今を去ること十数年前、反原発派の間では、日本で最初にメルトダウン事故を起こすとすれば、それは東京電力、福島第一原発1号機か、あるいは美浜原発3号機かと囁かれていた。
いずれも、東電・関電のデタラメ運営と事故隠し、卑劣な情報操作に定評があったからだ。
そして2011年3月、東日本大震災とともに、福島第一原発は巨大放射能事故を起こした。事情を知る反原発派の多くが顔を寄せ合って、「次は美浜3号機」と頷きあった。
40年超の原発再稼働、同意へ 福井知事、月内にも判断 2021年4月23日
https://www.tokyo-np.co.jp/article/100030
福井県議会は23日の臨時議会で、運転開始から40年を超えた関西電力の美浜原発3号機(同県美浜町)と高浜原発1、2号機(同県高浜町)の再稼働を前提に、原子力政策の明確化などを国に求める意見書案を賛成多数で可決した。議会として容認した形。両町は既に同意しており、杉本達治知事は閉会後、報道陣に「確認すべき内容は煮詰まってきた」と発言。同意の方向で月内にも最終判断する見通しだ。
再稼働すれば、東京電力福島第1原発事故後にできた「原則40年、最長で延長20年」のルール下で初となる。ただ長期運転の安全性への懸念は根強く、知事には丁寧な説明が求められそうだ。
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引用以上
そもそも原子力発電、とりわけ関西電力原発の大半が「加圧水型原子炉」=PWVだが、建設当初の設計寿命は、25年に設定されていた。それから、世界的に耐用年数を30年と設定する傾向が続いた。
日本政府はフクイチ事故を受けて、どさくさ紛れに40年に延長してしまい、これが現在の耐用年数の法的根拠になっている。
2012 年6月改定、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=332AC0000000166
関西電力では、ほとんどの原子炉が加圧水型だが、この炉型には、沸騰水型にはない特別な危険性が存在している。
それは、構造上、原子炉一次冷却水に160気圧という圧力をかけて水を300度まで沸騰をさせないようにして熱交換器に送り込む。ここで二次冷却水に熱を移し、12気圧、180度で発電タービンにスチームを送り込むのだ。
このとき、圧力容器にかかる160気圧という圧力は、蒸気機関車ボイラーの10倍で、もしも、圧力容器に、わずかな欠陥が生じていれば、莫大な放射能を含んだまま巨大爆発を起こす、地上最悪の超大型爆弾のようなものだ。
問題は、圧力容器がどの程度、信頼できるかだ。
実は、原子力発電の歴史は、まだ70年程度しかない未熟なもので、圧力容器の信頼性に関するデータは乏しく、内部に試験片を入れて調べながら、行き当たりばったりで運転するという超危険な運用が行われている。
この圧力容器は厚さ数十センチの鍛造鋼材(低合金鋼)で、核分裂による中性子を絶えず浴びているので、鉄原子の一部が変質したり、中性子捕獲反応で、ニッケルやコバルトに変化してしまい、いわばスポンジのようなスカスカの鋼鉄に変わってゆく。
このとき、「脆性破壊」という現象が起き始めるのだが、これは、最初は、よほどの低温でしか起きなかったものが、中性子によってガラスのように変質することで、徐々に、高い温度でも起きるようになる。
つまり、圧力容器全体が、高い温度でも、まるでガラスのような脆い材質に変わってゆき、簡単なショックで破壊されるようになる。
こうなると、何らかの事情で、ECCS(非常冷却装置)が作動して、冷たい水が原子炉に入ると、高温ガラスに冷水を浴びせたようにバリバリっと破壊され、超高圧で大爆発を起こしてしまう。
このため、原子炉内に、圧力容器同等物質の試験片を置いて、「脆性破壊遷移温度」を調べ、運転温度で十分な強度が保たれているか、調べなければならないシステムだ。
https://cnic.jp/424
ところが、関西電力と原子力業界は、この脆性破壊温度予測式で、PWV寿命に都合の良いデータの捏造を行い、脆性破壊現象をごまかしていたことが、上のリンクに書かれている。
おまけに、全国の加圧水型原発の試験片データが明らかになると、驚くほど脆性劣化の進んだ危険な原子炉が続々と見つかった。
いつ巨大爆発を起こすか分からない高浜原発1号機 2019年07月08日
http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-800.html
http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-864.html
この高浜1・2号機も、40年超再稼働予定に含まれている。しかも、使用済み核燃料の冷却保管に500年間もかかるMOX運用だ。
関電も規制委も政府も、自治体も誰一人、使用済み核燃料を原発構内で500年冷却保管が可能かどうか考えてもいない。いわばトイレなきマンションを作っているのだ。
あなたがたは、日本政府・電力企業・管理企業が本気で500年継続できると考えているのか? もし、ほんの少しでも子供たちの未来環境を考えているなら、絶対にできない超愚行なのだ。
さて、我々が数十年も前に、日本で最初にメルトダウン事故を起こすにちがいないと予測した、フクイチと美浜原発だが。そう考えた恐ろしい理由を掘り返してみよう。
それは「一次冷却水配管、ギロチン破断事故」である。(以下、広瀬隆)
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https://diamond.jp/articles/-/82951
川内原発や伊方原発だけでなく、佐賀県の玄海原発も、福井県の原発銀座の原発も(敦賀1号機を除いて)、北海道の泊原発も、再稼働候補は、みな加圧水型です。
美浜原発「ギロチン破断」事故
これらを続々と動かそうと、政府と原子力規制庁が目論んできたのですが、「蒸気発生器」のギロチン破断事故が起こり、シビアアクシデント寸前まで進んだ大事故が1991年2月9日に、福井県美浜町の美浜原発2号機で起こりました。
今の新聞記者、テレビ記者たちは、若いので、ほとんどこうした日本の重大事故を知りません。
蒸気発生器のパイプが「ギロチン破断」して、スパンと切れたのです。そして原子炉が2度沸騰し、空焚き寸前まで進んで、20トン以上の冷却水が噴出しました。
漏れた原子炉の水には、もちろん放射能が入っていました。そして汚染した水蒸気が、美浜町の空に吹き出してしまったのです。
その水蒸気を、たまたま観光にきていた人が写真に撮っていたので、福井県内版の「朝日新聞」に出ました。しかし、「東京版」では、それを掲載しませんでした。マスメディアというものは、実に作為的ですね。このときは、ECCS(緊急炉心冷却装置)で水を投入して、かろうじて、大爆発を食い止めました。
原子炉からタービンまで、どこかで熱を奪えなくなると、原子炉に熱がこもってしまうので、メルトダウンを起こします。地震などで大きな配管が破断すると、一気に大事故になります。
100万キロワット級原子炉で10トンの水を沸騰させるのにどのくらいかかるか?
日本の平均的な原子炉は100万キロワット級です。川内原発も伊方原発も89万キロワットですから、ほぼ100万キロワット級です。
100万キロワットの原子炉で、10トンの水を沸騰させて水蒸気に変えるのに、どれぐらいの時間がかかると思いますか?
1トンの水は、縦・横1メートル、つまり1立方メートルのサイコロです。10トンの水は、その10個分ですから、大変な量です。
いったいどれくらいの時間で、その10トンの水が沸騰すると思いますか?
たった1秒で、それが全部、水蒸気になる! それほど大量の熱が出ている。それが100万キロワット級の原子炉です!
ですから、何かあれば、一瞬で、大事故に突入するのです。
この国は、世界一の地震国ですよ。
伊方原発は、中央構造線という日本最大の活断層の真上に原子炉があるので、それが動けば、制御棒を突っ込む時間がなく、そのまま大爆発して終りです。フクシマ原発事故では、震源が原発から130キロメートルも遠くの沖合だったで、揺れが襲ってくるまでに時間がありました。だから、制御棒を突っ込んで、核分裂を止めることには成功したけれど、伊方原発では、何もしないうちに終るのです。
中央構造線とは、西日本の土台をつくった火山爆発の亀裂地帯なのです。ドーンと大地震が来た時には、伊方原発は終りです。しかも、フクシマ原発の「沸騰水型」は、300度以下で70気圧です。
加圧水型はもっと高圧で150〜160気圧です。つまり沸騰水型より2倍以上の圧力をかけています。高温高圧ですから、メルトダウンが始まったら、一瞬でダーッと大事故に突入してゆきます。
フクシマとは比較にならないほど早く、原子炉が溶け落ちる。これは「加圧水型」が持つ宿命です。
ところが日本で、川内原発を動かしてしまいました。バカ集団の原子力規制委員会の委員5人は、何も知らないド素人集団です。
その配下の官僚──原子力規制庁の8割はどこからきたと思いますか?
フクシマ原発事故を起こしたアホ集団、原子力安全・保安院です。事故を起こした当事者、責任者たちが、そのまま横すべりで原子力規制庁に入ってきて、デタラメ審査をしてきたのです。
彼らに、「あなたはどこの出身か?」と尋ねると、みんな「保安院です」と答えます。そして彼らに何を質問しても、何も答えられない。
原子力の専門機関のどこでも働いたことがない官僚たちが、原子炉の危険性を判断できるはずがない。
ド素人集団たちが、アンパイア役として次々GOサインを出している!
川内原発2号機は、交換しなければいけない蒸気発生器を、交換しないまま動かしました。つまり、30年前のボロボロの蒸気発生器を使って、2015年10月に動かし始めたのです。頭がオカシイとしか思えない。ほどなく大事故を起こします。
すぐに起こった復水器トラブル
川内原発を動かし始めて、すぐに起こったトラブルは、復水器で起こりました。
これも熱交換器ですから、金属に腐食が起こり、海水が入りました。海水が入ったということは、蒸気発生器のほうに、塩分が入ってくるのです。
途中に脱塩装置があり、海水の塩を取れると言っていますが、大量の熱水が流れるところですから、そんな装置で取れるはずがない。
普通、塩分を取ると言えば、イオン交換樹脂で取ります。大量の海水から塩分が取れるはずがない。蒸気発生器に塩分が流れ込んだ状態で、今、再稼働しているのです。
ここからは少し希望のある話をします。
大事故が起こらないよう祈りますが、いつ起こるかわかりません。
少なくとも安保法制は、憲法違反ですから、国民の8割の人が反対しています。
憲法違反ですから、国民は、安倍晋三の法律に従う必要はない。憲法を超える法律はないのですからね。法律が無法なのです。国民はこれに従う必要はないけれど、自衛隊員は命令を受ければ従うでしょう。そこが困るところなのです。今の原発の場合も、こういう無法が、まかり通っている。では、いったいどうしたらいいのか。
電力会社と話し合いをして、互いの協力によって、原発を断念しようと言っているのです。金が必要なら、日本中の金を集めて、電力会社の経営を助けてやるから、ケンカはしないで原発を止めよう、と。
ところが、呼びかけても相手はまったく聞く耳を持たない。彼らは自分たちで墓穴を掘り続けています。
現在、福島県内の子どもの甲状腺ガン発生率は平常時の70倍超。
2011年3〜6月の放射性セシウムの月間降下物総量は「新宿が盛岡の6倍」、甲状腺癌を起こす放射性ヨウ素の月間降下物総量は「新宿が盛岡の100倍超」(文部科学省2011年11月25日公表値)という驚くべき数値になっている。
東京を含む東日本地域住民の内部被曝は極めて深刻だ。
映画俳優ジョン・ウェインの死を招いたアメリカのネバダ核実験(1951〜57年で計97回)や、チェルノブイリ事故でも「事故後5年」から癌患者が急増。フクシマ原発事故から4年余りが経過した今、『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』で描いたおそるべき史実とデータに向き合っておかねばならない。
1951〜57年に計97回行われたアメリカのネバダ大気中核実験では、核実験場から220キロ離れたセント・ジョージで大規模な癌発生事件が続出した。220キロといえば、福島第一原発〜東京駅、福島第一原発〜釜石と同じ距離だ。
核実験と原発事故は違うのでは? と思われがちだが、中身は同じ200種以上の放射性物質。福島第一原発の場合、3号機から猛毒物プルトニウムを含む放射性ガスが放出されている。これがセシウムよりはるかに危険度が高い。
3.11で地上に降った放射能総量は、ネバダ核実験場で大気中に放出されたそれより「2割」多いからだ。
不気味な火山活動&地震発生の今、「残された時間」が本当にない。
子どもたちを見殺しにしたまま、大人たちはこの事態を静観していいはずがない。
最大の汚染となった阿武隈川の河口は宮城県にあり、大量の汚染物が流れこんできた河川の終点の1つが、東京オリンピックで「トライアスロン」を予定する東京湾。世界人口の2割を占める中国も、東京を含む10都県の全食品を輸入停止し、数々の身体異常と白血病を含む癌の大量発生が日本人の体内で進んでいる今、オリンピックは本当に開けるのか?
同時に、日本の原発から出るプルトニウムで核兵器がつくられている現実をイラン、イラク、トルコ、イスラエル、パキスタン、印中台韓、北朝鮮の最新事情にはじめて触れた。
よろしければご一読いただけると幸いです。
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引用以上
広瀬さんの文章を転載すると、他に書くものがなくなってしまうのだが、美浜原発の恐ろしさから、少し外れてしまったので、もう一度立ち返ろう。
美浜3号で配管破断・死傷事故(原子力資料情報室通信363号より)2004/09/02
https://cnic.jp/44
非常に長大なので、以下一部引用
2004年8月9日、11人の下請け労働者が死傷する大事故が、関西電力の美浜3号炉(加圧水型炉・82.6万キロワット・1976年12月1日運転開始)でおきた。
2次系の主配管が突然、ギロチン破裂し、中をながれていた9.5気圧・140度の熱水が、爆発でもするかのように、蒸気となって一気にタービン建屋に噴き出した。
噴き出した蒸気は、タービン建屋内で作業していた下請け労働者を直撃、5人が死亡・7人が全身やけどなどの重傷を負った(8月25日現在)。
破裂したのは第4低圧給水加熱器と脱気器のあいだをつなぐ復水管で、外径560ミリ、肉厚10ミリの炭素鋼製の配管である。タービン建屋2階の天井近くに敷設されている。
この配管は、事故後の調査で厚さが1ミリ程度にまですり減っているのがわかった。
配管の中をながれる熱水の渦巻き様の流れや気泡をふくんだ流れなどによって配管が浸食される作用と、腐食(錆の生成)とが交互におこり、配管内部から肉厚を減少させる現象が進んだためだ。(アマ註、非破壊検査対象として普通の現象)
美浜3号炉の配管の破裂した箇所については、運転開始以来、一度も肉厚の検査が行なわれてなかった。
(アマ註、これには驚いた。高温高圧配管は減肉リスクが非常に大きいことが普通に知られており、これが検査対象になっていなかったというのは驚愕的であり、プラントの構造特性に無知蒙昧な、よほどのバカが運営していたとしか思えないが、これは管理責任者の重過失致死に該当する事件であるのに、起訴されていない)
1970年に運転開始した美浜1号(34万kW)は大阪万博に電気を送ったことで知られるが、73年に燃料破損事故を起こし、関電と三菱重工は幹部ぐるみで隠蔽した。
美浜2号(50万kW)は72年に運転開始し、91年に蒸気発生器細管ギロチン破断を起こしたが、ギロチン破断は起こらないと断言していたのが関電であった。
そして美浜1号の燃料破損が内部告発によって明るみに出た76年に運転を開始したのが、美浜3号であった。1号〜3号いずれも三菱重工製である。
事故箇所は定期検査の直接の対象ではなく事業者の自主検査(02年の法改正後は定期事業者検査)の対象であったが、加圧水型炉(PWR)を運転する各電力会社は90年から、2次系炭素鋼配管について共通の「原子力設備2次系配管肉厚の管理指針(PWR)」を策定し運用していた。
(アマ註、ならば原子力規制委員会の責任であり、担当者は逮捕起訴されなければならない)
関西電力は80年代末から三菱重工に検査を委託していたが(それ以前の検査会社も公表されるべき)、他のPWR事業者が三菱重工に委託をつづけるなか、96年に系列会社日本アームに変更した。「電力自由化で、競争に勝つためにはコスト削減を進めなければならない」ため、「業者の変更で検査費用の約3割を削減」したとのことである(朝日新聞8月21日)。
(アマ註、これで分かるように、この事故の最大の原因は、ヤクザと結びついて腐敗した、関西電力の金儲け体質であり、金儲けのために大事故を防ぐための保安検査態勢を縮小したのだ。まさに、美浜3号機の大事故は、関西電力の腐敗体質そのものから来ていたのだ)
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引用以上
これで分かる通り、東電・関電のあらゆる原発事故と隠蔽体質は、日本社会が原発を作って運営できるだけの知的レベルに達していない現実を如実に示すものである。
日本人が原発を運営すれば、大事故を起こす。上の美浜3号機ギロチン破断事故は、運営検査の常識が、関係者にまったく理解されていなかったことを示していて、この知的水準で、超危険な原発を運営するなど、もってのほかどころではない、重大犯罪行為である。
この程度の幼稚で軽薄な管理が行われている美浜原発が、巨大事故を起こさないはずがない。
それは、「ハインリッヒの法則」の典型的適用例である。事故は偶然では決して起きない。すべての事故には必然性がある。
https://www.kaonavi.jp/dictionary/heinrichs_law/
ドロドロに腐敗した関西電力と、知的水準の著しく低い現場管理者が揃えば、大事故が起きないはずがないのだ。
関西電力は、山口組と共謀し、地元自治体を金で抱き込み、安全性を無視して、金儲けと汚職に邁進してきた。
我々が、次のメルトダウン事故は美浜原発と予測したのは間違っていない。
その美浜原発が、超老朽化したまま再稼働だって!
いずれも、東電・関電のデタラメ運営と事故隠し、卑劣な情報操作に定評があったからだ。
そして2011年3月、東日本大震災とともに、福島第一原発は巨大放射能事故を起こした。事情を知る反原発派の多くが顔を寄せ合って、「次は美浜3号機」と頷きあった。
40年超の原発再稼働、同意へ 福井知事、月内にも判断 2021年4月23日
https://www.tokyo-np.co.jp/article/100030
福井県議会は23日の臨時議会で、運転開始から40年を超えた関西電力の美浜原発3号機(同県美浜町)と高浜原発1、2号機(同県高浜町)の再稼働を前提に、原子力政策の明確化などを国に求める意見書案を賛成多数で可決した。議会として容認した形。両町は既に同意しており、杉本達治知事は閉会後、報道陣に「確認すべき内容は煮詰まってきた」と発言。同意の方向で月内にも最終判断する見通しだ。
再稼働すれば、東京電力福島第1原発事故後にできた「原則40年、最長で延長20年」のルール下で初となる。ただ長期運転の安全性への懸念は根強く、知事には丁寧な説明が求められそうだ。
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引用以上
そもそも原子力発電、とりわけ関西電力原発の大半が「加圧水型原子炉」=PWVだが、建設当初の設計寿命は、25年に設定されていた。それから、世界的に耐用年数を30年と設定する傾向が続いた。
日本政府はフクイチ事故を受けて、どさくさ紛れに40年に延長してしまい、これが現在の耐用年数の法的根拠になっている。
2012 年6月改定、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=332AC0000000166
関西電力では、ほとんどの原子炉が加圧水型だが、この炉型には、沸騰水型にはない特別な危険性が存在している。
それは、構造上、原子炉一次冷却水に160気圧という圧力をかけて水を300度まで沸騰をさせないようにして熱交換器に送り込む。ここで二次冷却水に熱を移し、12気圧、180度で発電タービンにスチームを送り込むのだ。
このとき、圧力容器にかかる160気圧という圧力は、蒸気機関車ボイラーの10倍で、もしも、圧力容器に、わずかな欠陥が生じていれば、莫大な放射能を含んだまま巨大爆発を起こす、地上最悪の超大型爆弾のようなものだ。
問題は、圧力容器がどの程度、信頼できるかだ。
実は、原子力発電の歴史は、まだ70年程度しかない未熟なもので、圧力容器の信頼性に関するデータは乏しく、内部に試験片を入れて調べながら、行き当たりばったりで運転するという超危険な運用が行われている。
この圧力容器は厚さ数十センチの鍛造鋼材(低合金鋼)で、核分裂による中性子を絶えず浴びているので、鉄原子の一部が変質したり、中性子捕獲反応で、ニッケルやコバルトに変化してしまい、いわばスポンジのようなスカスカの鋼鉄に変わってゆく。
このとき、「脆性破壊」という現象が起き始めるのだが、これは、最初は、よほどの低温でしか起きなかったものが、中性子によってガラスのように変質することで、徐々に、高い温度でも起きるようになる。
つまり、圧力容器全体が、高い温度でも、まるでガラスのような脆い材質に変わってゆき、簡単なショックで破壊されるようになる。
こうなると、何らかの事情で、ECCS(非常冷却装置)が作動して、冷たい水が原子炉に入ると、高温ガラスに冷水を浴びせたようにバリバリっと破壊され、超高圧で大爆発を起こしてしまう。
このため、原子炉内に、圧力容器同等物質の試験片を置いて、「脆性破壊遷移温度」を調べ、運転温度で十分な強度が保たれているか、調べなければならないシステムだ。
https://cnic.jp/424
ところが、関西電力と原子力業界は、この脆性破壊温度予測式で、PWV寿命に都合の良いデータの捏造を行い、脆性破壊現象をごまかしていたことが、上のリンクに書かれている。
おまけに、全国の加圧水型原発の試験片データが明らかになると、驚くほど脆性劣化の進んだ危険な原子炉が続々と見つかった。
いつ巨大爆発を起こすか分からない高浜原発1号機 2019年07月08日
http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-800.html
http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-864.html
この高浜1・2号機も、40年超再稼働予定に含まれている。しかも、使用済み核燃料の冷却保管に500年間もかかるMOX運用だ。
関電も規制委も政府も、自治体も誰一人、使用済み核燃料を原発構内で500年冷却保管が可能かどうか考えてもいない。いわばトイレなきマンションを作っているのだ。
あなたがたは、日本政府・電力企業・管理企業が本気で500年継続できると考えているのか? もし、ほんの少しでも子供たちの未来環境を考えているなら、絶対にできない超愚行なのだ。
さて、我々が数十年も前に、日本で最初にメルトダウン事故を起こすにちがいないと予測した、フクイチと美浜原発だが。そう考えた恐ろしい理由を掘り返してみよう。
それは「一次冷却水配管、ギロチン破断事故」である。(以下、広瀬隆)
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https://diamond.jp/articles/-/82951
川内原発や伊方原発だけでなく、佐賀県の玄海原発も、福井県の原発銀座の原発も(敦賀1号機を除いて)、北海道の泊原発も、再稼働候補は、みな加圧水型です。
美浜原発「ギロチン破断」事故
これらを続々と動かそうと、政府と原子力規制庁が目論んできたのですが、「蒸気発生器」のギロチン破断事故が起こり、シビアアクシデント寸前まで進んだ大事故が1991年2月9日に、福井県美浜町の美浜原発2号機で起こりました。
今の新聞記者、テレビ記者たちは、若いので、ほとんどこうした日本の重大事故を知りません。
蒸気発生器のパイプが「ギロチン破断」して、スパンと切れたのです。そして原子炉が2度沸騰し、空焚き寸前まで進んで、20トン以上の冷却水が噴出しました。
漏れた原子炉の水には、もちろん放射能が入っていました。そして汚染した水蒸気が、美浜町の空に吹き出してしまったのです。
その水蒸気を、たまたま観光にきていた人が写真に撮っていたので、福井県内版の「朝日新聞」に出ました。しかし、「東京版」では、それを掲載しませんでした。マスメディアというものは、実に作為的ですね。このときは、ECCS(緊急炉心冷却装置)で水を投入して、かろうじて、大爆発を食い止めました。
原子炉からタービンまで、どこかで熱を奪えなくなると、原子炉に熱がこもってしまうので、メルトダウンを起こします。地震などで大きな配管が破断すると、一気に大事故になります。
100万キロワット級原子炉で10トンの水を沸騰させるのにどのくらいかかるか?
日本の平均的な原子炉は100万キロワット級です。川内原発も伊方原発も89万キロワットですから、ほぼ100万キロワット級です。
100万キロワットの原子炉で、10トンの水を沸騰させて水蒸気に変えるのに、どれぐらいの時間がかかると思いますか?
1トンの水は、縦・横1メートル、つまり1立方メートルのサイコロです。10トンの水は、その10個分ですから、大変な量です。
いったいどれくらいの時間で、その10トンの水が沸騰すると思いますか?
たった1秒で、それが全部、水蒸気になる! それほど大量の熱が出ている。それが100万キロワット級の原子炉です!
ですから、何かあれば、一瞬で、大事故に突入するのです。
この国は、世界一の地震国ですよ。
伊方原発は、中央構造線という日本最大の活断層の真上に原子炉があるので、それが動けば、制御棒を突っ込む時間がなく、そのまま大爆発して終りです。フクシマ原発事故では、震源が原発から130キロメートルも遠くの沖合だったで、揺れが襲ってくるまでに時間がありました。だから、制御棒を突っ込んで、核分裂を止めることには成功したけれど、伊方原発では、何もしないうちに終るのです。
中央構造線とは、西日本の土台をつくった火山爆発の亀裂地帯なのです。ドーンと大地震が来た時には、伊方原発は終りです。しかも、フクシマ原発の「沸騰水型」は、300度以下で70気圧です。
加圧水型はもっと高圧で150〜160気圧です。つまり沸騰水型より2倍以上の圧力をかけています。高温高圧ですから、メルトダウンが始まったら、一瞬でダーッと大事故に突入してゆきます。
フクシマとは比較にならないほど早く、原子炉が溶け落ちる。これは「加圧水型」が持つ宿命です。
ところが日本で、川内原発を動かしてしまいました。バカ集団の原子力規制委員会の委員5人は、何も知らないド素人集団です。
その配下の官僚──原子力規制庁の8割はどこからきたと思いますか?
フクシマ原発事故を起こしたアホ集団、原子力安全・保安院です。事故を起こした当事者、責任者たちが、そのまま横すべりで原子力規制庁に入ってきて、デタラメ審査をしてきたのです。
彼らに、「あなたはどこの出身か?」と尋ねると、みんな「保安院です」と答えます。そして彼らに何を質問しても、何も答えられない。
原子力の専門機関のどこでも働いたことがない官僚たちが、原子炉の危険性を判断できるはずがない。
ド素人集団たちが、アンパイア役として次々GOサインを出している!
川内原発2号機は、交換しなければいけない蒸気発生器を、交換しないまま動かしました。つまり、30年前のボロボロの蒸気発生器を使って、2015年10月に動かし始めたのです。頭がオカシイとしか思えない。ほどなく大事故を起こします。
すぐに起こった復水器トラブル
川内原発を動かし始めて、すぐに起こったトラブルは、復水器で起こりました。
これも熱交換器ですから、金属に腐食が起こり、海水が入りました。海水が入ったということは、蒸気発生器のほうに、塩分が入ってくるのです。
途中に脱塩装置があり、海水の塩を取れると言っていますが、大量の熱水が流れるところですから、そんな装置で取れるはずがない。
普通、塩分を取ると言えば、イオン交換樹脂で取ります。大量の海水から塩分が取れるはずがない。蒸気発生器に塩分が流れ込んだ状態で、今、再稼働しているのです。
ここからは少し希望のある話をします。
大事故が起こらないよう祈りますが、いつ起こるかわかりません。
少なくとも安保法制は、憲法違反ですから、国民の8割の人が反対しています。
憲法違反ですから、国民は、安倍晋三の法律に従う必要はない。憲法を超える法律はないのですからね。法律が無法なのです。国民はこれに従う必要はないけれど、自衛隊員は命令を受ければ従うでしょう。そこが困るところなのです。今の原発の場合も、こういう無法が、まかり通っている。では、いったいどうしたらいいのか。
電力会社と話し合いをして、互いの協力によって、原発を断念しようと言っているのです。金が必要なら、日本中の金を集めて、電力会社の経営を助けてやるから、ケンカはしないで原発を止めよう、と。
ところが、呼びかけても相手はまったく聞く耳を持たない。彼らは自分たちで墓穴を掘り続けています。
現在、福島県内の子どもの甲状腺ガン発生率は平常時の70倍超。
2011年3〜6月の放射性セシウムの月間降下物総量は「新宿が盛岡の6倍」、甲状腺癌を起こす放射性ヨウ素の月間降下物総量は「新宿が盛岡の100倍超」(文部科学省2011年11月25日公表値)という驚くべき数値になっている。
東京を含む東日本地域住民の内部被曝は極めて深刻だ。
映画俳優ジョン・ウェインの死を招いたアメリカのネバダ核実験(1951〜57年で計97回)や、チェルノブイリ事故でも「事故後5年」から癌患者が急増。フクシマ原発事故から4年余りが経過した今、『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』で描いたおそるべき史実とデータに向き合っておかねばならない。
1951〜57年に計97回行われたアメリカのネバダ大気中核実験では、核実験場から220キロ離れたセント・ジョージで大規模な癌発生事件が続出した。220キロといえば、福島第一原発〜東京駅、福島第一原発〜釜石と同じ距離だ。
核実験と原発事故は違うのでは? と思われがちだが、中身は同じ200種以上の放射性物質。福島第一原発の場合、3号機から猛毒物プルトニウムを含む放射性ガスが放出されている。これがセシウムよりはるかに危険度が高い。
3.11で地上に降った放射能総量は、ネバダ核実験場で大気中に放出されたそれより「2割」多いからだ。
不気味な火山活動&地震発生の今、「残された時間」が本当にない。
子どもたちを見殺しにしたまま、大人たちはこの事態を静観していいはずがない。
最大の汚染となった阿武隈川の河口は宮城県にあり、大量の汚染物が流れこんできた河川の終点の1つが、東京オリンピックで「トライアスロン」を予定する東京湾。世界人口の2割を占める中国も、東京を含む10都県の全食品を輸入停止し、数々の身体異常と白血病を含む癌の大量発生が日本人の体内で進んでいる今、オリンピックは本当に開けるのか?
同時に、日本の原発から出るプルトニウムで核兵器がつくられている現実をイラン、イラク、トルコ、イスラエル、パキスタン、印中台韓、北朝鮮の最新事情にはじめて触れた。
よろしければご一読いただけると幸いです。
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引用以上
広瀬さんの文章を転載すると、他に書くものがなくなってしまうのだが、美浜原発の恐ろしさから、少し外れてしまったので、もう一度立ち返ろう。
美浜3号で配管破断・死傷事故(原子力資料情報室通信363号より)2004/09/02
https://cnic.jp/44
非常に長大なので、以下一部引用
2004年8月9日、11人の下請け労働者が死傷する大事故が、関西電力の美浜3号炉(加圧水型炉・82.6万キロワット・1976年12月1日運転開始)でおきた。
2次系の主配管が突然、ギロチン破裂し、中をながれていた9.5気圧・140度の熱水が、爆発でもするかのように、蒸気となって一気にタービン建屋に噴き出した。
噴き出した蒸気は、タービン建屋内で作業していた下請け労働者を直撃、5人が死亡・7人が全身やけどなどの重傷を負った(8月25日現在)。
破裂したのは第4低圧給水加熱器と脱気器のあいだをつなぐ復水管で、外径560ミリ、肉厚10ミリの炭素鋼製の配管である。タービン建屋2階の天井近くに敷設されている。
この配管は、事故後の調査で厚さが1ミリ程度にまですり減っているのがわかった。
配管の中をながれる熱水の渦巻き様の流れや気泡をふくんだ流れなどによって配管が浸食される作用と、腐食(錆の生成)とが交互におこり、配管内部から肉厚を減少させる現象が進んだためだ。(アマ註、非破壊検査対象として普通の現象)
美浜3号炉の配管の破裂した箇所については、運転開始以来、一度も肉厚の検査が行なわれてなかった。
(アマ註、これには驚いた。高温高圧配管は減肉リスクが非常に大きいことが普通に知られており、これが検査対象になっていなかったというのは驚愕的であり、プラントの構造特性に無知蒙昧な、よほどのバカが運営していたとしか思えないが、これは管理責任者の重過失致死に該当する事件であるのに、起訴されていない)
1970年に運転開始した美浜1号(34万kW)は大阪万博に電気を送ったことで知られるが、73年に燃料破損事故を起こし、関電と三菱重工は幹部ぐるみで隠蔽した。
美浜2号(50万kW)は72年に運転開始し、91年に蒸気発生器細管ギロチン破断を起こしたが、ギロチン破断は起こらないと断言していたのが関電であった。
そして美浜1号の燃料破損が内部告発によって明るみに出た76年に運転を開始したのが、美浜3号であった。1号〜3号いずれも三菱重工製である。
事故箇所は定期検査の直接の対象ではなく事業者の自主検査(02年の法改正後は定期事業者検査)の対象であったが、加圧水型炉(PWR)を運転する各電力会社は90年から、2次系炭素鋼配管について共通の「原子力設備2次系配管肉厚の管理指針(PWR)」を策定し運用していた。
(アマ註、ならば原子力規制委員会の責任であり、担当者は逮捕起訴されなければならない)
関西電力は80年代末から三菱重工に検査を委託していたが(それ以前の検査会社も公表されるべき)、他のPWR事業者が三菱重工に委託をつづけるなか、96年に系列会社日本アームに変更した。「電力自由化で、競争に勝つためにはコスト削減を進めなければならない」ため、「業者の変更で検査費用の約3割を削減」したとのことである(朝日新聞8月21日)。
(アマ註、これで分かるように、この事故の最大の原因は、ヤクザと結びついて腐敗した、関西電力の金儲け体質であり、金儲けのために大事故を防ぐための保安検査態勢を縮小したのだ。まさに、美浜3号機の大事故は、関西電力の腐敗体質そのものから来ていたのだ)
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引用以上
これで分かる通り、東電・関電のあらゆる原発事故と隠蔽体質は、日本社会が原発を作って運営できるだけの知的レベルに達していない現実を如実に示すものである。
日本人が原発を運営すれば、大事故を起こす。上の美浜3号機ギロチン破断事故は、運営検査の常識が、関係者にまったく理解されていなかったことを示していて、この知的水準で、超危険な原発を運営するなど、もってのほかどころではない、重大犯罪行為である。
この程度の幼稚で軽薄な管理が行われている美浜原発が、巨大事故を起こさないはずがない。
それは、「ハインリッヒの法則」の典型的適用例である。事故は偶然では決して起きない。すべての事故には必然性がある。
https://www.kaonavi.jp/dictionary/heinrichs_law/
ドロドロに腐敗した関西電力と、知的水準の著しく低い現場管理者が揃えば、大事故が起きないはずがないのだ。
関西電力は、山口組と共謀し、地元自治体を金で抱き込み、安全性を無視して、金儲けと汚職に邁進してきた。
我々が、次のメルトダウン事故は美浜原発と予測したのは間違っていない。
その美浜原発が、超老朽化したまま再稼働だって!
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