2016年02月

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     土岐市・多治見市における重水素核融合実験のトリチウムと中性子



     中津川市の我家から名古屋方面に国道19号を30キロほど行くと、土岐市があって、向こう隣が多治見市である。

     いずれも奈良時代あたりから窯業が盛んになり、陶磁器生産量も日本一、住民の気質は地場中小零細窯業の苛酷さを反映してか保守的な傾向が強く、あまり人に優しい印象を受けない。



     この町の私の印象は、「我慢の町」である。

     日本一の暑さも我慢、窯業という過酷な重労働も、ひたすら我慢、円高による陶磁器輸出不振の苦しみも我慢で堪え忍び、生きてゆくためには我慢に次ぐ我慢という気質があるように思える。

     

     ここに、1997年、名古屋大学プラズマ研究所と、京大・広島大の核融合研が合同し、核融合科学研究所として土岐市下石地区に移転してきた。



     なんで土岐市かといえば、ここには高品位のウラン鉱が発見され、かつては採掘精錬施設もあって、住民が放射能に馴染んでいるだろうとの勝手な思いこみが権力側にあったからだろう。



     核融合技術というのは、かつて、「バラ色の未来を開く人類最先端の技術」などと、幼児がウルトラマンの仮面を被って、その気になってしまったような幼稚な興奮をもって語られた。



     しかし、50年にわたる研究活動は失敗に次ぐ失敗、次々に予想外の問題が明らかになり、カネや時間をかけた割に、ろくな技術的進展もなく、もんじゅや六ヶ所村再処理工場同様、無用の長物、何一つ生み出さない、お荷物プラントで知られている。



     私の表現に文句があれば、関係者は50年にわたる核融合研究で得られたものを示してみよ!

     莫大な税金を投入したあげく、ほとんど技術的成果もなく、トリチウムによる環境汚染など、ろくでもない結果ばかりだ。

     これまでの放出トリチウムで、どれだけの白血病患者やダウン症児が誕生し、悲劇を招き続けたことか。いつまでも隠蔽できると思うな。



     最先端エネルギー開発なんてエラそうな能書きをたれてるが、本当は核融合エネルギー開発なんて、人の能力のはるか雲の上、彼方のUFO級高級技術であって、強欲を競い合って戦争殺戮ばかりに没頭する愚かな人類の手に届くような代物ではない。

     もし、この技術が実現するとすれば、それは地球から戦争が追放されたとき以降の話である。



     今の稚拙なレベルの人類にできることといえば、皆殺し兵器、水爆を作って大量殺戮し、環境を取り返しのつかないほど汚染し、人類滅亡に貢献することくらいだろう。



     仮に核融合炉発電に成功したとしても、原発の数千倍ともいわれる巨大事故の恐怖、得られるメリットの数万倍の健康被害などデメリットと、手のつけられないほどのエネルギー浪費を引き起こすことは、すでに明らかである。



     未来を冷静に見渡して、子供たちの素晴らしい未来のための本当に必要なインフラ整備を考えている人たちから見れば、まるで、怪我や病気の苦悩、苦痛を何一つ経験したことのない、幼児の妄想お遊びにすぎないのである。



     我々の本当に必要とする技術は、他国に競合して「一番優れてる」と威張りたいだけの軽薄な優越主義、他人からの誉め言葉だけを追い求める愚か者の救いがたいナルシズムとしてのリニア新幹線や核開発プラントではない。



     それは、子供たちの未来に安全と幸福をもたらすものでなければならず、例えば、安全な歩道、自転車専用道であり、遺伝子を絶対に傷つけない農業的成果であり、利他思想に導かれる共同体生活の技術である。



     決していじめや人間疎外の生まれない、みんなが笑顔を共有できる社会であり、弱者を切り捨てない社会であり、差別の悲しみを思い知らされない社会である。

     みんなが助け合って、生活を楽しむためのインフラである。



     だが、もんじゅ、六ヶ所村再処理場とならんで、核融合と称する税金ドブ捨て、「お遊びプラント」を生かし続けている自民党政権の本当の腹づもりは、どうみても軍事技術=水爆製造への希望しかありえない。



     見栄と体面、金儲けだけを唯一の価値と信じて渡り歩く馬鹿丸出しの国家主義者が、「国の体面」とやらの妄想から、水爆を保有することで、国際的地位を高めるなんて下劣な自己満足を求めて生かされているだけのことだ。



     子供の頃から「競争に勝って誉められる」という洗脳教育を受け続けて、他人より優れることだけが人生の唯一の目的であるかのように信仰してしまった、お粗末極まりない人間性の連中が、子供たちの未来も、技術成立後の後先の問題も一切考えず、ただ「作って誉められたい」一心で、環境への影響や、未来への負担を一切考慮せずに、妄想に突き動かされて作り出してしまったウソで固めた虚構が、この核プラントの正体である。



     当初、クリーンエネルギーなんて、ほざいていた核融合は、膨大なトリチウムを発生し、それが人類はおろか、地球生物の未来まで完全破壊しかねないことが分かってきた。



     かつて行われた水爆実験や原子炉や再処理場が莫大なトリチウムを放出し、人類全体にガンや白血病、知的障害などの遺伝病を作り出してきたことが明らかになってきた。



     エネルギーが極度に弱いため、測定さえ困難なトリチウムのベータ線は、核関係者の素朴な期待に応える無害クリーンな放射線どころか、有機化して体内に取り込まれると、深刻な遺伝子破壊を引き起こす悪魔の電子線であることが分かってきた。



     トリチウムは、水と分離することが不可能であり、エントロピーの法則に従って、地球上で拡散し平均化する。

     どんなに汚染されない水を選ぼうとしても絶対不可能である。環境に放出されたトリチウムは100%、「地球の水」となり、我々の肉体に侵入してくるのだ。



     トリチウム水が体内に入ると、たちまち全身に均等に分布し、遺伝子の構成元素となる。

     これが数年もすれば、核崩壊してヘリウムに変わってしまうのだから、遺伝子などバラバラに壊れてしまう。人体に取り込まれたトリチウムの量が増えるにしたがって、遺伝子は壊滅的ダメージを受け、白血病やダウン症などの遺伝障害を引き起こすことが明らかにされた。



     例えば、トリチウムの放出量が桁違いに多い施設、フランスのラアーグ核燃再処理工場、イギリスのセラフィールド再処理工場、重水素を多用するCUNDI型原子炉として知られるカナダ、ピッカリング原発、そして日本の六ヶ所村再処理工場、さらに玄海原発なども、トリチウム放出施設として知られるが、このすべての施設で、周辺住民に恐ろしい被害をもたらしている。



     ラアーグ・セラフィールドともに、周辺に居住する子供たちの白血病発症率が、トリチウムの少ない地域と比べて数十倍になっている。

     ピッカリング原発では、稼働後、周辺地域でダウン症が80%増加したことをグリーンピースが明らかにした。



     玄海原発の周辺では白血病発症率が10倍になっている。失敗続きでほとんど稼働していない六ヶ所村再処理工場でさえ、わずかな稼働期間の後、青森県の白血病発症率が激増している。



    http://www.windfarm.co.jp/blog/blog_kaze/post-4139



     【土岐核融合研による重水素実験】



     この核融合研究所は、数十年前から「重水素実験」の準備を進め、被曝の恐ろしさに無知蒙昧で、目先の発展だけに目を奪われ、住民の健康被害に一切目を向けようとしない、多治見市や土岐市の市長ら関係者を騙すことに成功し、今年、2016年度から、いよいよ実現することになった。



     重水素実験とは、核融合炉の基礎技術として、1億度にのぼるプラズマで重水素が、どのような反応を示すか調べる実験と称している。



     これは当初、1998年の計画では、一回10秒間の重水素プラズマ放射実験を年間、数千回も行うというものだった。

     このとき、わずか10秒間に発生する中性子の量は50万シーベルトであって、1000兆ベクレルを超えるトリチウムを発生させるという。



     なぜ中性子が発生するかといえば、プラズマに重水素が入ると核融合反応が起きるからである。これを持続させれば核融合炉ということになるが、半世紀以上の実験を経ても、持続的核融合炉は世界中の誰も成功していない。

     

     だが、莫大な中性子は生成される。

     人間一人の100%致死線量は7シーベルトであり、この10秒間の中性子量は7万人分の致死量にあたる。トリチウムの量も原子力発電所なみであった。



     これに対し、槌田敦氏や小柴昌俊氏などの良心的学者から強い疑念が表明され、大きな反対運動の盛り上がりになったことで、融合研側は、あわてて実験計画の縮小を発表した。

     しかし、その説明が、まったく子供だましのウソに満ちていて、反対派の強い怒りをかった。



     核融合研の公表試料やパンフレットは虚偽に満ちている。

     

     http://www.nifs.ac.jp/~j_plan_001.html



     パンフレットには一回3秒の実験で、1億ベクレルのトリチウムが発生し、大半を回収すると書かれているが、3秒の実験を一日何回、年間何回やるのかについては、どこにも書かれていない。



     これでは、パンフレットを見た読者は、3秒、1億ベクレルのトリチウムで、すべて終わりと勘違いしてしまう。

     それどころか、当初、核融合研側は、この実験ではトリチウムは使わないと説明してきたが、これが真っ赤なウソであった。

     市民団体側からの指摘で、渋々自白したのである。



     実際には、3秒の実験は、他の資料によれば一日30回、週4回であり、年間555億ベクレルのトリチウム放出を予定しているのである。

     日あたり30億ベクレルのトリチウム取り扱いは、研究所側の説明による放射線管理法にさえ抵触しない微量どころか、明確に法的規制対象を意味するものである。



     年間の稼働日数によっては、さらに一桁以上大きくなる可能性もあり、これは通常の加圧水型原子炉の放出量と同じレベルである。

     しかも、トリチウムの95%を回収すると説明しているが、そんな技術は、今のところ、世界中のどこにも実現しておらず、口先だけのごまかしにすぎない。



     【恐怖の中性子】



     中性子の放出量も、当初の一回あたり、50万シーベルトから減るとはいうが、一日、30回も14MeVという超高エネルギーで、10万シーベルト以上の中性子が環境に放出されるのである。



     中性子は放射線のなかで、もっとも恐ろしい線質で、ガンマ線の20倍の生体細胞破壊効果があるとされる。

     人体に当たると体内に放射能を作ってしまい、内部被曝を引き起こす。

     東海村JCO臨界事故のとき、10キロ以上離れた地点の家屋内から、中性子の痕跡であるナトリウム24が発見されているので、飛距離も数十キロを考える必要がある。



     一般に中性子の飛距離は数百メートルと説明されているが、実際には数十キロの飛程もありうることが証明されたのは、JCO事故が初めてであった。これは確率の問題なのだ。



     ガンマ線も透過力が強いが、中性子の比ではない。理由は、中性子が電荷を持たないため、電気的干渉(クーロン力)の影響を受けないためである。

     中性子の遮蔽は、唯一、水素原子の衝突、弾性散乱によって行われる。弾性散乱とは、ほぼ同じ質量の原子どうしがぶつかることで、相互にエネルギーを交換し、反対方向に散乱する減衰のメカニズムである。

     陽子一個分の質量の中性子(核子)は、陽子一個だけを持つ水素原子と同じ質量で、この正面衝突によってエネルギーを失うことが遮蔽を意味する原理になる。



     このため、遮蔽には、水や、水を含むコンクリートなどが使われる。

     人体は70%以上が水分であるため、中性子の被曝をまともに受ける。



     かつて、「中性子爆弾」が計画された理由も、中性子が水分の多い生物だけを破壊し、建物などを傷つけないと誤解されたからだが、実際には、人間を殺すほどの中性子放射があると、被曝したすべての物質が放射能に変わってしまい、人間は利用どころか、近づくことさえできなくなることが分かって愚かな妄想は終わった。



     核融合研側は2mのコンクリート壁で1000万分の1まで減衰遮蔽すると主張するが、中性子エネルギーが14MeVと猛烈に強いことと、発生量が膨大であるため、必ず、遮蔽能力を超えて通過する確率が出てくる。



     放出された中性子の、すべてが水素元素と衝突して減衰するわけでなく、一部は、すり抜けて外部に放射されるのである。

     こんなのを一日30回、年間数千回もやられたのでは、周辺住民の健康はたまったものじゃない。



     本当に安全な遮蔽は、おそらく数十億分の1以下に減衰可能な遮蔽能力が必要で、この場合、遮蔽には10m厚以上の水プールで覆うことが必要になるはずだ。

     あまけに、中性子にはスカイシャインという散乱現象が存在し、遮蔽のない天井部分に放射された中性子は、空中の水素原子と弾性散乱を起こし、エネルギーを減衰させて反対側に戻って来るのである。



     つまり、上空に向かった中性子の相当割合が、多治見・土岐市街地に放射されるのである。

     JCO事故の際、数十キロの飛距離が確認された理由は、このスカイシャインによるものではないかと私は考えている。



     この散乱によってエネルギーの弱まった中性子が、また実に厄介な代物で、高速中性子から熱中性子へと変化し、ぶつかった原子に容易に潜り込んで放射能化してしまう。

     人体・生物への被曝影響が著しく大きい理由は、この熱中性子の核反応=放射化能力にある。



     たとえ一回あたりの被曝量が微々たるものであっても、一日30回、年間数千回も浴び続ければ、必ず健康被害が出てくるであろうことは容易に想像できよう。



     さらに、減衰した中性子が、周辺のあらゆる機器、建物、土壌に潜り込んで、これを放射能化することを忘れてはいけない。

     この実験は、膨大な核廃棄物を作り出すことになるだろう。



     鋭敏なスペクトル測定器を持参して、重水素実験中に施設の外側にいれば、中性子の生成したナトリウム24の1369KeVガンマ線を容易に検出できるはずだ。

     市販の中性子シンチレータにも明瞭に反応するだろう。



     【核融合研の卑劣な体質】



     名大プラズマ研究所が発展的に移転した核融合研は、名大時代の体質を引きずっているのか、あらゆるところでウソをつく傾向がある。



     「実験にトリチウムは使わない」と説明しておきながら、実態はトリチウム実験そのものであったこと。



     パンフレットに、矮小卑劣な誤解を目的にした、説明ばかりが目につくこと。例えば、一日30回もの試験を行うのに、説明を見ると一回だけのような記述になっている。



     実験によって発生するトリチウムを95%除去と、世界の誰も成功していないウソを書いて「だから安心」と誤魔化す。



     一番ひどいのは、住民や地元自治体の説明に、公正中立な安全評価委員の判断に委ねたとの下りで、ここまでくると核融合研が、旧動燃なみの、とんでもないウソつき組織だと分かる。



     核融合研は、「公正・中立な第三者の専門家、市民」から構成されている安全評価委員会で、重水素実験の安全性が確認されたとしている。

     東濃3市もこの委員会の安全確認をよりどころにして同意の方針を打ち出した。



    だが、この安全評価委員会の委員16名はその過半数を超える委員が核融合研への理解、協力者であった。

     うち2名は核融合研の運営会議に所属。人選も核融合研が行い、場所も核融合研の建屋で行い、報酬も核融合研が支払っている。



     どこが 「公正・中立」なのか?

     多治見市長は3月19日の一般質問で、この委員会が公正・中立なものと「判断できない」と答弁しながら実験に同意を決定した。



     こんなウソつき体質の核融合研であるから、中性子の遮蔽も、まったく信用できない。

     たとえ1000万分の1以下の遮蔽力であっても、元の中性子が安全量の1000万倍あれば、それは遮蔽ではない。

     私は、スカイシャイン効果による中性子反射被曝が、想像以上に大きい可能性を恐れている。



     【重水素実験(DD実験)】 「東濃核融合科学研究もんだい」から引用



     DD実験とは、5kev程度の温度をもつDプラズマに、250kev程度の高エネルギーの水素(H)ま たは重水素(D)のビームを入射して、Dプラズマの温度を高め(これを熱化という)、これにより核融合を起こさせることを目的としている。



     このDとDとの衝突によるDD核融合反応は次の反応式群で示すように(i)と(ii)の2つの反応から なりたち、トリチウム(T)と中性子(n)を発生する。



    (i)   D+D → p +T

    (ii)  D+D → 3He+n(2.5Mev)



    しかし、この反応はこの段階で止まらず、次の(iii)と(iv)の2つの反応がただちに起こることに なる。



    (iii)  D+ T → He + n(14.0 Mev)

    (iv)  D+3He → He + p(水素)



    この2つの反応は、DとDの反応よりも容易に起こるので、核融合研究では最も重要な研究とされている。



    (iii)の反応はDT反応と呼ばれ、トリチウムの使用と同時に、14Mevという超高エネルギーの中性子を発生することになるので、多くの市民運動の 反対にあい、相手方は「トリチウムは使用しない」と約束したのである。



    そこで、相手方は (i)、(ii) の反応から直ちに (iii) の反応が生じるDD実験の実施をすることにより、(iii) の反応による実験を実施することを考え出したのである。

     DD実験は実質的にはDT実験と言って良い。DD実験は明らかに「トリチウムは使用しない」という 約束に反する。



     中性子の危険性



    1) 重水素実験にあっては、高エネルギー中性子の発生は不可避である。本実験では大量に発生する中性子が遮蔽壁で守られているに過ぎない。遮蔽壁が何らかの理 由で崩壊すれば大量の中性子が外部に放散され被害が生じる。たとえば、LHD内には実験中、装置内には高いエネルギーが存在することになるが、炉に事故が 生じれば、行き場を失ったエネルギーによる爆発、さらには中性子漏れという事故が生じることになる。



    2) 本件遮蔽壁は構造上天井部分が薄くならざるを得ず、その薄い部分を経て透過する中性子が漏れることになる。これらの漏れ出た中性子は外気中で反射し、地上 に降り注ぐことになる(スカイシャイン現象)。



    3) 中性子は遮蔽壁と外部をつなぐパイプなどを通じて遮壁外部さらには施設外部に漏れ出す危険がある。



    4) 本件炉から発生する中性子により炉本体はもちろん、外部装置は放射化し、放射性廃棄物となる。特に、炉で使用されるニオブの放射化が深刻である。こうして 放射化した物質により申請人らに健康被害が生じる危険性もある。



     【現実問題として多治見・土岐市住民は、どのような被害を受ける可能性があるのか?】



     計画の概要を見る限り、有毒有害なトリチウムの生成量は年間500〜1000億ベクレルにおよび、ほぼ加圧水型原発による放出量と同程度になる。

     核融合研側の説明にあるトリチウム95%回収は、現実に成功例がなく、まったく信用できない。



     これまで、このレベルのトリチウム排出を行ってきた、すべての原発の周辺自治体で白血病発症率の上昇が見られる。



    � ’雕蟯�羽原発の周辺自治体では、女性の白血病発症率が全国平均の二倍になっている。

     

    �◆ 峺竺じ業�がある佐賀県玄海町では、子どもの白血病の発症率が全国平均に比べて10倍以上高い」

     (2012年3月19日発行 肥田舜太郎著『内部被曝』より)



    �� カナダ・ピッカリング原発では、トリチウムの放出により、周辺住民新生児のダウン症発症率が80%上昇した。



    �ぁ\朕晃�立中央病院のホームページによれば、青森県内の白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫は、東北地方最多である。

    この原因として、六ヶ所村再処理工場の運用や過去の核漏洩事故頻発が強く疑われている。



    �ァ.侫薀鵐垢離薀◆璽阿筌ぅ�リスのセラフィールド再処理工場の周辺でも、被曝影響を受けない地方の数十倍の白血病発症が確認されている。



    2002年、国際的なガン研究の専門誌(International Journal of Cancer)に、セラフィールド再処理工場で働き被ばくした男性労働者の子どもたちは、他の地域の子どもたちに比べ、白血病、リンパ腫など血液のガンの 発生率が2倍近く高く、工場があるシースケール村においては、15倍も高いリスクがあった。



    �Α.侫薀鵐垢如�原発から5キロ圏内の子どもと一般の子どもの白血病発生率の比較を行った。15歳以下の子どもは、他地域の子どもに比べて白血病の発症率が1.9倍高く、5歳未満では2.2倍高い。



    �А.疋ぅ沈�府の調査では、原発から5km圏内の小児ガンは全国平均の1.61倍、小児白血病は2.19倍となっている。



    �─ 峺業�5キロ圏内で子どもの白血病が倍増」

    フランス国立保健医学研究所が国際誌にて発表/ルモンド紙

    (2012年1月14日 フランスねこのNews Watching)から抜粋



     反論できない危険信号が発せられた。フランスにある原発の5キロ圏内に住む子どもたちは、通常の2倍の割合で白血病にかかる、という指摘だ。フランス国立保健医学研究所(INSERM)のジャクリーヌ・クラヴェル氏が率いるフ ランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)の科学者研究チームが『国際がんジャーナル』(International Journal of Cancer)に発表した。これは過去にイギリスのセラフィールド原発、スコットランドのドーンレイ原発、ドイツのクルーメル原発において実施された調査で、原発の近辺に住む子どもたちに通常より高い率で白血病が発生することが証明されたのに続く調査結果である。





     これらの告発報告は、無数といえるほどあって、いずれも原発放射能と周辺に居住する子供たちの白血病ガン発生率との相関関係を示すものである。

     ICRPはじめ国際原子力産業は、これらの報告を隠蔽し、無視し、矮小化して民衆の健康を犠牲にして原子力産業を守ることに専念してきた。



     土岐市・多治見市における重水素実験も、まったく同じスタンスであって、トリチウムの有害性が、すでに立証されているにもかかわらず、半世紀前の無害論を持ち出して、健康被害への懸念を嘲笑するような姿勢に終始している。

     

     土岐・多治見市長の無知蒙昧ぶりからも、このまま実験が続けば、白血病やダウン症児増加などの被害は避けられないだろう。

     これまで、放射能被曝の意味を理解できる住民によって多くの啓発的市民運動が行われてきたが、社会全体の「拝金主義」風潮から、目先のカネのためなら未来の子供たちの健康など、どうでもいいと考える市民が増えているのも事実であって、被曝被害に関心を持つ市民は少ない。



     こうした被曝被害が、人々の目に理解されるには、数十年という時間が必要である。残念ながら、我々は問題の解決を未来に委ねるしかなさそうだ。



     この土岐核融合研による重水素実験は、トリチウム問題に加えて中性子問題が露見している。



     中性子被曝については、過去にJCO(住友金属鉱山)によるウラン臨界事故のデータしかないが、このときも、数十キロ離れた地域にまで中性子の痕跡が残されていて、原因として中性子上空散乱=スカイシャインを強く疑っている。



     核融合研側の中性子対策は2mのコンクリート壁だけであって、スカイシャインに対する対策は皆無のようだ。

     したがって、実験開始後、周辺住民に中性子被曝の可能性が強く疑われる。

     これは本当にそうなるのか、反対派側の技術を総動員して監視してゆくことになるだろう。



     もし予測どうりスカイシャインによる周辺住民の中性子被曝が発生した場合、これは恐ろしい結果を招くことになるだろう。

     住民は、中性子という、もっとも危険な放射線の生物学的効果のモルモットにされることになるだろう。



     【河田昌東氏のこと】



     なお、この土岐重水素実験への反対市民運動の講師として度々登場してきた、元名大生物学助教、河田昌東氏については、私はフクイチ事故後の姿勢に強い疑問を持っており、あたかもエートス賛成派のような講演を聴いて強い不快感を抱いた。



     彼は、福島の重被曝地の子供たちを移住させようとしない。そこで防護措置をとれば生きてゆけるかのような幻想を抱かせる。



     なぜ、彼が、エートス賛成派と同じスタンスをとるのか、彼自身による放射線ゲノム研究報告を聴いて理解した。

     彼は科学の発展のためには、住民の犠牲があってもやむをえないという学問上の立場である。



     放射線被曝に閾値は存在せず、どんな微量被曝であろうと、それなりの結果が出ることが明らかであるが、そんなことを言っていては科学の進歩がないという理屈であり、容認限度を定めて我慢せよというわけだ。



     彼は放射線ゲノム研究に妊婦研究員を参加させ、実験を通じて5ミリ以下の被曝だったから安全だったと結論づけた。

     だが、本当にそうなのかは、放影研の広島被曝報告を見て判断願いたい。



    http://www.rerf.or.jp/radefx/uteroexp/physment.html



     私は、河田氏の姿勢では、彼と同じ学閥に属する核融合研の重水素実験計画も「科学発展のために容認」という結論に傾斜することを危惧している。



     私は30年以上前に、河田氏の主宰する「反原発キノコの会」に参加しようとしたが、結局、違和感を感じて離れることになった。

     その原因について、こうした科学優先思想に対するモヤモヤした違和感だったと、なんとなく納得がいった。



     土岐市・多治見市における重水素核融合実験のトリチウムと中性子

     中津川市の我家から名古屋方面に国道19号を30キロほど行くと、土岐市があって、向こう隣が多治見市である。
     いずれも奈良時代あたりから窯業が盛んになり、陶磁器生産量も日本一、住民の気質は地場中小零細窯業の苛酷さを反映してか保守的な傾向が強く、あまり人に優しい印象を受けない。

     この町の私の印象は、「我慢の町」である。
     日本一の暑さも我慢、窯業という過酷な重労働も、ひたすら我慢、円高による陶磁器輸出不振の苦しみも我慢で堪え忍び、生きてゆくためには我慢に次ぐ我慢という気質があるように思える。
     
     ここに、1997年、名古屋大学プラズマ研究所と、京大・広島大の核融合研が合同し、核融合科学研究所として土岐市下石地区に移転してきた。

     なんで土岐市かといえば、ここには高品位のウラン鉱が発見され、かつては採掘精錬施設もあって、住民が放射能に馴染んでいるだろうとの勝手な思いこみが権力側にあったからだろう。

     核融合技術というのは、かつて、「バラ色の未来を開く人類最先端の技術」などと、幼児がウルトラマンの仮面を被って、その気になってしまったような幼稚な興奮をもって語られた。

     しかし、50年にわたる研究活動は失敗に次ぐ失敗、次々に予想外の問題が明らかになり、カネや時間をかけた割に、ろくな技術的進展もなく、もんじゅや六ヶ所村再処理工場同様、無用の長物、何一つ生み出さない、お荷物プラントで知られている。

     私の表現に文句があれば、関係者は50年にわたる核融合研究で得られたものを示してみよ!
     莫大な税金を投入したあげく、ほとんど技術的成果もなく、トリチウムによる環境汚染など、ろくでもない結果ばかりだ。
     これまでの放出トリチウムで、どれだけの白血病患者やダウン症児が誕生し、悲劇を招き続けたことか。いつまでも隠蔽できると思うな。

     最先端エネルギー開発なんてエラそうな能書きをたれてるが、本当は核融合エネルギー開発なんて、人の能力のはるか雲の上、彼方のUFO級高級技術であって、強欲を競い合って戦争殺戮ばかりに没頭する愚かな人類の手に届くような代物ではない。
     もし、この技術が実現するとすれば、それは地球から戦争が追放されたとき以降の話である。

     今の稚拙なレベルの人類にできることといえば、皆殺し兵器、水爆を作って大量殺戮し、環境を取り返しのつかないほど汚染し、人類滅亡に貢献することくらいだろう。

     仮に核融合炉発電に成功したとしても、原発の数千倍ともいわれる巨大事故の恐怖、得られるメリットの数万倍の健康被害などデメリットと、手のつけられないほどのエネルギー浪費を引き起こすことは、すでに明らかである。

     未来を冷静に見渡して、子供たちの素晴らしい未来のための本当に必要なインフラ整備を考えている人たちから見れば、まるで、怪我や病気の苦悩、苦痛を何一つ経験したことのない、幼児の妄想お遊びにすぎないのである。

     我々の本当に必要とする技術は、他国に競合して「一番優れてる」と威張りたいだけの軽薄な優越主義、他人からの誉め言葉だけを追い求める愚か者の救いがたいナルシズムとしてのリニア新幹線や核開発プラントではない。

     それは、子供たちの未来に安全と幸福をもたらすものでなければならず、例えば、安全な歩道、自転車専用道であり、遺伝子を絶対に傷つけない農業的成果であり、利他思想に導かれる共同体生活の技術である。

     決していじめや人間疎外の生まれない、みんなが笑顔を共有できる社会であり、弱者を切り捨てない社会であり、差別の悲しみを思い知らされない社会である。
     みんなが助け合って、生活を楽しむためのインフラである。

     だが、もんじゅ、六ヶ所村再処理場とならんで、核融合と称する税金ドブ捨て、「お遊びプラント」を生かし続けている自民党政権の本当の腹づもりは、どうみても軍事技術=水爆製造への希望しかありえない。

     見栄と体面、金儲けだけを唯一の価値と信じて渡り歩く馬鹿丸出しの国家主義者が、「国の体面」とやらの妄想から、水爆を保有することで、国際的地位を高めるなんて下劣な自己満足を求めて生かされているだけのことだ。

     子供の頃から「競争に勝って誉められる」という洗脳教育を受け続けて、他人より優れることだけが人生の唯一の目的であるかのように信仰してしまった、お粗末極まりない人間性の連中が、子供たちの未来も、技術成立後の後先の問題も一切考えず、ただ「作って誉められたい」一心で、環境への影響や、未来への負担を一切考慮せずに、妄想に突き動かされて作り出してしまったウソで固めた虚構が、この核プラントの正体である。

     当初、クリーンエネルギーなんて、ほざいていた核融合は、膨大なトリチウムを発生し、それが人類はおろか、地球生物の未来まで完全破壊しかねないことが分かってきた。

     かつて行われた水爆実験や原子炉や再処理場が莫大なトリチウムを放出し、人類全体にガンや白血病、知的障害などの遺伝病を作り出してきたことが明らかになってきた。

     エネルギーが極度に弱いため、測定さえ困難なトリチウムのベータ線は、核関係者の素朴な期待に応える無害クリーンな放射線どころか、有機化して体内に取り込まれると、深刻な遺伝子破壊を引き起こす悪魔の電子線であることが分かってきた。

     トリチウムは、水と分離することが不可能であり、エントロピーの法則に従って、地球上で拡散し平均化する。
     どんなに汚染されない水を選ぼうとしても絶対不可能である。環境に放出されたトリチウムは100%、「地球の水」となり、我々の肉体に侵入してくるのだ。

     トリチウム水が体内に入ると、たちまち全身に均等に分布し、遺伝子の構成元素となる。
     これが数年もすれば、核崩壊してヘリウムに変わってしまうのだから、遺伝子などバラバラに壊れてしまう。人体に取り込まれたトリチウムの量が増えるにしたがって、遺伝子は壊滅的ダメージを受け、白血病やダウン症などの遺伝障害を引き起こすことが明らかにされた。

     例えば、トリチウムの放出量が桁違いに多い施設、フランスのラアーグ核燃再処理工場、イギリスのセラフィールド再処理工場、重水素を多用するCUNDI型原子炉として知られるカナダ、ピッカリング原発、そして日本の六ヶ所村再処理工場、さらに玄海原発なども、トリチウム放出施設として知られるが、このすべての施設で、周辺住民に恐ろしい被害をもたらしている。

     ラアーグ・セラフィールドともに、周辺に居住する子供たちの白血病発症率が、トリチウムの少ない地域と比べて数十倍になっている。
     ピッカリング原発では、稼働後、周辺地域でダウン症が80%増加したことをグリーンピースが明らかにした。

     玄海原発の周辺では白血病発症率が10倍になっている。失敗続きでほとんど稼働していない六ヶ所村再処理工場でさえ、わずかな稼働期間の後、青森県の白血病発症率が激増している。

    http://www.windfarm.co.jp/blog/blog_kaze/post-4139

     【土岐核融合研による重水素実験】

     この核融合研究所は、数十年前から「重水素実験」の準備を進め、被曝の恐ろしさに無知蒙昧で、目先の発展だけに目を奪われ、住民の健康被害に一切目を向けようとしない、多治見市や土岐市の市長ら関係者を騙すことに成功し、今年、2016年度から、いよいよ実現することになった。

     重水素実験とは、核融合炉の基礎技術として、1億度にのぼるプラズマで重水素が、どのような反応を示すか調べる実験と称している。

     これは当初、1998年の計画では、一回10秒間の重水素プラズマ放射実験を年間、数千回も行うというものだった。
     このとき、わずか10秒間に発生する中性子の量は50万シーベルトであって、1000兆ベクレルを超えるトリチウムを発生させるという。

     なぜ中性子が発生するかといえば、プラズマに重水素が入ると核融合反応が起きるからである。これを持続させれば核融合炉ということになるが、半世紀以上の実験を経ても、持続的核融合炉は世界中の誰も成功していない。
     
     だが、莫大な中性子は生成される。
     人間一人の100%致死線量は7シーベルトであり、この10秒間の中性子量は7万人分の致死量にあたる。トリチウムの量も原子力発電所なみであった。

     これに対し、槌田敦氏や小柴昌俊氏などの良心的学者から強い疑念が表明され、大きな反対運動の盛り上がりになったことで、融合研側は、あわてて実験計画の縮小を発表した。
     しかし、その説明が、まったく子供だましのウソに満ちていて、反対派の強い怒りをかった。

     核融合研の公表試料やパンフレットは虚偽に満ちている。
     
     http://www.nifs.ac.jp/~j_plan_001.html

     パンフレットには一回3秒の実験で、1億ベクレルのトリチウムが発生し、大半を回収すると書かれているが、3秒の実験を一日何回、年間何回やるのかについては、どこにも書かれていない。

     これでは、パンフレットを見た読者は、3秒、1億ベクレルのトリチウムで、すべて終わりと勘違いしてしまう。
     それどころか、当初、核融合研側は、この実験ではトリチウムは使わないと説明してきたが、これが真っ赤なウソであった。
     市民団体側からの指摘で、渋々自白したのである。

     実際には、3秒の実験は、他の資料によれば一日30回、週4回であり、年間555億ベクレルのトリチウム放出を予定しているのである。
     日あたり30億ベクレルのトリチウム取り扱いは、研究所側の説明による放射線管理法にさえ抵触しない微量どころか、明確に法的規制対象を意味するものである。

     年間の稼働日数によっては、さらに一桁以上大きくなる可能性もあり、これは通常の加圧水型原子炉の放出量と同じレベルである。
     しかも、トリチウムの95%を回収すると説明しているが、そんな技術は、今のところ、世界中のどこにも実現しておらず、口先だけのごまかしにすぎない。

     【恐怖の中性子】

     中性子の放出量も、当初の一回あたり、50万シーベルトから減るとはいうが、一日、30回も14MeVという超高エネルギーで、10万シーベルト以上の中性子が環境に放出されるのである。

     中性子は放射線のなかで、もっとも恐ろしい線質で、ガンマ線の20倍の生体細胞破壊効果があるとされる。
     人体に当たると体内に放射能を作ってしまい、内部被曝を引き起こす。
     東海村JCO臨界事故のとき、10キロ以上離れた地点の家屋内から、中性子の痕跡であるナトリウム24が発見されているので、飛距離も数十キロを考える必要がある。

     一般に中性子の飛距離は数百メートルと説明されているが、実際には数十キロの飛程もありうることが証明されたのは、JCO事故が初めてであった。これは確率の問題なのだ。

     ガンマ線も透過力が強いが、中性子の比ではない。理由は、中性子が電荷を持たないため、電気的干渉(クーロン力)の影響を受けないためである。
     中性子の遮蔽は、唯一、水素原子の衝突、弾性散乱によって行われる。弾性散乱とは、ほぼ同じ質量の原子どうしがぶつかることで、相互にエネルギーを交換し、反対方向に散乱する減衰のメカニズムである。
     陽子一個分の質量の中性子(核子)は、陽子一個だけを持つ水素原子と同じ質量で、この正面衝突によってエネルギーを失うことが遮蔽を意味する原理になる。

     このため、遮蔽には、水や、水を含むコンクリートなどが使われる。
     人体は70%以上が水分であるため、中性子の被曝をまともに受ける。

     かつて、「中性子爆弾」が計画された理由も、中性子が水分の多い生物だけを破壊し、建物などを傷つけないと誤解されたからだが、実際には、人間を殺すほどの中性子放射があると、被曝したすべての物質が放射能に変わってしまい、人間は利用どころか、近づくことさえできなくなることが分かって愚かな妄想は終わった。

     核融合研側は2mのコンクリート壁で1000万分の1まで減衰遮蔽すると主張するが、中性子エネルギーが14MeVと猛烈に強いことと、発生量が膨大であるため、必ず、遮蔽能力を超えて通過する確率が出てくる。

     放出された中性子の、すべてが水素元素と衝突して減衰するわけでなく、一部は、すり抜けて外部に放射されるのである。
     こんなのを一日30回、年間数千回もやられたのでは、周辺住民の健康はたまったものじゃない。

     本当に安全な遮蔽は、おそらく数十億分の1以下に減衰可能な遮蔽能力が必要で、この場合、遮蔽には10m厚以上の水プールで覆うことが必要になるはずだ。
     あまけに、中性子にはスカイシャインという散乱現象が存在し、遮蔽のない天井部分に放射された中性子は、空中の水素原子と弾性散乱を起こし、エネルギーを減衰させて反対側に戻って来るのである。

     つまり、上空に向かった中性子の相当割合が、多治見・土岐市街地に放射されるのである。
     JCO事故の際、数十キロの飛距離が確認された理由は、このスカイシャインによるものではないかと私は考えている。

     この散乱によってエネルギーの弱まった中性子が、また実に厄介な代物で、高速中性子から熱中性子へと変化し、ぶつかった原子に容易に潜り込んで放射能化してしまう。
     人体・生物への被曝影響が著しく大きい理由は、この熱中性子の核反応=放射化能力にある。

     たとえ一回あたりの被曝量が微々たるものであっても、一日30回、年間数千回も浴び続ければ、必ず健康被害が出てくるであろうことは容易に想像できよう。

     さらに、減衰した中性子が、周辺のあらゆる機器、建物、土壌に潜り込んで、これを放射能化することを忘れてはいけない。
     この実験は、膨大な核廃棄物を作り出すことになるだろう。

     鋭敏なスペクトル測定器を持参して、重水素実験中に施設の外側にいれば、中性子の生成したナトリウム24の1369KeVガンマ線を容易に検出できるはずだ。
     市販の中性子シンチレータにも明瞭に反応するだろう。

     【核融合研の卑劣な体質】

     名大プラズマ研究所が発展的に移転した核融合研は、名大時代の体質を引きずっているのか、あらゆるところでウソをつく傾向がある。

     「実験にトリチウムは使わない」と説明しておきながら、実態はトリチウム実験そのものであったこと。

     パンフレットに、矮小卑劣な誤解を目的にした、説明ばかりが目につくこと。例えば、一日30回もの試験を行うのに、説明を見ると一回だけのような記述になっている。

     実験によって発生するトリチウムを95%除去と、世界の誰も成功していないウソを書いて「だから安心」と誤魔化す。

     一番ひどいのは、住民や地元自治体の説明に、公正中立な安全評価委員の判断に委ねたとの下りで、ここまでくると核融合研が、旧動燃なみの、とんでもないウソつき組織だと分かる。

     核融合研は、「公正・中立な第三者の専門家、市民」から構成されている安全評価委員会で、重水素実験の安全性が確認されたとしている。
     東濃3市もこの委員会の安全確認をよりどころにして同意の方針を打ち出した。

    だが、この安全評価委員会の委員16名はその過半数を超える委員が核融合研への理解、協力者であった。
     うち2名は核融合研の運営会議に所属。人選も核融合研が行い、場所も核融合研の建屋で行い、報酬も核融合研が支払っている。

     どこが 「公正・中立」なのか?
     多治見市長は3月19日の一般質問で、この委員会が公正・中立なものと「判断できない」と答弁しながら実験に同意を決定した。

     こんなウソつき体質の核融合研であるから、中性子の遮蔽も、まったく信用できない。
     たとえ1000万分の1以下の遮蔽力であっても、元の中性子が安全量の1000万倍あれば、それは遮蔽ではない。
     私は、スカイシャイン効果による中性子反射被曝が、想像以上に大きい可能性を恐れている。

     【重水素実験(DD実験)】 「東濃核融合科学研究もんだい」から引用

     DD実験とは、5kev程度の温度をもつDプラズマに、250kev程度の高エネルギーの水素(H)ま たは重水素(D)のビームを入射して、Dプラズマの温度を高め(これを熱化という)、これにより核融合を起こさせることを目的としている。

     このDとDとの衝突によるDD核融合反応は次の反応式群で示すように(i)と(ii)の2つの反応から なりたち、トリチウム(T)と中性子(n)を発生する。

    (i)   D+D → p +T
    (ii)  D+D → 3He+n(2.5Mev)

    しかし、この反応はこの段階で止まらず、次の(iii)と(iv)の2つの反応がただちに起こることに なる。

    (iii)  D+ T → He + n(14.0 Mev)
    (iv)  D+3He → He + p(水素)

    この2つの反応は、DとDの反応よりも容易に起こるので、核融合研究では最も重要な研究とされている。

    (iii)の反応はDT反応と呼ばれ、トリチウムの使用と同時に、14Mevという超高エネルギーの中性子を発生することになるので、多くの市民運動の 反対にあい、相手方は「トリチウムは使用しない」と約束したのである。

    そこで、相手方は (i)、(ii) の反応から直ちに (iii) の反応が生じるDD実験の実施をすることにより、(iii) の反応による実験を実施することを考え出したのである。
     DD実験は実質的にはDT実験と言って良い。DD実験は明らかに「トリチウムは使用しない」という 約束に反する。

     中性子の危険性

    1) 重水素実験にあっては、高エネルギー中性子の発生は不可避である。本実験では大量に発生する中性子が遮蔽壁で守られているに過ぎない。遮蔽壁が何らかの理 由で崩壊すれば大量の中性子が外部に放散され被害が生じる。たとえば、LHD内には実験中、装置内には高いエネルギーが存在することになるが、炉に事故が 生じれば、行き場を失ったエネルギーによる爆発、さらには中性子漏れという事故が生じることになる。

    2) 本件遮蔽壁は構造上天井部分が薄くならざるを得ず、その薄い部分を経て透過する中性子が漏れることになる。これらの漏れ出た中性子は外気中で反射し、地上 に降り注ぐことになる(スカイシャイン現象)。

    3) 中性子は遮蔽壁と外部をつなぐパイプなどを通じて遮壁外部さらには施設外部に漏れ出す危険がある。

    4) 本件炉から発生する中性子により炉本体はもちろん、外部装置は放射化し、放射性廃棄物となる。特に、炉で使用されるニオブの放射化が深刻である。こうして 放射化した物質により申請人らに健康被害が生じる危険性もある。

     【現実問題として多治見・土岐市住民は、どのような被害を受ける可能性があるのか?】

     計画の概要を見る限り、有毒有害なトリチウムの生成量は年間500〜1000億ベクレルにおよび、ほぼ加圧水型原発による放出量と同程度になる。
     核融合研側の説明にあるトリチウム95%回収は、現実に成功例がなく、まったく信用できない。

     これまで、このレベルのトリチウム排出を行ってきた、すべての原発の周辺自治体で白血病発症率の上昇が見られる。

    � ’雕蟯�羽原発の周辺自治体では、女性の白血病発症率が全国平均の二倍になっている。
     
    �◆ 峺竺じ業�がある佐賀県玄海町では、子どもの白血病の発症率が全国平均に比べて10倍以上高い」
     (2012年3月19日発行 肥田舜太郎著『内部被曝』より)

    �� カナダ・ピッカリング原発では、トリチウムの放出により、周辺住民新生児のダウン症発症率が80%上昇した。

    �ぁ\朕晃�立中央病院のホームページによれば、青森県内の白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫は、東北地方最多である。
    この原因として、六ヶ所村再処理工場の運用や過去の核漏洩事故頻発が強く疑われている。

    �ァ.侫薀鵐垢離薀◆璽阿筌ぅ�リスのセラフィールド再処理工場の周辺でも、被曝影響を受けない地方の数十倍の白血病発症が確認されている。

    2002年、国際的なガン研究の専門誌(International Journal of Cancer)に、セラフィールド再処理工場で働き被ばくした男性労働者の子どもたちは、他の地域の子どもたちに比べ、白血病、リンパ腫など血液のガンの 発生率が2倍近く高く、工場があるシースケール村においては、15倍も高いリスクがあった。

    �Α.侫薀鵐垢如�原発から5キロ圏内の子どもと一般の子どもの白血病発生率の比較を行った。15歳以下の子どもは、他地域の子どもに比べて白血病の発症率が1.9倍高く、5歳未満では2.2倍高い。

    �А.疋ぅ沈�府の調査では、原発から5km圏内の小児ガンは全国平均の1.61倍、小児白血病は2.19倍となっている。

    �─ 峺業�5キロ圏内で子どもの白血病が倍増」
    フランス国立保健医学研究所が国際誌にて発表/ルモンド紙
    (2012年1月14日 フランスねこのNews Watching)から抜粋

     反論できない危険信号が発せられた。フランスにある原発の5キロ圏内に住む子どもたちは、通常の2倍の割合で白血病にかかる、という指摘だ。フランス国立保健医学研究所(INSERM)のジャクリーヌ・クラヴェル氏が率いるフ ランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)の科学者研究チームが『国際がんジャーナル』(International Journal of Cancer)に発表した。これは過去にイギリスのセラフィールド原発、スコットランドのドーンレイ原発、ドイツのクルーメル原発において実施された調査で、原発の近辺に住む子どもたちに通常より高い率で白血病が発生することが証明されたのに続く調査結果である。


     これらの告発報告は、無数といえるほどあって、いずれも原発放射能と周辺に居住する子供たちの白血病ガン発生率との相関関係を示すものである。
     ICRPはじめ国際原子力産業は、これらの報告を隠蔽し、無視し、矮小化して民衆の健康を犠牲にして原子力産業を守ることに専念してきた。

     土岐市・多治見市における重水素実験も、まったく同じスタンスであって、トリチウムの有害性が、すでに立証されているにもかかわらず、半世紀前の無害論を持ち出して、健康被害への懸念を嘲笑するような姿勢に終始している。
     
     土岐・多治見市長の無知蒙昧ぶりからも、このまま実験が続けば、白血病やダウン症児増加などの被害は避けられないだろう。
     これまで、放射能被曝の意味を理解できる住民によって多くの啓発的市民運動が行われてきたが、社会全体の「拝金主義」風潮から、目先のカネのためなら未来の子供たちの健康など、どうでもいいと考える市民が増えているのも事実であって、被曝被害に関心を持つ市民は少ない。

     こうした被曝被害が、人々の目に理解されるには、数十年という時間が必要である。残念ながら、我々は問題の解決を未来に委ねるしかなさそうだ。

     この土岐核融合研による重水素実験は、トリチウム問題に加えて中性子問題が露見している。

     中性子被曝については、過去にJCO(住友金属鉱山)によるウラン臨界事故のデータしかないが、このときも、数十キロ離れた地域にまで中性子の痕跡が残されていて、原因として中性子上空散乱=スカイシャインを強く疑っている。

     核融合研側の中性子対策は2mのコンクリート壁だけであって、スカイシャインに対する対策は皆無のようだ。
     したがって、実験開始後、周辺住民に中性子被曝の可能性が強く疑われる。
     これは本当にそうなるのか、反対派側の技術を総動員して監視してゆくことになるだろう。

     もし予測どうりスカイシャインによる周辺住民の中性子被曝が発生した場合、これは恐ろしい結果を招くことになるだろう。
     住民は、中性子という、もっとも危険な放射線の生物学的効果のモルモットにされることになるだろう。

     【河田昌東氏のこと】

     なお、この土岐重水素実験への反対市民運動の講師として度々登場してきた、元名大生物学助教、河田昌東氏については、私はフクイチ事故後の姿勢に強い疑問を持っており、あたかもエートス賛成派のような講演を聴いて強い不快感を抱いた。

     彼は、福島の重被曝地の子供たちを移住させようとしない。そこで防護措置をとれば生きてゆけるかのような幻想を抱かせる。

     なぜ、彼が、エートス賛成派と同じスタンスをとるのか、彼自身による放射線ゲノム研究報告を聴いて理解した。
     彼は科学の発展のためには、住民の犠牲があってもやむをえないという学問上の立場である。

     放射線被曝に閾値は存在せず、どんな微量被曝であろうと、それなりの結果が出ることが明らかであるが、そんなことを言っていては科学の進歩がないという理屈であり、容認限度を定めて我慢せよというわけだ。

     彼は放射線ゲノム研究に妊婦研究員を参加させ、実験を通じて5ミリ以下の被曝だったから安全だったと結論づけた。
     だが、本当にそうなのかは、放影研の広島被曝報告を見て判断願いたい。

    http://www.rerf.or.jp/radefx/uteroexp/physment.html

     私は、河田氏の姿勢では、彼と同じ学閥に属する核融合研の重水素実験計画も「科学発展のために容認」という結論に傾斜することを危惧している。

     私は30年以上前に、河田氏の主宰する「反原発キノコの会」に参加しようとしたが、結局、違和感を感じて離れることになった。
     その原因について、こうした科学優先思想に対するモヤモヤした違和感だったと、なんとなく納得がいった。




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     放射線・放射能測定の知識http://admin.blog.fc2.com/control.php?mode=editor&process=load&eno=55#



     私は30年くらい前に放射線作業に従事したことがあって、そのとき、いくつかの放射線取り扱い国家資格を取得するとともに、放射線測定を学んだ。



     とはいっても、GM式サーベイメータで作業環境の測定をする初歩的なもので、環境に拡散してしまった放射能を測定するなど、高度な測定は、フクイチ事故後、すべて手探りで身につけたものである。



     今回は、たくさんの測定を行ってきた経験から得た、あまり知られざる知識を公開しておきたい。

     少し内容が専門的すぎて、わかりやすさをモットーにしてきた私の信条から外れるが、これ以上、わかりやすくする能力は私にはない。



     当時、私が測定上の知識として理解していたのは、ガンマ線がエックス線や紫外線と同じ光の粒子線であって、ただ波長だけが異なること。

     エネルギーが上がる=波長が短くなるにつれて透過力が強くなること。



     ベータ線が電子と同じものであること、空中での飛距離も1m以下であることなど程度であった。

     ベータ線が鉄骨などに当たったり、電界で進路を曲げらるとエックス線が出てくることも知識にあった。



     この程度の知識でありながら、フクイチ事故後の環境放射線測定は一定の成果があったと思うが、放射能の挙動と被害は複雑怪奇で、調べるほどに高度に専門的な知識が要求されることを知らされた。



     【放射線の基礎知識】



     まずは、放射線と放射能の違いについて。

     放射線はアイソトープ=放射能から出てくる粒子線のことで、アルファー線・ベータ線・ガンマ線・中性子線の四種類がある。厳密には、この数倍あるが、実用上は4種類覚えれば十分である。



     アルファー線は原子核のことで、一番質量が大きく、飛距離は数ミリと短いが、エネルギーは非常に大きい。

     外部から被曝しても、大半が衣類や皮膚で跳ね返され、ほとんど影響をもたらさないが、体内に入ると細胞を直接破壊する猛毒物質となる。



     ベータ線はエネルギーの高い電子と同じもので、これは外部被曝でも皮膚に強い放射線障害=ベータ線熱傷をもたらすことがある。

     体内に入った場合も、アルファー線ほどではないが、細胞に強い電離作用をもたらし、遺伝子を破壊する性質がある。

     内部被曝の危険度はアルファー線の10分の1程度である。



     ガンマ線は、光や電波と同じものだが、波長が普通の光より極端に短く、極めて物質透過性が強い。

     このため体内を通過するときに、電離作用によって細胞を破壊するが、その威力は内部被曝におけるアルファー線より弱い。



     セシウムやコバルトから発射される高エネルギーのガンマ線は、体内に電離被曝を与える前に突き抜けてしまう確率が高い。

     電離作用の危険性はベータ線と同程度である。



     ガンマ線の場合は100KeV以下のエネルギーの弱いものの方が皮膚や目の細胞に吸収されやすく、内部被曝でも突き抜けずに破壊を起こしやすいので危険性が高い。

     1KeV付近の軟X線は、紫外線と同様、皮膚に効率的に吸収されて皮膚ガンや白内障のイニシエータとなる。



     ICRPによる線質や線量当量評価が問題なのは、一番作用の弱いガンマ線外部被曝だけを重視し、アルファー線・ベータ線の内部被曝による遺伝子破壊作用を極端に軽視していることである。



     この理由については、ICRP線量等量評価報告書をまとめた張本人が、「原子力産業への配慮から内部被曝を千倍も小さく見積もってきた」と自白している。

     http://no-nukes.blog.jp/archives/7316790.html



     中性子線は極めて特殊な条件(原子炉や再臨界核燃料)などからしか出てこないので、水素によって遮蔽されるなどの基本知識を知るだけで十分である。

     JCO臨界事故のような場合には出てくるが、外部被曝のみで、体内を透過するとき水分の働きで減速して細胞構成原子を放射能化してしまう。

     被曝危険度は最高、ガンマ線の20倍に及ぶ。

     透過力はJCO事故のとき20K離れた家屋内でナトリウム24が検出されているので、実際には数十キロはあると思われる。



     フクイチから出た放射能のうち、内部被曝などで人体に害を与えるため、必ず知っておかねばならないのは上に述べた4種類である。



     放射能・放射線の測定には、先に書いたように、IAEA・ICRPの定めた概念に大きな欺瞞があるので注意が必要になる。



     放射線測定の基本は



    � (�射線の種類 アルファー線・ベータ線・ガンマ線を見分ける

    �� そのエネルギーレベルを調べる

    �� 線量率(単位時間あたり放射量)を調べる

    �ぁヽ房錣鯆瓦戮�



     実際の測定に使われるのは

    ��GM管式

    �▲轡鵐船譟璽深�

    �E杜ト⊆�

    �と焼蛎亮�

    であり、シーベルト級線量を測定するときはセレン計などを使う。実用にはGMとシンチだけ覚えればよい。



     エネルギーと核種を見ることができるのはシンチレータ・スペクトル検出器のみであるが、基本的にガンマ線だけの測定になる。

     中性子やベータ線の測定は、専用のシンチ測定器が必要になる。



     GM管の場合、中性子以外の3種類とも検知可能だが、それぞれの線質別に測定するためには工夫が必要である。



     電離箱式の場合は、エネルギー依存性が非常に少なく、ほとんど補正の必要ないデータがダイレクトに取れるが、持ち運びなどで不利なことが多いので、屋外で使われることは少ない。



     【GM管式測定器の使い方】



     フクイチ事故以来、もっともたくさん使われている線量計がGM管式で、インスペクターやソエック・ラディックスなどが有名であるが、きちんとした使い方を知らないでいる人が多いので、必要な知識を書いておきたい。



     GM管式測定器は、検知管に入った放射線が一個一個、電気信号に変換されたパルスを計測する仕組みであるため、この数を数えてから定数に応じてシーベルト値に変換したり、そのまま毎分あたりカウント数(CPM)を表示する。

     ベクレルに換算する機種もあるが、理論的には無理なことで、核種をセシウム137に限定し、大雑把な参考値として示す程度である。



     GM管式で信頼のおける数値はパルス個数のみであり、シーベルトやベクレルへの変換は便宜的なものにすぎず、信用すべきでない。



     パルス個数でも、すべての放射線が100%パルスに変わるわけではないので、条件に応じた補正が必要になると理解していただきたい。



     とりわけ核種の異なるガンマ線の測定は厄介である。

     ガンマ線の検出効率は0.1〜1%程度しかないため、セシウム137のガンマ線で更正するのが普通である。

     核種が変わるとエネルギー依存性のため、誤差が大きくなる。



     ベータ線の検出効率が100%近くあるため、少しでもベータ線のカウントが含まれると、過剰測定が生まれて正しい測定値が出にくい。このためベータ線遮蔽ケースを使う必要がある。



     基本的にGM管は、通過した電離放射線の数を数える測定器であって、エネルギーや正確な線量当量(シーベルト値)を知ることはできない。



     しかし、ベータ線の個数を調べるには高い感度を発揮し、高効率な測定が可能である。厳密に調べる場合は、ガンマ線・宇宙線の影響を排除するため10センチ厚の鉛遮蔽が必要になる。

     エネルギーや核種を調べたい場合は、シンチレータ式測定器を使う。



     通常の小型GM管のCPM:シーベルト(線量当量)変換定数は、1マイクロシーベルトあたり120CPM(毎分120カウント)前後が多く、インスペクターなどの大型管では同じく330CPM前後である場合が多い。

     この線量当量(生体細胞に対するダメージの単位)の値は適当なものであって信頼性に欠ける。



     線量当量率はセシウム137ガンマ線を基準にしてある場合が大半で、エネルギーの大きく異なる他核種の測定では校正補償が必要になる。

     GM管にはエネルギーレベルによる検出特性があって、1000KeVを超えたりすると、電離反応を起こす前に突き抜けたりして、検出効率が落ちてしまう場合があるため、エネルギー補償機構つきが望ましい。



     高価な測定器には自動補償、補正機能がついているが、安価な測定器では自分でエネルギー補正をしなければならない。



     測定器のエネルギー特性

    http://blog.livedoor.jp/nijhousi/archives/52034643.html



     また入射個数が大きくなると分解時間を超えて窒息現象が起きるため数え落としが発生することになり、計算補正が必要になる。



     真の個数(CPS)=表示個数(CPS)÷(1−表示個数×分解時間)

     計算にあたっては、分解時間表記がマイクロ秒のため、10^−6とする。



     この場合、普通に使われている小型GM管の場合、分解時間(不感時間)が90マイクロ秒とすると、表示が10000CPM=83μSv/hの場合、1.8%程度である。30μSv/hあたりまでなら、ほぼ影響はない。



     インスペクターのような大型GM管の場合、分解時間40マイクロ秒、表示が毎分100000CPM=303μSv/hとして1666CPS。

     補正値は1785CPS、数え落としは119CPS=7140CPM、約7%程度になる。

     10000CPM(30μSv/h)の場合、0.6%程度しか数え落とさない。

     

     【放射能汚染地での使い方】

     

     フクイチ事故以降は、ほとんどの場合、放射能汚染地の空間線量の測定に使われているはずだが、この場合も、かなり予備知識が必要になる。



     まず、放射線というものは、毎秒ごとに安定した放出率があるわけでなく、非常にランダムで大数の法則に従うため、最低でも3分以上、可能なら10分以上計ってから平均値を求めないと正しい測定値にならないと知るべきである。



     GM管の電離信号が作動する電圧はプラトー領域と呼ばれる数百ボルトで、単三電池から数百ボルトをコンデンサに入れるだけで数十秒かかる。 (電力はほとんど消費しない、電圧をかけるだけで、電離があると「電子雪崩」を起こして信号に変わる。)



     数十秒以下の測定では、出てきた数値も安定せず、ノイズばかりの低品質なものになってしまう。

     測定器のスイッチを入れて電気信号が安定するだけでも1分程度を必要とするので、スイッチオンから「3分間待つのだぞ」を心がけていただきたい。



     安定した品質の高い測定値のためには、一カ所で30分程度、同一条件で測定して平均値を求めるのが正しい。このとき外部ノイズを排除するため、極端で、おかしな値を削除してしまって、中央値に近い標準偏差内の値だけを用いた方がよい。



     食品などの測定の場合は、必ず長時間測定を行い、外部BGの影響を排除するため、できるだけ厚い遮蔽箱を用いる必要がある。

     最低でもBGを半分以下にできる遮蔽箱は必需品であろう。これでも、分かるのは、キロあたり数百ベクレル以上の大きな汚染のみである。

     これでも原発放射能事故から1年は有効である。

     数ベクレルの汚染を知ろうと思うなら、厚さ5センチ以上の遮蔽のある精密測定器を使う必要がある。



     食品や土壌などの場合、遮蔽箱内で1時間以上のBG、平均値を採取し、サンプルを入れて30分以上の平均値を出し、BGから差し引くことで信頼性のある線量が測定できる。

     数カウントでもBGに対して明瞭な差が出れば、放射能汚染は想像以上に深刻と考える必要がある。

     産総研の校正用玄米を校正に利用すれば、正しいベクレル値に近い値を推定できる可能性がある。



     土地の汚染、空間線量率測定だが、必ず地上1mと地表の二カ所を測定する必要がある。

     またはベータ線を遮蔽する厚さ3ミリ以上のアクリルケースに入れて測定と、外して測定の二種類のデータが必要になる。



     理由は、汚染地のガンマ線空間線量と、地表のベータ線線量を区別するためであり、この差、乖離によって汚染が原発放射能由来であることが明確になるからだ。

     空間と地表が同じ値なら放射能汚染はないと判断できる。



     まず地面から1m以上、離すことで、アルファー線・ベータ線が届かなくなり、ガンマ線の線量率だけが残ることになる。

     次に、地表面を測定し、その値から1m空間測定値を差し引けばアルファ、ベータ線の地表における線量率が分かる。



     GM管のベータ線感度が良すぎるため、シーベルト値(線量等量)の表示される測定器では、セシウム137のガンマ線を基準に校正してあるため、地表のベータ線が含まれる測定値では、実際より、はるかに大きな値になってしまう。

     したがって地表の値は参考記録とし、土地の汚染値は1m空間値の方を採用しなければならない。

     このとき、ガンマ線しか計れないシンチレータ式測定器を併用すると、GM管式の値との乖離と補正すべき比率がわかりやすい。



     ベータ線だけの測定の場合は、シーベルト値を無視してCPM値、パルス個数だけを見る。

     放射線の個数を表示するGM管測定器では、ベータ線を、ほぼ全量を計測する性能がある。ガンマ線は0.1〜1%%程度にすぎないので、全量ベータ線個数とみなしても大きな誤差は出ない。

     シーベルト値を見てしまうと、100倍以上の過剰値になるので注意されたい。(ラディックスのようにCPM表記のないGM測定器は使えない)



     【アルファ線の測定】

     

     GM管でアルファー線を計測する場合、特別な条件が必要である。

     まず、測定器の検出窓がマイカ(雲母)でできている必要があり、さらに測定口から検知窓までの距離が10ミリ以下である必要があるので、条件を満たしていない測定器が多い。



     アルファ線を測定する場合、必ず汚染を濾紙に拭き取り、移し替えてからGM管の窓で測定しないと、取り返しのつかないコンタミ汚染を引き起こす可能性がある。この方法を「スミヤ法」と呼ぶ。



     例えば、ダイレクトに「黒い粉」のようなアルファ線を測定窓につけて計ってしまうと、検出窓が微粉末で汚染されてしまい、この場合、マイカ窓の清掃は絶望的に困難である。

     いったん測定窓がアルファー線核種に汚染されたGM測定器は、以降ガンマ線の測定もできなくなる。

     アルファ線の空間飛程は最大数センチ程度が多いので、検出口まで汚染を拭き取った濾紙を近づける。

     このときコンタミ汚染を引き起こさないよう最大の注意が必要である。



     アルファ線が検知窓を通過すれば、検出効率は100%であるが、カウントが多い場合はベータ線同様の数え落とし補正を行う。

     正しいアルファ線の線量率を知るためには、標準の表面汚染、校正用線源が不可欠である。

     厳密な測定には、外部ガンマ線の影響を受けない5センチ厚以上の鉛遮蔽内での測定が望ましい。



     【シンチレーション式測定器で注意すべきこと】



     シンチレーション式測定器は、すでにGMからとって変わって測定器の主役になっている。

     大半の線量計がガンマ線しか測定できない。これは、ベータ線による過剰検出の影響を避けられる代わりに、フクイチ放射能由来であるベータ線を検出できず、放射能汚染の判断が困難である。



     シンチレータはCSI・NAI結晶が代表的だが、たくさんの種類があり、一長一短がある。

     基本的には、シンチレータ結晶を放射線が通過すると励起によって蛍光が発生し、それを光電増幅装置で信号に変えて記録する。

     放射線のエネルギーに比例した蛍光が起きるので、個数だけでなく、エネルギーや核種まで知ることができる。

     水素を含むシンチレータなら中性子の測定も可能である。



     昔は非常に壊れやすいもので、知人から借りて測定中にプローブを落として壊してしまい、修理代に10万円も支払った苦い思い出もある。

     今は、携帯型なら落としても壊れることは少ない。大型のものはガラス製の光電子増幅管が入っている可能性があり、割れやすいから注意が必要である。



     【私が使用しているシンチ測定器】



     私が使用しているシンチレータ測定器は、空間線量率を測定するタイプとして、テクノAP社のTA-100U、これは2011年夏頃購入したものだが、結構な価格で、長所としては、パソコンにスペクトルや線量率を記録保存可能ということである。

     短所としては、とても感度が低くて、土壌のスペクトルを測定記録する場合でも、最低1000ベクレル以上ないと、セシウムXも検出できない。

     それでも線量率グラフは、普段は見落とすジャイアントパルスも記録でき、時系列での比較が可能なので、空間線量率による地震予知などの道具として利用可能である。



     もう一つは、シンメトリックス社のIFKR254で、これは1インチのCSIを備え、感度も良く、5種類の核種を検出できる。

    ただし、実用上は、K40とセシウムXの検出くらいしか意味はない。

     ビスマス214とヨウ素131の検出能力が欲しいが、いずれもセシウムXや鉛214のピーク内に入ってしまうので区別不能になってしまい、シンチレータの分解能(IFKR254は5%)では線量の検出は困難である。



     使用法としてはカメラ用三脚に収納容器を接続(三脚ねじを切ったもの)、地面から1m離した空間に計器を置いて、パソコンに接続、専用ソフトで時間ごとのスペクトルを記録、単位時間(1時間程度)に何個のガンマ線が通過したかを記録して、土地の汚染度と核種を調べる。

     

     コバルト60が検出された場合は、サムピークなどゴーストピークを見分ける必要があるため、土壌サンプルを採取して厚い遮蔽を持った専用スペクトル計で分析することになる。



     当時、70万円程度の価格で、性能から考えれば非常に安価だったが、その後、CSI結晶価格が暴騰して、現在は100万円を超えている。

     キチガイ政権による消費税の泥棒的値上げがあって、こうした高価品の購入は困難になっている。



     付属遮蔽装置を使えば、サンプルのベクレル測定も可能だが、キロあたり200ベクレル以上でないと誤差の少ない正しい値には、なりにくいので実用上は無理がある。



     【ベクレル計 】



     食品の放射能測定には、当初、普通のGM管を遮蔽箱に入れるスタイルで使っていた。

     しかし、GM管とバックグランド線量を半分程度遮蔽する組み合わせで得られる汚染の検出は、キロあたり300ベクレル以上で、それも数カウント程度の差であるから、放射能事故直後の緊急対応くらいにしか使えない。



     そこで最初に購入したのが、ドイツ製のスクーリング食品放射能測定器、EL25であった。

     これも結構な値段で、50万円以上したが、性能は期待外れで、カタログではキロ20ベクレル可能と書かれていたが、実際にはキロ200ベクレルがいいとこであった。

     それ以上のベクレル値ならば、結構正確で、数百万の高額品と大きな差はなかった。



     検出器は浜松ホトニクス製の2インチ薄型NAIが入っていて、相当に性能が良いものだが、遮蔽が10ミリ厚鉛では、薄すぎてどうにもならない。

     そこで、遮蔽鉛を別途購入、周囲に詰めて厚さ3センチ程度まで増やすと、やっとキロ100ベクレル程度は検出できるようになった。



     キロ100ベクレルでは国の規制値じゃあるまいし、やはり食品測定としてはキロ数ベクレル程度の検出能力が欲しい。

     だが、私の資力では、それ以上の精密測定器を購入することは不可能だった。



     そこに降ってわいたように、蕨市のIさんから測定器購入資金の協力の申し出があり、シンメトリックス社のIFKR254 やZIPを扱うことができて、本当に感謝している。

     もうIFKR製品は個人では手が届かないほど高価になっていて、普通なら触ることさえできなかった。



     【食品放射能測定器、IFKR-ZIP】



     この測定器は2012年ころ、シンメトリックス社の野中修司社長が開発したもので、キロあたり1ベクレル程度まで検出できる画期的な測定器である。



     当初の販売価格は150万円、もちろん私は買えなくて、蕨市のIさんの援助申し出にすがった。

     現在ではCSI価格の暴騰により200万円を超えている。あまりに高価なので、私が測定をやめたらIさんに返却する約束をしている。



     数百万円もするNAI測定器でも、実際の精度はキロあたり20ベクレル程度がやっとであって、1ベクレルという精度は驚異的なレベルである。



     最高精度とされるゲルマニウム半導体測定器でも、実質的な精度はキロあたり1ベクレル程度しか使えない場合が多い。

     理由はMCAの性能が悪く、10時間を超える長時間測定で、データの矮小化が起きてしまうからである。



     おまけに1ベクレル以下の精度にする場合は、1トンもの鉛遮蔽と、液体窒素によるサンプルと検出器の冷却が必要になり、多額のコストがかかる。

     民間測定所では運用コストに耐えきれず、液体窒素を使用しない測定も行われている。この場合、キロ1ベクレル以下の精度は出ない。



     ゲルマニウム半導体の分解能力は、我々の保有するシンチ計の50〜100倍あって、性能的には太刀打ちどころではないが、1トンもの設備と液体窒素ランニングコストの負担を考えれば、諦めるしかないだろう。



     ZIPの場合は、常温測定で冷却不要、重量も50Kg程度しかない。

     外観は極めてコンパクト、ゲルマ機のように床改造も必要ない。

     CSIシンチはNAIに比べて温度ドリフトが3分の1以下なので、大げさな空調コントロールも不要で、測定器が10度以上40度以下なら正常に作動する。

     5度以下になると、さすがにゲイン調整が必要なドリフトが生じてくる。寒さには少し弱いようだ。



     サンプル容器は、ゲルマ機でもNAIシンチ測定器でも検出器センサーが円筒形であるため、それを覆うような変則的なマリネリ容器が使われる。

     ところが、この容器は複雑な形状のため、平均に詰めるには熟練を要し、平均でないと誤差が大きく出てくるのである。



     汚染サンプルは、検出器にガンマ線を届ける前に、自分自身による遮蔽で吸収されてしまうことがあり、これを自己吸収と呼んでいる。

     液体の場合はひどく、水の場合は3センチ厚を超えると自己吸収によって線量が大幅に低下してしまうため、マリネリ容器は、どこでも3センチ厚を超えない形状に設計されている。



     これに対し、野中修司氏は、市販のZIP袋を、そのまま測定容器にすることを思いついた。

     100×140ミリZIP袋なら、水を入れても3センチ厚を超えない。形状も一定している。

     この大きさだと、玄米が160gずつ、計320g入り、軽快なフットワークで測定が可能である。

     ZIP袋はホームセンターなど、どこでも安価に入手可能である。測定後、そのままサンプル資料として保全することも容易である。



     測定器に二つのZIP袋収容穴を設け、それを挟むような位置にCSI2インチ相当の結晶を置くことで、測定効率はマリネリ容器よりも優れたものになった。

     また驚異的なMCA性能と併せて、超長時間測定でもドリフトを起こしにくく、温度変化に強く、20時間の連続測定を可能にしたことで1ベクレルの精度を確保することに成功した。



     条件を整えれば、キロあたり0.2ベクレルでも検出可能であるが、数日間もかかってしまい、環境ノイズの影響を受けて誤差が多くなる。



     【1ベクレルのために】



     現在、IFKR-ZIPの公称精度はキロあたり3ベクレルになっている。

     理由は遮蔽が鉛40ミリと薄いことで、実は、この遮蔽力では、バックグランドの変化に対応した、安定した1ベクレル精度が出せないのである。



     BGをたくさん採取しても、BGごとに測定値が変動することになる。これでは1ベクレル精度を主張する資格はない。



     BGは時間ごとに変化し、降雨降雪で変化し、地殻変動や太陽風・宇宙線でも変化するため、これらの変動を遮蔽によって安定化させようと思うと、鉛100ミリの遮蔽が求められるのである。



     しかし、私が1ベクレル精度に固執する理由は、現在の凶悪な妄想に取り憑かれた反知性狂人政権がやがて自滅し、人間性にあふれた知性的政権が登場してくれば、必ず食品基準値がキロ1ベクレル以下という基準に正しく戻されると信じているからだ。

     我々は、キロ1ベクレル以下の飲食を保証される必要がある。



     そこで、私はZIPでの1ベクレル精度にこだわり続け、BGを選定するにあたって、数百本採取したなかから、3〜5ベクレルのシンメトリックス社製校正線源を測定して、正しい数値を示すものだけを利用する。



     降雨時は測定を避け、できる限り遮蔽を強化、底や周囲に鉄板30ミリ厚や鉛を加えて、装置全体が装甲車のような遮蔽になっている。

     さらに、環境温度を適正に保ち、温度ドリフトなどノイズを出さないようにするなどの対策を行い、何とか1ベクレル精度が確保できていると考えている。



     このような素晴らしい精度は、MCA基盤の微分非直線性の精度によるもので、野中さんを狙う産業スパイが設計図を盗んで再現しようとしても無理、部品を改善しても不可能、あくまでも基盤組み立ての半田付け技量やノイズ低減回路の長い技術的蓄積から生まれるものである。



     これは、野中修司という国宝級電子回路職人にしかできない「匠の技」の世界なのである。まさに文化財級の製品というべきであろう。

     逆に言えば、IFKR製品は野中修司の人生とともに消えて、この性能を再現できる技術は存在しなくなるともいえる。



     もう3年以上使っているが、シンチレータ測定器のハードウェアとしての性能は文句なしに世界一だと思う。

     あえて文句を言えば、7%の分解能が大きすぎることくらいか。



     しかし、先に述べたBGの適正な選択に加えて、K40のコンプトン散乱やビスマス214の「揺らぎの干渉」による嵩上げ効果などがあって、使い方は容易ではない。

     

     せめてMCAソフトにK40コンプトン嵩上げ自動補正くらい世間並みにつけてくれと文句を言ったら、野中さんから、そんな甘いもんじゃない、世間のK40補正ソフトは全部インチキだと言われた。

     やはり、1ベクレルの世界では、いちいち個別のBGによる補正をする必要があるらしい。



     測定器の校正線源である産総研標準汚染玄米は、キロあたり30ベクレル前後のK40値がある。

     これを超え、測定サンプルのK40が40ベクレル以上あるとコンプトン散乱が1460Kピークの左肩になだらかな丘を作りはじめる。

     この丘の上にセシウムなどのデータが乗るので、結果が嵩上げしてしまうのである。K40が50ベクレルを超えると、もう1ベクレルですまない誤差が出ててくる。



     したがって、仮に大豆がK40=200ベクレルあったとすると、200-30=170ベクレルのK40補正BGで相殺することで嵩上げ効果が消える。

     この場合、10ベクレル程度の階段で、多数の異なるK40補正用BGを用意しておく必要がある。

     私の場合は、塩化カリウムを1g単位で水に溶かし、それに高分子ポリマーを加えてゲル状にしたZIP袋補正試料を数十袋も用意し、適宜利用している。



     実は嵩上げを起こすのはK40だけではない。

     降雨に含まれるラドンから出てくるビスマス214や、トリウム汚染から出るタリウム208などもセシウムのピークに含まれてしまい、その測定上の分布に含まれる揺らぎが嵩上げを起こす。



     これもBGに含めれば相殺可能だが、定量化とBG作成が困難なため、私は雨天時の測定は避けるようにしている。



     【放射能=ベクレル】



    アルファー線、ベータ線、ガンマ線を問わず、アイソトープが一秒あたりに一回崩壊(塊変)し放射線を放出することを1ベクレルという。

     これが放射能の単位として通用していて、SI系単位改訂前は370億ベクレル=1キュリーであった。



    だから、ベクレルやキュリーという表記だけでは放射能の重さや大きさ、危険度を示す単位にはならない。あくまでも、毎秒あたり、いくつの塊変が起きるのかという放射能量を示すだけの単位である。



     同じベクレル数でも、生物にとっての危険度や物理作用は、放射線の種類や内部被曝か外部被曝か、部分的被曝か全身被曝かの作用形態によって極端に違うので、ベクレル=危険度ではない。



     このため、細胞に与えるダメージを基準にしたシーベルト(線量等量・単位改訂前はレムで表記された)という単位も設定されているが、これも実務計算は極めて複雑で分かりにくい。



     ベクレル(キュリー)は放射能量を示す単位、シーベルトは生体細胞へのダメージを表す単位、そして、もう一つ、グレイ(吸収線量)という単位があり、これが放射線の物理エネルギーの尺度になる。



     グレイとは、放射線が当たる物質1キログラムあたりに吸収されて熱エネルギーに変わるエネルギー量を示す。

     本来はジュール/キログラムと表記されるべきだが、ICRPはグレイという単位を用い、単位改訂前はラド=1グレイ/100 で表記された。



     1Kgの物質に1ジュールのエネルギーが吸収される線量を1グレイと呼ぶ。1ジュール=0.24カロリー 1気圧で20度の水、1gを0.24度上昇されるエネルギーに相当する。



     ガンマ線の場合、グレイ≒シーベルトで、約7グレイ≒7シーベルトのガンマ線を浴びると、100%致死量

    4グレイ≒4シーベルトで半数致死量になる。

     だからガンマ線被曝の致死量は、体温を上げるほどのエネルギーには、ほど遠いことがわかる。

     人間の五感には、まったく感じないうちに死んでしまうのである。



     放射線関係の単位は、同じものを表すのに、たくさんの表記があって、実に複雑、一般大衆が誤解するような表記が多い。

     これは放射線実務を難解なものとして大衆から遠ざけようとする国際原子力産業の意図が働いているのだろうと思う。



     放射線が通過した細胞におけるエネルギーの吸収率(発熱量)や、それによって与えられるダメージを数量化する狙いで設けられた単位であるが、内部被曝のダメージを極端に軽視したい原子力産業の意向を汲んだICRPによって、正しい被害評価ができなくなってしまっている。



     【ベクレル測定上の注意点】



     ベクレル測定は、フクイチ放射能事故が起きるまで、まったく経験がなく、知識もなく、教書もほとんど見あたらなかったので、本当に手探りで失敗を重ねながら経験を積むことになった。

     私の技量では、とても有料化できないので、この3年間は無償で測定して、技量の習熟をいただいたという印象である。



     食品や土壌、飲料水の汚染は基本的にベクレルで表記する。



     毎秒、いくつの塊変を行うのか? という単位だが、普通はキログラムあたりの重さで表記し、100Bq/Kgのように書く。



     土地の汚染については、地表から5センチの深さまで土壌を採取し、キログラムあたりのベクレル数を出して、これを65倍した数値を平米あたりベクレル数としている。

     航空調査などでは、キロ平方メートルあたりのベクレル数で表されることも多い。この場合は、ベクレル単位もメガを使ったりして実に煩雑である。



     食品の測定で注意が必要なのは、サンプルをマリネリ式測定容器に正しく詰めることに熟練が必要で、詰め方次第で20%程度の誤差が出てくる可能性があること。

     IFKR-ZIPなら、ただZIP袋にいっぱいに詰めるだけで良い。



     食品は、可能な限り粉砕し、ペースト状や粉末状にした方が正しい値が出る。私は大半の場合、フードプロセッサを使用している。



     キロあたり1ベクレル程度の測定には、ZIPの場合10〜20時間必要である。NAIシンチでは遮蔽を強化しても、キロ10ベクレル程度の精度しか出ない。長時間測定するとデータが矮小化してしまうのである。



     飲料水の場合、東京都水道水のセシウム汚染はリットルあたり、0.001ベクレル付近なので、そのままでは測定不能である。

     CDクリエーションの鈴木氏が研究の結果、100リットル程度の水道水をイオン交換樹脂やゼオライトに吸着させて、樹脂側を測定することで見えない汚染を可視化することに成功している。



    http://cdcreation.grupo.jp/blog/1193538

     

     100リットルの水道水を風呂桶に溜めて、バスポンプなどを利用して循環させ、イオン交換樹脂に通すことで樹脂がセシウムを吸着する。

     全量吸着できたかは、TDSメータを使い、水が0PPMを示せば吸着終了として、樹脂を測定する。



     NAI測定器では、MCA特性から長時間測定での誤差が大きくなるため、規定時間=最大数時間程度の範囲で測定しなければならない。

     10時間以上ではデータの矮小化が起きてしまう。IFKR-ZIPの場合は、20時間でも測定可能だが、やはり、わずかな矮小化が起きるので。可能なら5〜10時間程度にとどめるのがよい。



     何度も書いたが、一番大切なことは、雨天での測定を避けることである。

     雨には多くのラドン222が含まれ、娘核種のビスマス214が609Kのガンマ線を出すため、5センチ程度の遮蔽を透過して、スペクトルデータに609Kのピークを作ってしまい、 これがセシウム値を嵩上げしてしまうのである。



     似たような降雨時のBGを採取して補正できなくもないが、定量化が困難で、厳密な値を出すのは難しい。キロあたり5ベクレル程度より悪い精度でもかまわなければ、多少の降雨は無視してもよい。



     ビスマス214とタリウム208は、セシウムXのピークに近いため、イタズラをしてセシウム値を嵩上げすることが多いので、よほど注意が必要である。

     せっかくK40を補正してもビスマスに邪魔されることも少なくない。ビスマス214の補正用BGを作るのは、かなり困難で、降雨BGデータをたくさん集めて適宜利用するしかないだろう。



     【ゴーストピーク】



     ベクレル計から得られた測定スペクトルのなかにはゴーストと呼ばれる実体のない幽霊ピークができることに気をつける必要がある。



     �.灰鵐廛肇鷸桐�



     セシウム137が光電効果を起こせば662K相当のシンチレーション光を発するが、コンプトン散乱(非弾性散乱)を起こすと、それより184K低い478K付近にコンプトンエッジというゴーストピークを作りながら、左肩に緩やかに下がってゆく散乱線を作る。



     一番影響が大きいのが、どこにでも大量に存在するK40で、このコンプトン散乱がセシウムなど目的核種のベクレル値を嵩上げしてしまい、測定の邪魔をすることが多い。



     K40のコンプトン散乱では、本当のピークが1461Kであるのに対し、1244K付近にゴーストピーク(コンプトンエッジ)ができる。

    近似式は、コンプトンエッジまでの距離=求める核種のMeV/(1+求める核種のMeV×3.91)

     1.461/(1+1.461×3.91)=0.217 本来のピークより217K下にエッジ。

    1.461-0.217=1244 1244KeVにコンプトンエッジができるわけである。



     おおむね500Kから5000K程度のガンマ線で問題になることが多い。



     �▲汽爛圈璽�



     シンチ結晶体に、2本のガンマ線が同時に進入すると、両方のエネルギーを足し算したピークが記録されることがある。

     これがゴーストピークの代表で、実体のないピークを作ることで核種検出の大きな障害になる。



     セシウムは605K・662K・796Kのガンマ線を出すが、605+662=1267 605+796=1401k 662+796=1458K などのサムピークがスペクトルに現れることがある。

     本当に、そんなエネルギーがあるわけでなく、偽の幽霊ピークであるが、分解能の低い測定器の場合、他核種のピークに紛れ込み、誤検出や過剰検出を招くことがある。

     

     �� 電子対生成



     電子対生成は1020K以上のエネルギーを持ったガンマ線が原子核の近くを通ると511Kの陰陽電子の対生成を起こしてガンマ線が消えてしまう確率があることをいう。



     逆に、511Kの陰陽電子がぶつかると電子対消滅で1020Kのガンマ線を生成する。

     K40、コバルト60やタリウム208などの強いガンマ線で起きやすく、511Kと1020K付近のピークは対生成の影響を考える必要がある。



    �ぁ仝緤�散乱 制動X線



     強いベータ線の出るサンプルでは、ベータ線が鉛遮蔽に当たって特性X線(制動X線)としてピークを作ることがある。

     また、サンプルから出たガンマ線が検出結晶以外の方向に出て、鉛遮蔽で散乱されて波長を変えることがある。

     ただし、これらの確率が測定を邪魔することは少ない。





     【最後に】

     現在、私の家ではIFKR254・ZIP・TA100Uは常時通電し、24時間稼働している。

     このために専用のパソコンも置いている。

     ZIPは大量のBGを採る必要があるし、254は環境放射線量の変化を見るのに必要であり、TA100は線量時系列変化を見て地震予知に利用している。

     大きな地震が近づくと、ジャイアントパルスという極端に高いパルスが消えてしまい、平均的に線量が低くなるのである。

     またラドンの噴出を調べるためにも254の時系列観測は欠かせない。



     フクイチ事故後、測定器の大量需要からシンチ結晶の暴騰があって、測定器価格が大幅にアップしているなかで、とりあえず在庫を保有していたシンメトリックス社の測定器が安く入手できて本当に助かった。

     もう、今後、我々の手に入ることはないだろう。



     シンメトリックス社では、最新測定器として、サムピークやコンプトン散乱などの影響を受けないダブルシンチレータのZIPPROを発売中だが、高級車を一台買えるほどの価格になってしまった。

     しかし、食品関連企業が、将来の1ベクレル規制を考えるなら、信頼性の高いZIPPROを購入すべきだと思う。



    http://cdcreation.grupo.jp/free801460






     放射線・放射能測定の知識

     私は30年くらい前に放射線作業に従事したことがあって、そのとき、いくつかの放射線取り扱い国家資格を取得するとともに、放射線測定を学んだ。

     とはいっても、GM式サーベイメータで作業環境の測定をする初歩的なもので、環境に拡散してしまった放射能を測定するなど、高度な測定は、フクイチ事故後、すべて手探りで身につけたものである。

     今回は、たくさんの測定を行ってきた経験から得た、あまり知られざる知識を公開しておきたい。
     少し内容が専門的すぎて、わかりやすさをモットーにしてきた私の信条から外れるが、これ以上、わかりやすくする能力は私にはない。

     当時、私が測定上の知識として理解していたのは、ガンマ線がエックス線や紫外線と同じ光の粒子線であって、ただ波長だけが異なること。
     エネルギーが上がる=波長が短くなるにつれて透過力が強くなること。

     ベータ線が電子と同じものであること、空中での飛距離も1m以下であることなど程度であった。
     ベータ線が鉄骨などに当たったり、電界で進路を曲げらるとエックス線が出てくることも知識にあった。

     この程度の知識でありながら、フクイチ事故後の環境放射線測定は一定の成果があったと思うが、放射能の挙動と被害は複雑怪奇で、調べるほどに高度に専門的な知識が要求されることを知らされた。

     【放射線の基礎知識】

     まずは、放射線と放射能の違いについて。
     放射線はアイソトープ=放射能から出てくる粒子線のことで、アルファー線・ベータ線・ガンマ線・中性子線の四種類がある。厳密には、この数倍あるが、実用上は4種類覚えれば十分である。

     アルファー線は原子核のことで、一番質量が大きく、飛距離は数センチと短いが、エネルギーは非常に大きい。
     外部から被曝しても、大半が衣類や皮膚で跳ね返され、ほとんど影響をもたらさないが、体内に入ると細胞を直接破壊する猛毒物質となる。

     ベータ線はエネルギーの高い電子と同じもので、これは外部被曝でも皮膚に強い放射線障害=ベータ線熱傷をもたらすことがある。
     体内に入った場合も、アルファー線ほどではないが、細胞に強い電離作用をもたらし、遺伝子を破壊する性質がある。
     内部被曝の危険度はアルファー線の10分の1程度である。

     ガンマ線は、光や電波と同じものだが、波長が普通の光より極端に短く、極めて物質透過性が強い。
     このため体内を通過するときに、電離作用によって細胞を破壊するが、その威力は内部被曝におけるアルファー線より弱い。

     セシウムやコバルトから発射される高エネルギーのガンマ線は、体内に電離被曝を与える前に突き抜けてしまう確率が高い。
     電離作用の危険性はベータ線と同程度である。

     ガンマ線の場合は100KeV以下のエネルギーの弱いものの方が皮膚や目の細胞に吸収されやすく、内部被曝でも突き抜けずに破壊を起こしやすいので危険性が高い。
     1KeV付近の軟X線は、紫外線と同様、皮膚に効率的に吸収されて皮膚ガンや白内障のイニシエータとなる。

     ICRPによる線質や線量当量評価が問題なのは、一番作用の弱いガンマ線外部被曝だけを重視し、アルファー線・ベータ線の内部被曝による遺伝子破壊作用を極端に軽視していることである。

     この理由については、ICRP線量等量評価報告書をまとめた張本人が、「原子力産業への配慮から内部被曝を千倍も小さく見積もってきた」と自白している。
     http://no-nukes.blog.jp/archives/7316790.html

     中性子線は極めて特殊な条件(原子炉や再臨界核燃料)などからしか出てこないので、水素によって遮蔽されるなどの基本知識を知るだけで十分である。
     JCO臨界事故のような場合には出てくるが、外部被曝のみで、体内を透過するとき水分の働きで減速して細胞構成原子を放射能化してしまう。
     被曝危険度は最高、ガンマ線の20倍に及ぶ。
     透過力はJCO事故のとき20K離れた家屋内でナトリウム24が検出されているので、実際には数十キロはあると思われる。

     フクイチから出た放射能のうち、内部被曝などで人体に害を与えるため、必ず知っておかねばならないのは上に述べた4種類である。

     放射能・放射線の測定には、先に書いたように、IAEA・ICRPの定めた概念に大きな欺瞞があるので注意が必要になる。

     放射線測定の基本は

    � (�射線の種類 アルファー線・ベータ線・ガンマ線を見分ける
    �� そのエネルギーレベルを調べる
    �� 線量率(単位時間あたり放射量)を調べる
    �ぁヽ房錣鯆瓦戮�

     実際の測定に使われるのは
    ��GM管式
    �▲轡鵐船譟璽深�
    �E杜ト⊆�
    �と焼蛎亮�
    であり、シーベルト級線量を測定するときはセレン計などを使う。実用にはGMとシンチだけ覚えればよい。

     エネルギーと核種を見ることができるのはシンチレータ・スペクトル検出器のみであるが、基本的にガンマ線だけの測定になる。
     中性子やベータ線の測定は、専用のシンチ測定器が必要になる。

     GM管の場合、中性子以外の3種類とも検知可能だが、それぞれの線質別に測定するためには工夫が必要である。

     電離箱式の場合は、エネルギー依存性が非常に少なく、ほとんど補正の必要ないデータがダイレクトに取れるが、持ち運びなどで不利なことが多いので、屋外で使われることは少ない。

     【GM管式測定器の使い方】

     フクイチ事故以来、もっともたくさん使われている線量計がGM管式で、インスペクターやソエック・ラディックスなどが有名であるが、きちんとした使い方を知らないでいる人が多いので、必要な知識を書いておきたい。

     GM管式測定器は、検知管に入った放射線が一個一個、電気信号に変換されたパルスを計測する仕組みであるため、この数を数えてから定数に応じてシーベルト値に変換したり、そのまま毎分あたりカウント数(CPM)を表示する。
     ベクレルに換算する機種もあるが、理論的には無理なことで、核種をセシウム137に限定し、大雑把な参考値として示す程度である。

     GM管式で信頼のおける数値はパルス個数のみであり、シーベルトやベクレルへの変換は便宜的なものにすぎず、信用すべきでない。

     パルス個数でも、すべての放射線が100%パルスに変わるわけではないので、条件に応じた補正が必要になると理解していただきたい。

     とりわけ核種の異なるガンマ線の測定は厄介である。
     ガンマ線の検出効率は0.1〜1%程度しかないため、セシウム137のガンマ線で更正するのが普通である。
     核種が変わるとエネルギー依存性のため、誤差が大きくなる。

     ベータ線の検出効率が100%近くあるため、少しでもベータ線のカウントが含まれると、過剰測定が生まれて正しい測定値が出にくい。このためベータ線遮蔽ケースを使う必要がある。

     基本的にGM管は、通過した電離放射線の数を数える測定器であって、エネルギーや正確な線量当量(シーベルト値)を知ることはできない。

     しかし、ベータ線の個数を調べるには高い感度を発揮し、高効率な測定が可能である。厳密に調べる場合は、ガンマ線・宇宙線の影響を排除するため10センチ厚の鉛遮蔽が必要になる。
     エネルギーや核種を調べたい場合は、シンチレータ式測定器を使う。

     通常の小型GM管のCPM:シーベルト(線量当量)変換定数は、1マイクロシーベルトあたり120CPM(毎分120カウント)前後が多く、インスペクターなどの大型管では同じく330CPM前後である場合が多い。
     この線量当量(生体細胞に対するダメージの単位)の値は適当なものであって信頼性に欠ける。

     線量当量率はセシウム137ガンマ線を基準にしてある場合が大半で、エネルギーの大きく異なる他核種の測定では校正補償が必要になる。
     GM管にはエネルギーレベルによる検出特性があって、1000KeVを超えたりすると、電離反応を起こす前に突き抜けたりして、検出効率が落ちてしまう場合があるため、エネルギー補償機構つきが望ましい。

     高価な測定器には自動補償、補正機能がついているが、安価な測定器では自分でエネルギー補正をしなければならない。

     測定器のエネルギー特性
    http://blog.livedoor.jp/nijhousi/archives/52034643.html

     また入射個数が大きくなると分解時間を超えて窒息現象が起きるため数え落としが発生することになり、計算補正が必要になる。

     真の個数(CPS)=表示個数(CPS)÷(1−表示個数×分解時間)
     計算にあたっては、分解時間表記がマイクロ秒のため、10^−6とする。

     この場合、普通に使われている小型GM管の場合、分解時間(不感時間)が90マイクロ秒とすると、表示が10000CPM=83μSv/hの場合、1.8%程度である。30μSv/hあたりまでなら、ほぼ影響はない。

     インスペクターのような大型GM管の場合、分解時間40マイクロ秒、表示が毎分100000CPM=303μSv/hとして1666CPS。
     補正値は1785CPS、数え落としは119CPS=7140CPM、約7%程度になる。
     10000CPM(30μSv/h)の場合、0.6%程度しか数え落とさない。
     
     【放射能汚染地での使い方】
     
     フクイチ事故以降は、ほとんどの場合、放射能汚染地の空間線量の測定に使われているはずだが、この場合も、かなり予備知識が必要になる。

     まず、放射線というものは、毎秒ごとに安定した放出率があるわけでなく、非常にランダムで大数の法則に従うため、最低でも3分以上、可能なら10分以上計ってから平均値を求めないと正しい測定値にならないと知るべきである。

     GM管の電離信号が作動する電圧はプラトー領域と呼ばれる数百ボルトで、単三電池から数百ボルトをコンデンサに入れるだけで数十秒かかる。 (電力はほとんど消費しない、電圧をかけるだけで、電離があると「電子雪崩」を起こして信号に変わる。)

     数十秒以下の測定では、出てきた数値も安定せず、ノイズばかりの低品質なものになってしまう。
     測定器のスイッチを入れて電気信号が安定するだけでも1分程度を必要とするので、スイッチオンから「3分間待つのだぞ」を心がけていただきたい。

     安定した品質の高い測定値のためには、一カ所で30分程度、同一条件で測定して平均値を求めるのが正しい。このとき外部ノイズを排除するため、極端で、おかしな値を削除してしまって、中央値に近い標準偏差内の値だけを用いた方がよい。

     食品などの測定の場合は、必ず長時間測定を行い、外部BGの影響を排除するため、できるだけ厚い遮蔽箱を用いる必要がある。
     最低でもBGを半分以下にできる遮蔽箱は必需品であろう。これでも、分かるのは、キロあたり数百ベクレル以上の大きな汚染のみである。
     これでも原発放射能事故から1年は有効である。
     数ベクレルの汚染を知ろうと思うなら、厚さ5センチ以上の遮蔽のある精密測定器を使う必要がある。

     食品や土壌などの場合、遮蔽箱内で1時間以上のBG、平均値を採取し、サンプルを入れて30分以上の平均値を出し、BGから差し引くことで信頼性のある線量が測定できる。
     数カウントでもBGに対して明瞭な差が出れば、放射能汚染は想像以上に深刻と考える必要がある。
     産総研の校正用玄米を校正に利用すれば、正しいベクレル値に近い値を推定できる可能性がある。

     土地の汚染、空間線量率測定だが、必ず地上1mと地表の二カ所を測定する必要がある。
     またはベータ線を遮蔽する厚さ3ミリ以上のアクリルケースに入れて測定と、外して測定の二種類のデータが必要になる。

     理由は、汚染地のガンマ線空間線量と、地表のベータ線線量を区別するためであり、この差、乖離によって汚染が原発放射能由来であることが明確になるからだ。
     空間と地表が同じ値なら放射能汚染はないと判断できる。

     まず地面から1m以上、離すことで、アルファー線・ベータ線が届かなくなり、ガンマ線の線量率だけが残ることになる。
     次に、地表面を測定し、その値から1m空間測定値を差し引けばアルファ、ベータ線の地表における線量率が分かる。

     GM管のベータ線感度が良すぎるため、シーベルト値(線量等量)の表示される測定器では、セシウム137のガンマ線を基準に校正してあるため、地表のベータ線が含まれる測定値では、実際より、はるかに大きな値になってしまう。
     したがって地表の値は参考記録とし、土地の汚染値は1m空間値の方を採用しなければならない。
     このとき、ガンマ線しか計れないシンチレータ式測定器を併用すると、GM管式の値との乖離と補正すべき比率がわかりやすい。

     ベータ線だけの測定の場合は、シーベルト値を無視してCPM値、パルス個数だけを見る。
     放射線の個数を表示するGM管測定器では、ベータ線を、ほぼ全量を計測する性能がある。ガンマ線は0.1〜1%%程度にすぎないので、全量ベータ線個数とみなしても大きな誤差は出ない。
     シーベルト値を見てしまうと、100倍以上の過剰値になるので注意されたい。(ラディックスのようにCPM表記のないGM測定器は使えない)

     【アルファ線の測定】
     
     GM管でアルファー線を計測する場合、特別な条件が必要である。
     まず、測定器の検出窓がマイカ(雲母)でできている必要があり、さらに測定口から検知窓までの距離が10ミリ以下である必要があるので、条件を満たしていない測定器が多い。

     アルファ線を測定する場合、必ず汚染を濾紙に拭き取り、移し替えてからGM管の窓で測定しないと、取り返しのつかないコンタミ汚染を引き起こす可能性がある。この方法を「スミヤ法」と呼ぶ。

     例えば、ダイレクトに「黒い粉」のようなアルファ線を測定窓につけて計ってしまうと、検出窓が微粉末で汚染されてしまい、この場合、マイカ窓の清掃は絶望的に困難である。
     いったん測定窓がアルファー線核種に汚染されたGM測定器は、以降ガンマ線の測定もできなくなる。
     アルファ線の空間飛程は最大数センチ程度が多いので、検出口まで汚染を拭き取った濾紙を近づける。
     このときコンタミ汚染を引き起こさないよう最大の注意が必要である。

     アルファ線が検知窓を通過すれば、検出効率は100%であるが、カウントが多い場合はベータ線同様の数え落とし補正を行う。
     正しいアルファ線の線量率を知るためには、標準の表面汚染、校正用線源が不可欠である。
     厳密な測定には、外部ガンマ線の影響を受けない5センチ厚以上の鉛遮蔽内での測定が望ましい。

     【シンチレーション式測定器で注意すべきこと】

     シンチレーション式測定器は、すでにGMからとって変わって測定器の主役になっている。
     大半の線量計がガンマ線しか測定できない。これは、ベータ線による過剰検出の影響を避けられる代わりに、フクイチ放射能由来であるベータ線を検出できず、放射能汚染の判断が困難である。

     シンチレータはCSI・NAI結晶が代表的だが、たくさんの種類があり、一長一短がある。
     基本的には、シンチレータ結晶を放射線が通過すると励起によって蛍光が発生し、それを光電増幅装置で信号に変えて記録する。
     放射線のエネルギーに比例した蛍光が起きるので、個数だけでなく、エネルギーや核種まで知ることができる。
     水素を含むシンチレータなら中性子の測定も可能である。

     昔は非常に壊れやすいもので、知人から借りて測定中にプローブを落として壊してしまい、修理代に10万円も支払った苦い思い出もある。
     今は、携帯型なら落としても壊れることは少ない。大型のものはガラス製の光電子増幅管が入っている可能性があり、割れやすいから注意が必要である。

     【私が使用しているシンチ測定器】

     私が使用しているシンチレータ測定器は、空間線量率を測定するタイプとして、テクノAP社のTA-100U、これは2011年夏頃購入したものだが、結構な価格で、長所としては、パソコンにスペクトルや線量率を記録保存可能ということである。
     短所としては、とても感度が低くて、土壌のスペクトルを測定記録する場合でも、最低1000ベクレル以上ないと、セシウムXも検出できない。
     それでも線量率グラフは、普段は見落とすジャイアントパルスも記録でき、時系列での比較が可能なので、空間線量率による地震予知などの道具として利用可能である。

     もう一つは、シンメトリックス社のIFKR254で、これは1インチのCSIを備え、感度も良く、5種類の核種を検出できる。
    ただし、実用上は、K40とセシウムXの検出くらいしか意味はない。
     ビスマス214とヨウ素131の検出能力が欲しいが、いずれもセシウムXや鉛214のピーク内に入ってしまうので区別不能になってしまい、シンチレータの分解能(IFKR254は5%)では線量の検出は困難である。

     使用法としてはカメラ用三脚に収納容器を接続(三脚ねじを切ったもの)、地面から1m離した空間に計器を置いて、パソコンに接続、専用ソフトで時間ごとのスペクトルを記録、単位時間(1時間程度)に何個のガンマ線が通過したかを記録して、土地の汚染度と核種を調べる。
     
     コバルト60が検出された場合は、サムピークなどゴーストピークを見分ける必要があるため、土壌サンプルを採取して厚い遮蔽を持った専用スペクトル計で分析することになる。

     当時、70万円程度の価格で、性能から考えれば非常に安価だったが、その後、CSI結晶価格が暴騰して、現在は100万円を超えている。
     キチガイ政権による消費税の泥棒的値上げがあって、こうした高価品の購入は困難になっている。

     付属遮蔽装置を使えば、サンプルのベクレル測定も可能だが、キロあたり200ベクレル以上でないと誤差の少ない正しい値には、なりにくいので実用上は無理がある。

     【ベクレル計 】

     食品の放射能測定には、当初、普通のGM管を遮蔽箱に入れるスタイルで使っていた。
     しかし、GM管とバックグランド線量を半分程度遮蔽する組み合わせで得られる汚染の検出は、キロあたり300ベクレル以上で、それも数カウント程度の差であるから、放射能事故直後の緊急対応くらいにしか使えない。

     そこで最初に購入したのが、ドイツ製のスクーリング食品放射能測定器、EL25であった。
     これも結構な値段で、50万円以上したが、性能は期待外れで、カタログではキロ20ベクレル可能と書かれていたが、実際にはキロ200ベクレルがいいとこであった。
     それ以上のベクレル値ならば、結構正確で、数百万の高額品と大きな差はなかった。

     検出器は浜松ホトニクス製の2インチ薄型NAIが入っていて、相当に性能が良いものだが、遮蔽が10ミリ厚鉛では、薄すぎてどうにもならない。
     そこで、遮蔽鉛を別途購入、周囲に詰めて厚さ3センチ程度まで増やすと、やっとキロ100ベクレル程度は検出できるようになった。

     キロ100ベクレルでは国の規制値じゃあるまいし、やはり食品測定としてはキロ数ベクレル程度の検出能力が欲しい。
     だが、私の資力では、それ以上の精密測定器を購入することは不可能だった。

     そこに降ってわいたように、蕨市のIさんから測定器購入資金の協力の申し出があり、シンメトリックス社のIFKR254 やZIPを扱うことができて、本当に感謝している。
     もうIFKR製品は個人では手が届かないほど高価になっていて、普通なら触ることさえできなかった。

     【食品放射能測定器、IFKR-ZIP】

     この測定器は2012年ころ、シンメトリックス社の野中修二社長が開発したもので、キロあたり1ベクレル程度まで検出できる画期的な測定器である。

     当初の販売価格は150万円、もちろん私は買えなくて、蕨市のIさんの援助申し出にすがった。
     現在ではCSI価格の暴騰により200万円を超えている。あまりに高価なので、私が測定をやめたらIさんに返却する約束をしている。

     数百万円もするNAI測定器でも、実際の精度はキロあたり20ベクレル程度がやっとであって、1ベクレルという精度は驚異的なレベルである。

     最高精度とされるゲルマニウム半導体測定器でも、実質的な精度はキロあたり1ベクレル程度しか使えない場合が多い。
     理由はMCAの性能が悪く、10時間を超える長時間測定で、データの矮小化が起きてしまうからである。

     おまけに1ベクレル以下の精度にする場合は、1トンもの鉛遮蔽と、液体窒素によるサンプルと検出器の冷却が必要になり、多額のコストがかかる。
     民間測定所では運用コストに耐えきれず、液体窒素を使用しない測定も行われている。この場合、キロ1ベクレル以下の精度は出ない。

    (追記、ゲルマ機で液体窒素で冷却しないと検知管が破壊されるとの指摘があった。民間測定所で液体窒素を使用しない場合は、シンチ測定器を利用しているという意味が正しく、謝った記述で申し訳ありませんでした)

     ゲルマニウム半導体の分解能力は、我々の保有するシンチ計の50〜100倍あって、性能的には太刀打ちどころではないが、1トンもの設備と液体窒素ランニングコストの負担を考えれば、諦めるしかないだろう。

     ZIPの場合は、常温測定で冷却不要、重量も50Kg程度しかない。
     外観は極めてコンパクト、ゲルマ機のように床改造も必要ない。
     CSIシンチはNAIに比べて温度ドリフトが3分の1以下なので、大げさな空調コントロールも不要で、測定器が10度以上40度以下なら正常に作動する。
     5度以下になると、さすがにゲイン調整が必要なドリフトが生じてくる。寒さには少し弱いようだ。

     サンプル容器は、ゲルマ機でもNAIシンチ測定器でも検出器センサーが円筒形であるため、それを覆うような変則的なマリネリ容器が使われる。
     ところが、この容器は複雑な形状のため、平均に詰めるには熟練を要し、平均でないと誤差が大きく出てくるのである。

     汚染サンプルは、検出器にガンマ線を届ける前に、自分自身による遮蔽で吸収されてしまうことがあり、これを自己吸収と呼んでいる。
     液体の場合はひどく、水の場合は3センチ厚を超えると自己吸収によって線量が大幅に低下してしまうため、マリネリ容器は、どこでも3センチ厚を超えない形状に設計されている。

     これに対し、野中修二氏は、市販のZIP袋を、そのまま測定容器にすることを思いついた。
     100×140ミリZIP袋なら、水を入れても3センチ厚を超えない。形状も一定している。
     この大きさだと、玄米が160gずつ、計320g入り、軽快なフットワークで測定が可能である。
     ZIP袋はホームセンターなど、どこでも安価に入手可能である。測定後、そのままサンプル資料として保全することも容易である。

     測定器に二つのZIP袋収容穴を設け、それを挟むような位置にCSI2インチ相当の結晶を置くことで、測定効率はマリネリ容器よりも優れたものになった。
     また驚異的なMCA性能と併せて、超長時間測定でもドリフトを起こしにくく、温度変化に強く、20時間の連続測定を可能にしたことで1ベクレルの精度を確保することに成功した。

     条件を整えれば、キロあたり0.2ベクレルでも検出可能であるが、数日間もかかってしまい、環境ノイズの影響を受けて誤差が多くなる。

     【1ベクレルのために】

     現在、IFKR-ZIPの公称精度はキロあたり3ベクレルになっている。
     理由は遮蔽が鉛40ミリと薄いことで、実は、この遮蔽力では、バックグランドの変化に対応した、安定した1ベクレル精度が出せないのである。

     BGをたくさん採取しても、BGごとに測定値が変動することになる。これでは1ベクレル精度を主張する資格はない。

     BGは時間ごとに変化し、降雨降雪で変化し、地殻変動や太陽風・宇宙線でも変化するため、これらの変動を遮蔽によって安定化させようと思うと、鉛100ミリの遮蔽が求められるのである。

     しかし、私が1ベクレル精度に固執する理由は、現在の凶悪な妄想に取り憑かれた反知性狂人政権がやがて自滅し、人間性にあふれた知性的政権が登場してくれば、必ず食品基準値がキロ1ベクレル以下という基準に正しく戻されると信じているからだ。
     我々は、キロ1ベクレル以下の飲食を保証される必要がある。

     そこで、私はZIPでの1ベクレル精度にこだわり続け、BGを選定するにあたって、数百本採取したなかから、3〜5ベクレルのシンメトリックス社製校正線源を測定して、正しい数値を示すものだけを利用する。

     降雨時は測定を避け、できる限り遮蔽を強化、底や周囲に鉄板30ミリ厚や鉛を加えて、装置全体が装甲車のような遮蔽になっている。
     さらに、環境温度を適正に保ち、温度ドリフトなどノイズを出さないようにするなどの対策を行い、何とか1ベクレル精度が確保できていると考えている。

     このような素晴らしい精度は、MCA基盤の微分非直線性の精度によるもので、野中さんを狙う産業スパイが設計図を盗んで再現しようとしても無理、部品を改善しても不可能、あくまでも基盤組み立ての半田付け技量やノイズ低減回路の長い技術的蓄積から生まれるものである。

     これは、野中修二という国宝級電子回路職人にしかできない「匠の技」の世界なのである。まさに文化財級の製品というべきであろう。
     逆に言えば、IFKR製品は野中修二の人生とともに消えて、この性能を再現できる技術は存在しなくなるともいえる。

     もう3年以上使っているが、シンチレータ測定器のハードウェアとしての性能は文句なしに世界一だと思う。
     あえて文句を言えば、7%の分解能が大きすぎることくらいか。

     しかし、先に述べたBGの適正な選択に加えて、K40のコンプトン散乱やビスマス214の「揺らぎの干渉」による嵩上げ効果などがあって、使い方は容易ではない。
     
     せめてMCAソフトにK40コンプトン嵩上げ自動補正くらい世間並みにつけてくれと文句を言ったら、野中さんから、そんな甘いもんじゃない、世間のK40補正ソフトは全部インチキだと言われた。
     やはり、1ベクレルの世界では、いちいち個別のBGによる補正をする必要があるらしい。

     測定器の校正線源である産総研標準汚染玄米は、キロあたり30ベクレル前後のK40値がある。
     これを超え、測定サンプルのK40が40ベクレル以上あるとコンプトン散乱が1460Kピークの左肩になだらかな丘を作りはじめる。
     この丘の上にセシウムなどのデータが乗るので、結果が嵩上げしてしまうのである。K40が50ベクレルを超えると、もう1ベクレルですまない誤差が出ててくる。

     したがって、仮に大豆がK40=200ベクレルあったとすると、200-30=170ベクレルのK40補正BGで相殺することで嵩上げ効果が消える。
     この場合、10ベクレル程度の階段で、多数の異なるK40補正用BGを用意しておく必要がある。
     私の場合は、塩化カリウムを1g単位で水に溶かし、それに高分子ポリマーを加えてゲル状にしたZIP袋補正試料を数十袋も用意し、適宜利用している。

     実は嵩上げを起こすのはK40だけではない。
     降雨に含まれるラドンから出てくるビスマス214や、トリウム汚染から出るタリウム208などもセシウムのピークに含まれてしまい、その測定上の分布に含まれる揺らぎが嵩上げを起こす。

     これもBGに含めれば相殺可能だが、定量化とBG作成が困難なため、私は雨天時の測定は避けるようにしている。

     【放射能=ベクレル】

    アルファー線、ベータ線、ガンマ線を問わず、アイソトープが一秒あたりに一回崩壊(塊変)し放射線を放出することを1ベクレルという。
     これが放射能の単位として通用していて、SI系単位改訂前は370億ベクレル=1キュリーであった。

    だから、ベクレルやキュリーという表記だけでは放射能の重さや大きさ、危険度を示す単位にはならない。あくまでも、毎秒あたり、いくつの塊変が起きるのかという放射能量を示すだけの単位である。

     同じベクレル数でも、生物にとっての危険度や物理作用は、放射線の種類や内部被曝か外部被曝か、部分的被曝か全身被曝かの作用形態によって極端に違うので、ベクレル=危険度ではない。

     このため、細胞に与えるダメージを基準にしたシーベルト(線量等量・単位改訂前はレムで表記された)という単位も設定されているが、これも実務計算は極めて複雑で分かりにくい。

     ベクレル(キュリー)は放射能量を示す単位、シーベルトは生体細胞へのダメージを表す単位、そして、もう一つ、グレイ(吸収線量)という単位があり、これが放射線の物理エネルギーの尺度になる。

     グレイとは、放射線が当たる物質1キログラムあたりに吸収されて熱エネルギーに変わるエネルギー量を示す。
     本来はジュール/キログラムと表記されるべきだが、ICRPはグレイという単位を用い、単位改訂前はラド=1グレイ/100 で表記された。

     1Kgの物質に1ジュールのエネルギーが吸収される線量を1グレイと呼ぶ。1ジュール=0.24カロリー 1気圧で20度の水、1gを0.24度上昇されるエネルギーに相当する。

     ガンマ線の場合、グレイ≒シーベルトで、約7グレイ≒7シーベルトのガンマ線を浴びると、100%致死量
    4グレイ≒4シーベルトで半数致死量になる。
     だからガンマ線被曝の致死量は、体温を上げるほどのエネルギーには、ほど遠いことがわかる。
     人間の五感には、まったく感じないうちに死んでしまうのである。

     放射線関係の単位は、同じものを表すのに、たくさんの表記があって、実に複雑、一般大衆が誤解するような表記が多い。
     これは放射線実務を難解なものとして大衆から遠ざけようとする国際原子力産業の意図が働いているのだろうと思う。

     放射線が通過した細胞におけるエネルギーの吸収率(発熱量)や、それによって与えられるダメージを数量化する狙いで設けられた単位であるが、内部被曝のダメージを極端に軽視したい原子力産業の意向を汲んだICRPによって、正しい被害評価ができなくなってしまっている。

     【ベクレル測定上の注意点】

     ベクレル測定は、フクイチ放射能事故が起きるまで、まったく経験がなく、知識もなく、教書もほとんど見あたらなかったので、本当に手探りで失敗を重ねながら経験を積むことになった。
     私の技量では、とても有料化できないので、この3年間は無償で測定して、技量の習熟をいただいたという印象である。

     食品や土壌、飲料水の汚染は基本的にベクレルで表記する。

     毎秒、いくつの塊変を行うのか? という単位だが、普通はキログラムあたりの重さで表記し、100Bq/Kgのように書く。

     土地の汚染については、地表から5センチの深さまで土壌を採取し、キログラムあたりのベクレル数を出して、これを65倍した数値を平米あたりベクレル数としている。
     航空調査などでは、キロ平方メートルあたりのベクレル数で表されることも多い。この場合は、ベクレル単位もメガを使ったりして実に煩雑である。

     食品の測定で注意が必要なのは、サンプルをマリネリ式測定容器に正しく詰めることに熟練が必要で、詰め方次第で20%程度の誤差が出てくる可能性があること。
     IFKR-ZIPなら、ただZIP袋にいっぱいに詰めるだけで良い。

     食品は、可能な限り粉砕し、ペースト状や粉末状にした方が正しい値が出る。私は大半の場合、フードプロセッサを使用している。

     キロあたり1ベクレル程度の測定には、ZIPの場合10〜20時間必要である。NAIシンチでは遮蔽を強化しても、キロ10ベクレル程度の精度しか出ない。長時間測定するとデータが矮小化してしまうのである。

     飲料水の場合、東京都水道水のセシウム汚染はリットルあたり、0.01ベクレル付近なので、そのままでは測定不能である。
     CDクリエーションの鈴木氏が研究の結果、100リットル程度の水道水をイオン交換樹脂やゼオライトに吸着させて、樹脂側を測定することで見えない汚染を可視化することに成功している。

    http://cdcreation.grupo.jp/blog/1193538
     
     100リットルの水道水を風呂桶に溜めて、バスポンプなどを利用して循環させ、イオン交換樹脂に通すことで樹脂がセシウムを吸着する。
     全量吸着できたかは、TDSメータを使い、水が0PPMを示せば吸着終了として、樹脂を測定する。

     NAI測定器では、MCA特性から長時間測定での誤差が大きくなるため、規定時間=最大数時間程度の範囲で測定しなければならない。
     10時間以上ではデータの矮小化が起きてしまう。IFKR-ZIPの場合は、20時間でも測定可能だが、やはり、わずかな矮小化が起きるので。可能なら5〜10時間程度にとどめるのがよい。

     何度も書いたが、一番大切なことは、雨天での測定を避けることである。
     雨には多くのラドン222が含まれ、娘核種のビスマス214が609Kのガンマ線を出すため、5センチ程度の遮蔽を透過して、スペクトルデータに609Kのピークを作ってしまい、 これがセシウム値を嵩上げしてしまうのである。

     似たような降雨時のBGを採取して補正できなくもないが、定量化が困難で、厳密な値を出すのは難しい。キロあたり5ベクレル程度より悪い精度でもかまわなければ、多少の降雨は無視してもよい。

     ビスマス214とタリウム208は、セシウムXのピークに近いため、イタズラをしてセシウム値を嵩上げすることが多いので、よほど注意が必要である。
     せっかくK40を補正してもビスマスに邪魔されることも少なくない。ビスマス214の補正用BGを作るのは、かなり困難で、降雨BGデータをたくさん集めて適宜利用するしかないだろう。

     【ゴーストピーク】

     ベクレル計から得られた測定スペクトルのなかにはゴーストと呼ばれる実体のない幽霊ピークができることに気をつける必要がある。

     �.灰鵐廛肇鷸桐�

     セシウム137が光電効果を起こせば662K相当のシンチレーション光を発するが、コンプトン散乱(非弾性散乱)を起こすと、それより184K低い478K付近にコンプトンエッジというゴーストピークを作りながら、左肩に緩やかに下がってゆく散乱線を作る。

     一番影響が大きいのが、どこにでも大量に存在するK40で、このコンプトン散乱がセシウムなど目的核種のベクレル値を嵩上げしてしまい、測定の邪魔をすることが多い。

     K40のコンプトン散乱では、本当のピークが1461Kであるのに対し、1244K付近にゴーストピーク(コンプトンエッジ)ができる。
    近似式は、コンプトンエッジまでの距離=求める核種のMeV/(1+求める核種のMeV×3.91)
     1.461/(1+1.461×3.91)=0.217 本来のピークより217K下にエッジ。
    1.461-0.217=1244 1244KeVにコンプトンエッジができるわけである。

     おおむね500Kから5000K程度のガンマ線で問題になることが多い。

     �▲汽爛圈璽�

     シンチ結晶体に、2本のガンマ線が同時に進入すると、両方のエネルギーを足し算したピークが記録されることがある。
     これがゴーストピークの代表で、実体のないピークを作ることで核種検出の大きな障害になる。

     セシウムは605K・662K・796Kのガンマ線を出すが、605+662=1267 605+796=1401k 662+796=1458K などのサムピークがスペクトルに現れることがある。
     本当に、そんなエネルギーがあるわけでなく、偽の幽霊ピークであるが、分解能の低い測定器の場合、他核種のピークに紛れ込み、誤検出や過剰検出を招くことがある。
     
     �� 電子対生成

     電子対生成は1020K以上のエネルギーを持ったガンマ線が原子核の近くを通ると511Kの陰陽電子の対生成を起こしてガンマ線が消えてしまう確率があることをいう。

     逆に、511Kの陰陽電子がぶつかると電子対消滅で1020Kのガンマ線を生成する。
     K40、コバルト60やタリウム208などの強いガンマ線で起きやすく、511Kと1020K付近のピークは対生成の影響を考える必要がある。

    �ぁ仝緤�散乱 制動X線

     強いベータ線の出るサンプルでは、ベータ線が鉛遮蔽に当たって特性X線(制動X線)としてピークを作ることがある。
     また、サンプルから出たガンマ線が検出結晶以外の方向に出て、鉛遮蔽で散乱されて波長を変えることがある。
     ただし、これらの確率が測定を邪魔することは少ない。


     【最後に】
     現在、私の家ではIFKR254・ZIP・TA100Uは常時通電し、24時間稼働している。
     このために専用のパソコンも置いている。
     ZIPは大量のBGを採る必要があるし、254は環境放射線量の変化を見るのに必要であり、TA100は線量時系列変化を見て地震予知に利用している。
     大きな地震が近づくと、ジャイアントパルスという極端に高いパルスが消えてしまい、平均的に線量が低くなるのである。
     またラドンの噴出を調べるためにも254の時系列観測は欠かせない。

     フクイチ事故後、測定器の大量需要からシンチ結晶の暴騰があって、測定器価格が大幅にアップしているなかで、とりあえず在庫を保有していたシンメトリックス社の測定器が安く入手できて本当に助かった。
     もう、今後、我々の手に入ることはないだろう。

     シンメトリックス社では、最新測定器として、サムピークやコンプトン散乱などの影響を受けないダブルシンチレータのZIPPROを発売中だが、高級車を一台買えるほどの価格になってしまった。
     しかし、食品関連企業が、将来の1ベクレル規制を考えるなら、信頼性の高いZIPPROを購入すべきだと思う。

    http://cdcreation.grupo.jp/free801460




    ファルージャの奇形児

    電車、駅構内での意識喪失

    ウラン2 劣化ウラン



     【アメリカによる中東侵攻の本当の意味】



     ウランの核分裂を利用すれば、莫大な放射能ゴミが出てくる。なかでも「燃えない核燃料」であるウラン238=劣化ウランがアメリカの核開発軍事利用に伴って大量に蓄積し、良心の存在しない軍国主義者は、それを兵器に利用することを思いついた。



     それを使えば、罪なき一般市民に形容しがたいほどの残酷な被害を与えることが分かり切っていたが、アメリカは広島長崎に投下した原爆と同じように、まるで人々に残酷な苦しみを与えることが最大の快楽であるかのように情け容赦なく使い、狙い通りの恐ろしい結果が生まれた。



     イラク戦争で膨大な量の劣化ウラン弾がアメリカによって攻撃に使われ、その放射能によって、イラク住民が被曝し、奇形児出生や白血病など極めて深刻な被曝病が大量発生、大変な社会問題を引き起こした出来事を振り返りながら、劣化ウラン問題を本質から考えてみたい。



     劣化ウラン弾薬がイラク住民に対して大量使用された事態の大雑把な歴史を思い出してみることにしよう。



     1990年、フセイン政権がクウェートに侵攻占拠、国連安保理は撤退を要求したがイラクは応じず、1991年1月、多国籍軍がイラクを空爆、イラクは停戦に応じた。



     侵攻の原因はクウェートがイラク領内の石油資源を抜き取るような国境採掘を勝手に行ったせいだが、イラク側が侵略者の悪者であるかのような報道だけがなされた。

     このときイラクの悪事を告発したクウェート市民の映像は、すべてアメリカによる捏造と、やらせであったことが後に発覚した。



     1996年、フセインはクルド族へ攻撃を仕掛け、国連の大量殺戮兵器査察団の調査も妨害、1998年には米英がイラクを空爆。

     世界のイラク、フセイン政権を見る目は厳しさを増した。そしてアメリカは、イラクは大量破壊兵器を隠し持っている、軍事侵攻して叩きつぶす必要があるとプロパガンダを開始した。



     そして2001年9月11日、同時多発テロが起きて、アメリカがイラクや中東テロリストが仕組んだのではないかと大宣伝する。

     しかし、これも、アメリカの歴史に一貫して流れる壮大な捏造、陰謀、自作自演であった証拠が後に続々と出てくる。



     アメリカは、対外侵略戦争には、必ず自作自演の陰謀を仕掛ける歴史がある。

     真珠湾攻撃はアメリカの作戦に乗せられた日本軍の暴走だったし、ベトナム北爆の契機となったトンキン湾事件も侵略爆撃を正当化するためのアメリカの自作自演と暴露された。

     キューバ危機も、パナマ侵攻も、すべてアメリカの陰謀から始まった侵攻理由のための捏造と演技である。アメリカはアポロ13号でっちあげに見られるようにウソ、捏造と自作自演の陰謀王国なのである。



     そして911テロもまた、イスラエルの秘密諜報機関モサドによる仕掛けであったことが暴露され、倒壊した鉄骨にはテルミット溶融の痕跡が明確で、攻撃も受けていない周囲の健全なビルまで倒壊させてみせ、我々を唖然とさせた。



     無数の証拠や、貴金属や犠牲者の遺骸が混じった倒壊残骸は、事件からわずか二ヶ月後、証拠調べもされないまま中国に払い下げられた。

     あまりにも異常で不自然な倒壊の真相を調べようとした報道関係者は、次々にテロ容疑で逮捕され、NHK論説委員が「犠牲者にイスラエル人が皆無は不自然」と発言すると、翌日に不可解な転落死を遂げた。



     主犯とされたビンラディンは2001年にドバイのCIA病院にて腎不全で治療を受け、その後死亡していたこともフランス情報機関によって明らかにされていて、2011年にビンラディン殺害騒動でオバマが、それらしく感想を述べているのを見て、アメリカの三文役者の陳腐な茶番劇を世界中の情報通が嘲笑することになった。



     しかし、911テロの隠された本当の目的が、我々の想像をはるかに超える壮大な人類史的陰謀であることは、その後のアルカイダからイスラム国に至る流れのなかで、「イスラムを叩きつぶす」というユダヤ的思惑が浮き上がって見えていることから分かる。



     アメリカという国を支配するのは建国以来、すべて陰に隠れたユダヤ人であって、アメリカはイスラエルの属国であるからこそ理不尽なイスラエル擁護を続けてきた。



     イスラエルという国はユダヤ教を支配する母国で、すなわちアメリカ=ユダヤ教であって、ユダヤ教の敵であるイスラムを全世界的に崩壊させることこそ真の目的であろうことは実に明白である。

     アメリカ政府にはモルモン教徒が優先的に採用されているが、これもモルモン教がキリスト教を装ったユダヤ教に他ならないからである。



     ユダヤ教聖書=旧約には、アブラハムの二人の子、イサクがユダヤ教の祖となり、イスマエルがイスラムの祖となると書かれていて、やがて二人の子孫が最終戦争を起こすと預言されているのである。

     イスラエルは、この宗教的目的のために、イスラムへの信仰を地に堕とす、残虐を絵に描いたようなアルカイダやイスラム国を秘密裏に結成させ、武器を与えて国家規模のテロ組織に育てた。

     彼らが残虐であるほどに世界はイスラムへの不信感を高めてゆく。

     まさに狙いはイスラム壊滅という壮大な陰謀なのである。



     実に大雑把な解説で申し訳ないが、アメリカという国家(実は日本も)は、ユダヤ人たちの政治的宗教的目的に利用される機関にすぎないことは、世界中の真実を見抜く情報通の疑いようのない常識である。

     世界の戦争の根源には、いつでも世界の富の9割を所有するユダヤ人国家、イスラエルが存在していて、アメリカの大企業や政府機関を支配する9割もユダヤ人である。

     アメリカを真に支配する中央銀行FRBも6つのユダヤ人銀行が結成した私的銀行にすぎない。

     FRBを憲法違反であって廃止すると宣言したJFケネディ大統領は、直後にFRBの陰謀実行機関、CIAによって暗殺された。



     本稿の目的である劣化ウラン弾も、白リン弾とともにイスラエルがガザ攻撃で多用しているが、これを薄める目的でイスラエルは先行してアメリカに劣化ウラン弾・白リン弾を使用させているのである。



     2002年末に、イラクは国連査察団を再び受け入れるが、アメリカはCIAを使って「イラクには大量破壊兵器=核生物毒ガス兵器が準備されている」

     と再び捏造プロパガンダを開始した。



     2003年3月、アメリカは国連決議も無視して、イラクを911テロを引き起こさせたテロリストの最大支援者、「悪の枢軸」と決めつけ、再びイラクへの大規模な空爆攻撃を開始した。



     5月にはブッシュが勝利宣言、事実上イラクを占領、フセイン政権は崩壊し、後にフセインは絞首刑にかけられた。

     だが、ブッシュが国際社会に大宣伝した「大量破壊兵器」はイラクのどこを探しても発見できず、結局、アメリカが捏造宣伝したデマにすぎなかったことが世界中に知れ渡った。



     【イラク戦争で使われた劣化ウランとは何か?】



     一連の空爆と地上軍による戦闘のなかで、アメリカはイラク軍やスンニ派抵抗勢力に対して、歴史上初めて、放射能毒性の強い劣化ウラン弾薬を400トン以上も使用した。



     劣化ウランとは、もちろんウラン鉱石を製錬したウラン金属から、0.7%しかない核燃料になるウラン235を分離した残り99.3%の残渣である。

     世界最大の核開発国であるアメリカには、75万トンもの劣化ウランが、どうしようもない放射能ゴミとして存在し、世界全体では処分の困難な160万トンもの劣化ウランゴミがある。



     ここで、実は劣化ウランには二種類あることを、もっとも重大な知識として押さえておく必要がある。これが分からないと、これから述べるファルージャの悲劇の本当の意味を理解できないのだ。



     ウラン精錬濃縮で出てくる金属劣化ウランは、元のウラン鉱石に比べてもガンマ線は少なく(主に放射平衡によるBi214)、これによって催奇形性や発ガン性が存在しないわけではないが、イラクからのレポートほど深刻な被害は見あたらない。



     ゴミとはいえ、比重が19と重いため、船舶や航空機の重量調整バラストなどに利用価値があって、広く使われてきたし商品価値のあるものだ。



     ところが、再処理工場で使用済み核燃料からプルトニウムを精製した残りの廃棄物中に含まれる劣化ウランは、恐ろしい放射能毒性を持っていることが知られている。

     核燃料が原子炉で稼働すれば、その放射能は数億倍に増える。猛毒のプルトニウム239をはじめ、マイナーアクチノイドと呼ばれる猛毒超ウラン元素が大量に生成され、生物にとって恐ろしい被曝障害をもたらす存在になるのである。



     当初、まさか米軍が、あまりにも非人道的な再処理工場由来の劣化ウランを弾薬にしてイラクやコソボに撃ち込んだなどと誰も思わなかったが、この劣化ウラン弾が恐怖の再処理ウランである証拠がコソボから出てきたのだ。



     1999年にコソボ紛争では3万1千発ほどの劣化ウラン弾が発射されている。

     NATOは、イタリア政府からの安全性への懸念に対し

    「劣化ウラン弾は精製ウランよりも放射能が低く、健康にまったく影響のない安全で合法的な武器である」と反論し、「科学的根拠のない」ものと断定した。



     コソボで使用された劣化ウラン弾を分析したスイスの研究者たちは、微量(0.0028%)のウラン236を検出した。この元素は自然には存在しない。

     つまり、ウラン鉱石から精製されたウランに含まれるはずのない元素である。すなわち、この劣化ウランは使用済み核燃料の再処理工場から来た事を意味するものであった。



     2004年、激しい地域封鎖殺戮戦争のあったファルージャなどでは、凄まじい残酷さで知られる白リン弾を大量に使用したことも米兵が証言している。

     その戦闘は無差別殺戮といえるもので、米兵たちは「動くものはすべて皆殺しにしろ」と命令を受けていたと証言している。



     そして劣化ウラン弾の使用は莫大なものであった。



     イラク戦争で使用された劣化ウラン弾の総量については様々な報告があって、米軍が1991年以降に使用した劣化ウランの総量は4600トン。第一次湾岸戦争で1000トン、コソボ紛争で800トン、アフガニスタンで800トン、イラク戦争で2000トンと推計されるが、これは弾薬総重量の可能性があり、弾頭だけに使われる劣化ウランの総量としては、先の400トンあたりが妥当かもしれない。



     イギリス原子力公社は、米軍によってイラク全土にばらまかれた劣化ウランは、長期的に700万人を殺害する能力を持っていると報告している。



     劣化ウラン弾がもっと大量に使われたのが激戦があったファルージャなどで、ここでは悲惨を極めた被害が出ており、劣化ウラン弾を始めとする様々な化学物質による汚染が深刻な健康被害をもたらした。



     死亡率も極めて高く、2009年のファルージャ総合病院では出生児の24%が死亡、75%が奇形児であると報告された。



     ウラン金属の化学毒性としては、腎臓障害が広く知られている。しかし、使われたウランが再処理工場由来のものであるとすれば、プルトニウムはじめ多くのマイナーアクチノイド猛毒放射能元素の影響を受けて、猛烈な催奇形性や発ガン性を発揮するはずであって、ファルージャ総合病院での恐ろしい結果が、まさにそれを示している。



     イラク戦争後に観察された病気としては腎臓、肺、肝臓等の疾患や免疫系の障害が含まれる。劣化ウラン弾は、特に、子供たちの間で白血病、腎臓病、貧血等を急激に増加させた。



     女性の間では流産や早産が劇的に増加した。特に、ファルージャでは非常に顕著で、イラク政府の公式な統計によると、1991年に最初の湾岸戦争が起こる前の癌の発生率は10万人に対して40人だった。1995年には癌の発生率は10万人当たり800人となり、2005年には10万人当たり1,600人となった。そして、最近の調査によると、この増加傾向は続いている。



     これはイラク保健省の統計によるもので、実際の被害は、この数倍に及ぶと指摘されている。イラクの場合、自国に都合の悪い数字は、すべて半分に矮小化されて公表されるといわれる。



     日本では先天異常の発生率は1から2パーセント、ファルージャで生まれた子供たちの間では14.7パーセントであることから、日本の放射能被害地域における先天異常に比べると10倍も多い。

     2013年の3月の時点に、「出生異常の率は依然として14パーセントのままだ」であった。



     ファルージャで生まれてくる子供たちの15%が先天的異常ということは、ほぼ全員が見えざる異常を抱えていることを意味する。

     知的遅滞などの異常は、かなり年齢を経ないと発見されない。また、こうした子供たちの余生は大幅に短いのが普通である。



     これほどの死者と異常、病気をもたらした劣化ウランが、米軍の説明してきた核燃料濃縮後の金属ウランである可能性は極めて疑わしく、限りなく再処理工場由来の恐怖の猛毒劣化ウランである可能性が大きいのである。

     こんなことがやれる国は、陰謀だけで成立しているようなアメリカかイスラエルくらいしかない。非人道国家アメリカなら、やりかねない。これは人類の未来に対する犯罪である。



     劣化ウランは湾岸戦争で大々的に使用された。米国政府の発表によると、0.01グラムの劣化ウランに晒されると1週間の内に健康障害が起こる。



     米軍は陸軍少佐ダグラス・ロッキに命じて、劣化ウランの危険性を警告したマニュアルを作成したが、これを一切公開せず握りつぶした。

     劣化ウランの毒性を米軍が知って使ったということが明らかになれば、補償責任や戦争犯罪としての責任を問われることから、その危険性を徹底的に隠蔽し、兵士にも一切教えなかった。

     劣化ウランは、何の被害ももたらさない安全兵器だとデマを主張し続けたのである。



     このため米兵にも大量の被爆者が出た。米国内で被曝による命に関わるほどの深刻な障害を訴える帰還兵は、アメリカ政府の把握だけでも数百名を超えている。

     イラクに派遣された米兵50万人強のうち、52%にあたる25万人が帰国後も被曝症状を訴えているのである。

     これは湾岸戦争症候群と呼ばれ、深刻な社会問題となっている。

     ロッキ氏によれば、帰還兵の劣化ウラン被曝死は1万人に上り、22万人が障害者になったと報告されている。



     米軍の戦車から発射された砲弾は敵軍の戦車に当たると衝撃によって3100グラムの放射性微粉が生成される。

     劣化ウランの微粉を吸い込んだり飲み込んだりすると、この微粉は水溶性ではないことから、体内に数年間も留まり、体内被曝の原因となる。



     この砲弾には約4.8キロの劣化ウランが使用されている。その重量の70パーセント前後が標的への衝突によって微粉化するものと想定されている。

     0.01グラムの劣化ウランが体内に入ると健康障害が起こると言われている程であるから、参戦した米軍の兵士たちの間にたくさんの被害者が出たとしても決して不思議ではない。

     帰還した従軍兵士の約37%は、さまざまな症候に今も悩まされ補償を要求している。

     彼らの尿におけるウラン濃度は十数年を経ても高い。理由は肺に沈着したウラン粒子が徐々に血液に溶け出してくるためと説明されている。



     また日本から派兵された自衛隊のイラク駐屯隊員も被曝している。

     イラクなど海外派兵隊員の総数は延べ2万人、うち死者は35名、在職中自殺者が16名、帰国後も25名が自殺している。



     このうちの多くが被曝によるものと私は考えている。自衛隊・日本政府にとって劣化ウラン粉塵による内部被曝は存在しないものであり、体の変調やストレスを訴える隊員は、単なる怠惰としか理解されない。



     しかし、被曝による変調は恐ろしい苦痛や意欲減退を伴い、朝ベットから起きるのも大変なことなのだ。自殺者が出るのも当然だろう。



     【チッソの劣化ウラン火災にともなう、ある恐ろしい推理】



     イラク帰還米兵で劣化ウラン被曝によると思われる症状は、比較的共通するものが多い。



     1993年米下院退役軍人問題委員会で軍を告発した元陸軍看護兵キャロル・ピクーは、排泄(排尿排便)のコントロールができなくなったと訴えた。

     軍は検査治療にも応ぜず、排尿器具だけを渡されたと涙ながらに告発した。



     帰還兵メリッサも排便障害を訴えているし、帰還兵の訴えの中に排便排尿障害が非常に多いのに驚かされた。



     湾岸戦争症候群を列挙すると、悪心・嘔吐・腹痛・呼吸困難・胸内苦悶・頭痛・頭重・めまい・耳鳴り・頻尿・排尿不快・尿失禁・皮膚知覚異常・しびれ・かゆみ・痛覚・温冷感・自律神経障害・てんかんに似た意識消失発作



     ここで、私は「おや!」と思った。

     これは、現在、東京都民が訴えている症状に酷似しているのだ。



     というより、電車のなかでテンカンのような意識消失発作が続いて電車が救護のために頻繁に遅延していることがツイッターなどで報告されていて、最近では、電車内で排便排尿してしまう人が増えていることが明らかだからだ。



     もちろん、フクイチ放出による放射能のせいかもしれないが、福島など重汚染地帯から、この種の報告を目にすることは少なく、東京に集中している。

     そこで、私は、ひょっとすると湾岸戦争症候群が東京で起きているのではないかと疑ってみることにした。



     実は、東京では2011年3月11日に恐ろしいことが起きていた。

     東北巨大震災の揺れのなか、千葉県市原市、チッソ五井石油コンビナートが4時過ぎに大規模な火災を起こし、劣化ウラン保管庫にあった20トンの劣化ウランが爆発的燃焼を起こしたのである。



     このとき、爆燃を起こした時間帯に、周辺のモニタリングや測定者による測定値が大幅に上がっている。

     劣化ウランの場合は、燃焼して微粒子になった酸化ウランが放射平衡を起こしているビスマス214のガンマ線を出す可能性がある。



     また都内における定点観測の中性子濃度が劇的に上昇している。

     劣化ウランも自発中性子を出すし、フクイチからの放射能放出は3月14日頃と思われるので、これはもうチッソの劣化ウランの爆燃放出によると見て間違いないだろう。



     となれば、今、都内の電車で起きている多数の意識喪失発作や排便排尿障害は、チッソによるウランから来ている可能性を考えなければならない。

     あの水俣病を引き起こしたチッソが、再び大変な公害を起こしてしまった可能性があるのだ。

     現時点において、これらは証明されたものではないが、疑うべき根拠は十分すぎるほどある。



     今後は、ツイッターなどを通じて、湾岸戦争症候群に類似した症状がないか、呼びかけてみる必要があるだろう。

     燃焼した劣化ウランは酸化ウラン微粒子として呼吸から取り込まれ、肺に沈着する。



     イラク帰還兵の例では、ウランの生物半減期が短いにもかかわらず、実際には10年以上経ても高濃度のウランが尿から検出される。

     この理由は、肺に沈着したウラン粒子が、少しずつ血液中に溶け出しているからと考えられる。

     長い時間にわたって、重金属毒性とアルファー線、放射平衡のガンマ線によって内部被曝を深刻化させてゆくのである。



     泌尿器系の病気を引き起こす理由は、ウラン金属の化学毒性が腎臓を攻撃するからで、排便排尿障害をもたらすと考えられる。


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