アフリカ〜インドの蝗害や、中国の大洪水による、恐ろしい減産が何をもたらすかといえば、もうすぐ、とんでもない食料危機がやってくると考えるべきだ。

 数億人の食料が不足すれば、今や日本人よりも豊かになっている中国人は、金にものをいわせて、あらゆる手段で、世界中から食料を買い入れるので、全世界の食糧事情が中国に吊られて悪化してゆくのだ。



 例えば、日本に300万人の中国人が住んでいるが、その数割は、中国政府に協力する事実上のスパイである。中国は、在外居住者がスパイを行う法律=「国家情報法」を制定していて、政府に協力しない在外中国人に対し深刻な懲罰が与えられる。



 彼らは、日本の一般消費者に紛れ込んで、流通のあらゆる部門から缶詰や主食を中国に送り込むので、日本人の食料も、誰も気づかないうちに失われていってしまう。

 私自身も、備蓄用に安価な缶詰を入手しようとしても、すでに売り切れで補充もなく、注文さえできないことが多い。



 もちろん、生鮮食品ではなく保存性食品のことで、米の真空パックとか、小麦粉とか、スパゲッティとか、缶詰とかの長期保存可能な食品が、いつのまにか入手できなくなる。

 それは、収穫期が始まった秋口になれば鮮明になるだろう。



 保存性のある主食として、小麦粉、米、スパゲッティなどが売られているが、食糧供給が不十分になれば、たちまち、それらは値上がりが始まる。

 どのくらい値上げになるかといえば、私は数倍を予想している。他の代替食価格とバランスが取れるまで値上がりが続くだろう。



 ただでさえ、安倍政権と竹中平蔵のために、日本人のエンゲル係数が上がりっぱなしで、できるだけ食事価格を抑えたいのに、数倍になったのでは、たまったものじゃない。

 だから、いよいよ可能な限りの自作農耕を試し見なければならない必然性があるのだ。



 もう、何度も繰り返してきたのだが、もっともエネルギー効率の高い作物は芋類である。主に、馬鈴薯、甘藷、里芋などだが、里芋は連作障害が激しく、同じ場所では7年に一度しか作れない。馬鈴薯は3年に一度くらい。甘藷には連作障害がない。

 しかし、これらの栽培が容易だとはいっても、十分な耕運や、肥料の投入、それに防虫と草取りという苛酷な労働を加えなければ、まともな収穫は望めない。



 もうひとつ、猛烈に栽培効率が高い「救荒作物」として、「キクイモ」があり、これを去年から作ったのだが、驚くほど大量に収穫できるものの、私の場合、食べると激しい下痢をして食用不適だった。



 私が、2003年に、中津川市の田舎に移住して、山を切り拓いて70坪ほどの畑を作り、十数年間、さまざまな農作を試し見て、ある程度分かったことを伝えたい。



 まず、家庭菜園を作る場合、福岡式無農薬無耕起無肥料栽培は事実上不可能である。

 これを成功させるためには、最低5年以上、土をふかふかにして深部まで通気性を確保する炭素循環農法で畑の性質を根源的に変えなければならず。普通の人には無理筋である。



 だから、どんな作物でも、必ず耕運機を使って、たぶん五回くらい耕運を繰り返して、鶏糞などを大量に投入し、2ヶ月程度寝かせて、さらに耕運しなければならない。

 有機農法の場合、必ず堆肥を1年前から準備して十分に発酵させなければならない。

 なお、最近の鶏糞は鳥インフル以来、莫大な石灰が投入されているので、PHが高くなり、馬鈴薯を作った場合、ソウカ病にかかりやすくなる。



 発酵の不十分な有機堆肥を使うと、猛烈にアブラムシなどの害虫が発生する。そして雑草の繁茂が凄まじい。

 この害虫と雑草問題こそ、家庭菜園の最大の問題点である。



 地球温暖化により、30年前に比べて、害虫・雑草が桁違いに増えている。もう農薬なしには手がつけられないほどだ。

 私も、無農薬自然栽培(オーガニック栽培)を目指していたのだが、この5年ほどの雑草と害虫の攻勢に対して、ギブアップ宣言、白旗を掲げるしかない状態だ。



 今年の長梅雨でも、降雨により草むしりをサボると、三日ほど放置しただけで、もう畑に入れなくなるほど雑草ジャングル化してしまって、菜園を放棄したくなる。

 雑草を放置すると何がダメかというと、肝心の作物の養分を吸い取り、成長も肥大もできなくさせてしまうのだ。



 長梅雨で、収穫できなかった馬鈴薯を、梅雨明けに掘ってみると、例年の数割しか収穫できなかった。雑草に栄養分を奪われて肥大できなかったのだ。

 それに、もの凄い病気が蔓延していた。モザイク病などのウイルス病で、これは雑草のアブラムシを放置したせいだ。



 もちろん、雑草対策として、ビニール黒マルチを敷設してあるのだが、雑草にとっては「そんなのカンケーネー」と畝筋から猛烈に繁茂して、馬鈴薯の肥料を奪っていった。

 もう、二重苦三重苦で、家庭菜園がこれほど困難になるのは20年前から考えたら信じられない事態なのだ。

 さらに、うちの場合は、ハクビシンや狸が侵入して、作物を食い荒らしていく。ときには猪も入ってきて、凄まじい惨禍になることもある。



 そこで、今年は、虫に食害されやすいハーブ類、バジルやパクチーなどをプランターで栽培した結果、最高の結果が生まれている。

 プランターの場合、一目で虫が見えるので、見つけたら、すぐに除去することで虫害を防ぐことができた。

 ウイルス汚染されない市販土を入れたおかげで病気にもやられずにすんだ。

 肥料は有機を使いたいが、病気を警戒して液肥を使ったが十分に味の良い作物ができた。



 プランター栽培の何が良いかというと、雑草の侵入が非常に少ないし、入ってもたちまち発見できて抜き取れるということだ。

 雑草禍があまりに凄まじいので、もう普通の畑では6月前半までか10月以降でないと栽培が困難になっている。



 馬鈴薯や甘藷も、畑にいきなり植えるよりも、深いプランターで栽培した方が、たぶん収率が高いはずだ。病虫害にも雑草にもやられずに、適応力が大きい。

 この温暖化による家庭菜園の困難に対処するのは、もはやプランター栽培しかないのではないだろうか?



 もう一つ、水耕栽培がある。これは結構、面倒だが、やはり雑草抜きや肥料投入のメンテがほとんど無用なので、これも効率が高く、収穫の品質も高い。

 今後は、大きめのプランターを自作して、畑にたくさん並べて、非汚染土や水耕栽培での生産を目指した方が問題が少ない可能性がある。

 プランター栽培なら、耕運機は必要ない。大きなプランターなら、高いので、腰をかがめて作業する苦痛も少ない。

 収量も畑より多く、病虫害、雑草に対処しやすいと良いことが多いのだ。

 邪魔になれば、ひっくり返して土を畑に同化させればすむだけのこと。



 我々が、食料危機に際して、最初に選ぶべき作物は、馬鈴薯・甘藷である。

 甘藷は連作障害がなく、過チッソを避けてカリウム(草木灰)を多めに投入しておけば、日当たり次第で収量が確実に期待できて、救荒作物としての価値が非常に高い。

 馬鈴薯も、わずかな肥料でたくさんの収穫が見込め、何よりも主食として飽きが来ない有用な作物だ。



 まずは、大きめのプランターで、段取りを確認する意味でテスト栽培をしてみるべきだ。馬鈴薯は年二回収穫できるので、種芋植え付けが3月と9月になる。

 これからは、秋ジャガの植え付けが可能なので、やってみる価値はある。

 成功すれば、どんどん規模を拡大してゆけばよい。

 甘藷は、過肥料農地では失敗が多い。(プランターに猫が糞尿を入れたりする)プランターでも、チッソの多い土を避けて痩せた土を選んで灰を撒いておけば、なんとかなるはずで、8月に植えても、12月に収穫できる可能性がある。



 この食料危機の様相を見ていると、真剣に栽培を模索する必要が出ていると思う。

 ぜひとも、農業勉強を兼ねて、団地のベランダでもプランターを試し見てほしい、