我々、70才に近い世代、超えた世代は、漏れなくといえるほど、記憶力・判断力の低下に苦しみ、認知症の跫音に怯える毎日だ。

 だから、必死になって、迫り来る認知症と戦う毎日を過ごしている人も多い。



 記憶力の低下でいえば、「即時記憶力」の減退が深刻で、たった今、やろうとしたことを数秒後に忘れてしまう。最近のことが思い出せない。固有名詞が出てこない。「あれ、それ」という指示代名詞ばかりの会話になる。



 これは、新しい記憶が「海馬」という大脳の表皮縁辺系といわれる部分で担われ、記憶が重なるたびに、どんどん脳内深く深く沈んで、他の記憶と連携することで確かなものに変わるという性質によるものだ。

 http://www.scj.go.jp/omoshiro/kioku3/kioku3_1.html



 この海馬は、非常に壊れやすく、老化や事故の衝撃などで壊れて萎縮してしまい、新しい記憶に障害をもたらす。

 私は若い頃にバイクの事故で頭蓋骨折・大脳萎縮になっていて、このせいで若い頃から記憶が苦手だった。だから、中学生のころから目指していた、プロのクラシックギタリストになれなかった。長い楽譜が、どうしても覚えられなかったからだ。

 大脳に損傷を受けた人の多くが、老化すると真っ先に海馬の萎縮が始まるといわれる。



 だから、私は古い記憶は得意で、数十年前の記憶はかなり正確なのだが、何かを買おうと思い立って店に出かけても、何を買うのか忘れてしまうという情けない状態なので、今では、スマホのメモ帳に買う予定のものを書き留めておかないと、まともな購買もできない。



 大脳萎縮=「高次脳機能障害」というレッテルが貼られると、人生は認知症一直線になってしまう。だから、私は必死になって、認知症対策に取り組んできた。

 このブログも、その一環なのだ。

 何をやったかというと、まず若い頃から登山が大好きだったので、とにかく日本中の山を歩いた。1990年には日本百名山をほぼ完登したほどだ。



 しかし、無理な登山が祟って、膝を故障するようになり、痛風と相まって、一時は登山どころか普通の歩行にも支障を来すほどに悪化した。「膝関節症」というやつだ。

 しかし、歩かなければ脳も悪化することが分かっていたので、無理して、痛みが出ない範囲でセーブしながら歩き続け、少しずつ歩行距離を伸ばしていった。

 また脳の循環を良くするため、血液をさらさらにする効果のあるDHAを毎日服用して、すでに10年近い。



 歩くことは、認知症克服の第一歩であることは、このブログで何度も書いてきた。

 https://www.tmghig.jp/research/topics/201412/



 人間、毎日歩いてさえいれば、全身の体液の循環が促進され、脳内の認知症誘発物質の除去に役立つ。歩けば、疲労し熟睡することができる。深い睡眠によってアミロイドβなどが除去されやすいことが分かっている。

 https://neurotrack.com/jp/resources/why-your-brain-needs-sleep



 しかし、どのように歩けばよいのか? については、なかなか難しい。

 我々の若い頃には、毎日一万歩、歩けといわれていた。

  https://www.gakken.jp/manpo/%E3%82%A6%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%81%A8%E6%AD%A9%E6%95%B0%E3%81%AE%E9%9D%A2%E7%99%BD%E3%81%84%E9%96%A2%E4%BF%82-2/%E2%91%A0%E3%82%A6%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%81%AF%E6%AF%8E%E6%97%A5%EF%BC%91%E4%B8%87%E6%AD%A9%E6%AD%A9%E3%81%84%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%80%81%E3%81%9D%E3%81%97%E3%81%A6%E6%AD%A9/



 だが、最近では「1万歩は歩きすぎ」という指摘が多くなってきた。

 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/51423



 1万歩といえば、私の足で、おおむね2時間程度の歩行になるが、これくらい歩くと多少の疲労感がある。これによって免疫が低下するのだという。

 https://style.nikkei.com/article/DGXKZO97666280V20C16A2NZBP01/



 それだけでなく、私のように若い頃歩きすぎて、膝に慢性疾患歴のある人間は、膝関節症の再現を招く可能性が強まる。

 私の場合は、30代、40代は年間50回の山行、一日8〜12時間の登山歩行を行っていて、これくらいやると、いくら若くても膝に来る。50才代になると膝関節症を引き起こす可能性が強まる。

 だから、60才代になると、もう2時間の歩行で膝に来ることが多くなった。



 中之条市における長期にわたる研究によって、やはり歩きすぎは逆効果であると指摘されるようになった。

 https://toyokeizai.net/articles/-/100087



 ネットを見渡すと、さまざまな意見があるが、おおむね一日8000歩とか7000歩の薦めが多い。

 https://www.myrepi.com/wellness/fitness/otona-article-160323



 スマホのアプリでは一日7000歩を薦めている。

 https://www.harpersbazaar.com/jp/beauty/diet-fitness/a30712454/how-many-steps-to-lose-weight-190401r-lift1/



 ただし、これには条件がついている。7000歩だと、だいたい1時間半以内の歩行時間だが、うち20分程度は、息が上がる手前くらいの負荷をかけるのが良いようだ。

 私も7000歩目安だが、必ず5〜6Kgのザックを背負って、標高差150mを5Km以上歩いている。それ以上歩くと、やはり疲労感を感じることが多い。



 ザックの中身は、セーター・雨具・水・カメラなどありふれたものだが、携帯用ウオッシュレットも入っていて、歩行中催して藪に入ったりしたとき心強い。

 少し荷が重すぎて、空身のとき、逆に歩きにくくなってしまったのが問題だが。

 

 それでも、よほどの土砂降りでないかぎり、年間350日以上は歩いているので、副次的な効果も大きい。元々腎臓機能が落ちていたので、肉や魚を食べられなかったのだが、現在は普通に食べている。

 腎機能が落ちると、尿量が減り、視力がひどく落ちるし、ひどい不眠症になり、頭痛や下痢も起きる。以前は、かなり深刻だったが、毎日の歩行で症状が軽減された。

https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_331.html



 以上、認知症の予防には、毎日7000歩、歩くこと、ぐっすり眠ること、全身の血液をさらさらにするDHAやタマネギを摂取すること。

 歩くときは、階段や山道など標高差(100メートルくらいがいい)をつけ、5Kg程度の負荷をザックで背負うこと。

 あとは、全身の体液の循環を良くする入浴、森林浴などが薦められる。



 これも何度も書いたが、人間は立って歩く動物なので、下腿に血液が溜まりやすい。これをふくらはぎの運動で、心臓に送り返すことが体液循環を支えている。

 歩くということは、ふくさはぎの運動を意味していて、人間の健康には欠かせないものだ。

  https://dot.asahi.com/wa/2018072700024.html?page=1



 認知症になる原因は、社会が便利になりすぎたせいである。だから。認知症を防ぐためには、逆に不便を求めなければならない。

 頭が呆けてきたと感じたなら、DHAを服用して、ザックを背負って毎日5Km必死になって歩き続けよう。