリン代を150円/Lとすれば、7.5円/kmとなり、EVの3倍近いランニングコストになる。(ただしガソリンの価格には税金が68円含まれ、税金を引くと4.1円/kmとEVの1.7倍に下がる。)



 ただし、上の試算には、バッテリーの寿命と、電気代の原発事故による上昇というリスク係数が含まれていないことが致命的だ。ガソリン車のエンジン寿命は、EV車バッテリーの数倍あり、石油インフラ巨大事故は、原発巨大事故とは比較にならないほど安上がりで、電気代への影響も小さい。



 EVの弱点としては、真夏にエアコンを使用すると電気を20〜30%余分に消費し、走行距離が2/3に低下する。厳冬でも、同じようにバッテリー性能が数割劣化し、頻繁な給電を必要とする。

 一方CO2の排出量は、ガソリンエンジン車の効率が15%程度に対し、EVの効率は80%以上。ウェルトゥホイール(原油から実走行までのエネルギー効率)で比較しても、EVが25%、エンジン車が13%と大きな差がある。

 しかし、製造から使用、廃棄のトータルCO2排出量では、極端な差はないともいわれる。



 それでは、EV車の進化形と考えられる、燃料電池・水素原動機車ではどうか?



 燃料電池は水素などを充填し、水素と酸素の化学反応で発電する。 水素自動車は、ガソリンエンジンをそのまま流用して、燃料を水素に変える。

 だが、いずれも水素そのものの物理的性質に致命的なネックがある。

 水素は宇宙一小さい元素のため、それを完全密閉することは困難で、必ず少しずつ漏れ出すのと、化学的性質が活発なため、腐食性が強い。このため、水素タンクの寿命が短いのと、非常に高価なのだ。



 水素車は、二年車検毎の水素タンク検査と、約10〜15年での交換が必要になるが、その費用が200万円とされている。

 https://www.aichi-toyota.jp/blog/store/detail/102940



10年で200万のタンク交換は、EV車のバッテリー寿命と交換費用と大差ない。

 EV車の保証寿命は8年、16万キロ程度、交換費用は100万円程度である。

  https://evdays.tepco.co.jp/entry/2021/09/09/000018



 一方で、従来のガソリン車なら、ガス欠エンジンブローでもないかぎり、20(軽)〜100万キロ(3リットル級)の走行に耐え、エンジン交換でも50〜100万円前後で、ほとんどの車種に対応できる。

 これでは、どんなにEVや水素車のランニングコストが安くとも、勝負にならない。

 EVや水素車の宣伝に、ランニングコストはクローズアップされても、寿命が絶対に語られない理由は上の事情である。問題外なのだ。



 結局、EV車・水素車には、石油原動機車と比べて優位性はほとんどない。電気・水素タンク寿命のことを隠蔽してCO2問題に焦点をあてて大騒ぎし、ランニングコストばかり強調して売りさばくことができても、やがて、人々は生活の足として使うことを躊躇するようになることは避けられない。



 トヨタ社長、米加州の新車販売規制満たすのは「難しい」9/30(金)

 https://news.yahoo.co.jp/articles/35bfcc16d2d27c330cf947c4536bafeb2bad4ec3



 トヨタでさえ、結局、EV車が主流になる可能性は少ないと判断しているように見える。おそらく、その判断は正しいだろう。

 だが、ロシア・ウクライナ問題からのエネルギー逼迫は、電気シフトや他エネルギー転換を加速しているものの、ドイツのように原発廃止を転換しても、おそらく、現在のような資本主義的競争を前提にした見栄、無駄、浪費のライフスタイルを続ける限りは解決不能である。



 結局、残された方法は、現行石油原動機車を合理化して、石油消費量を圧倒的に減らすしかない。

 そこで、現在の見せびらかし車であるハマーのようなSUVや2リットル以上の大型乗用車を廃棄し、日本で使われている軽自動車を世界標準とするしかないだろう。

 この意味で、私は2030年でも、アルトが世界中を走り回っているはずと書いてきた。



 だが、戦争によって燃料価格の暴騰が約束されるなら、軽自動車の燃料すら確保困難になってしまうので、結局、自転車に頼る社会に移行するしかなくなる。

 だが、今のままでは、自転車社会と自動車社会の両立は、安全性の観点から困難なので、未来を見据えて、自転車社会の大規模なインフラを整備するしかないと何回も指摘してきた。

 http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-1995.html



 世界の趨勢を見るに、2030年、ガソリン車廃止、EV完全移行は絶対に不可能だと考えざるをえない。おそらく、自動車の省エネ化(小型低燃費化)、自転車歩行者インフラの拡充くらいしか打つ手はないと思う。

 だが、いずれも日本人と日本産業界の得意分野なので、欧米の意図に反して、日本企業による、省エネ超小型動力車の普及が加速するとみている。



 また、自転車利用に大きな革命が起きるものと見ている。坂の多い地域では、EV自転車が普及するだろう。老人・障害者向けの多輪EV車もたくさん登場してくるだろう。

 EV車も、超小型なら十分に社会ニーズに答えることができる。