猛烈な暑さは、まだまだ続く。一説によれば、10月くらいまで、気温35度に達する都市がたくさん残るらしい。

 現在、私は、中津川市の海抜400メートルに住んでいるのだが、7月初旬の梅雨明けから、日中は我慢できないほどの猛暑が続いていて、朝は5時前から山歩きをしているが、9時を過ぎたら、エアコンの効いた我が家に閉じこもっている。



 移住した2003年頃は、朝晩は涼しく、真夏でも布団をかけなければ寒くて寝られないほどだった。だが、2010年頃になったら、一晩中クーラーをかけるような暑さが出現するようになり、2018年には、40キロ離れた多治見市が41度を超える日本一の暑さを記録するようになった。



 当時は、名古屋から移設したクーラーの電気代が高く、7月8月は月に1万円に達するほどで、ギリギリに節約して使っていたが、昨年、ナショナル(チャイナ)の6万円のエアコンに変えたら、今年は、ほとんど一ヶ月、24時間連続、26度設定でつけっぱなしにしていても8月の電気代は4000円(エアコン分だけ)ですんだ。

 やはり、ケチらずに新型エアコンにした方が10年単位では、はるかに安く上がる。それくらい、新型機種の冷房効率が飛躍的に上がっている。



 それにしても凄まじい猛暑、さぞかし熱中症患者、死者も激増しているだろうと思って、ネット上のデータを調べたら、本当に暑くなった2010年以降のデータがなくて、説得力のあるグラフを示せない。

 辛うじて出ていた厚労省の2019年までのデータを以下に示す。(相変わらず、誤認の原因になる天皇歴を後生大事に使っていて腹が立つが)

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 平成30年というのは、2019年(昨年)のことらしい。こんなダブル・トリプルスタンダードの暦を使うから、日本人に認知症と誤認が増えるんだ!



 幾何級数的に美しい二次曲線を描いて上昇しているだろうと予想したが、死者に関しては回帰関数を定めるのが難しいものの、確実な上昇が見えている。

 おおむね、年間千数百名の熱中症死者がコンスタントに出るようになった。



 このレベルなら、国家間戦争の犠牲者と置き換えてみても何ら不思議ではない。

 今年の、この猛暑が過去10年の増加率で延長してゆくものと考えるなら、来年になれば、夏場、40度を超える気温が常態化してゆくことは避けられない。

 もう暑さから身を守る機能の衰えた老人たちは、40度の都市には生理的に生存不可能である。



 そこで、涼しいところに移動する力のある人から冷涼地への移住が始まるのは、もはや避けることのできない時代の流れだ。

 移動する適地を考えると、信州や北海道、あとは垂直移動しかない。

 おおむね、垂直に100メートル上昇すると、0.6℃気温が下がることになっている。

 名古屋から当地に移動したら、理論上は2.4℃涼しくなるはずだが、体感上では、それよりはるかに涼しい。当地には、中央アルプスや御嶽山の冷気が降りてくるからだ。



 まあ、計算上、海抜700メートルの高地ならば、4.2℃下がることになる。

 名古屋で35度なら、700mでは30度だ。エアコンは欲しいが、必須ではない程度だ。

 しかし、実際には、風通しの良さから、理論値以上に涼しい(寒い)と考えるべき。

 これなら、夏の猛暑を快適に過ごせるレベルだと思う。



 ただし、冬の寒気をやりすごせるか? といえば、10年前までは無理だった。

 当地でも、冬場になると海抜600メートルあたりから、道路がブラックアイスバーンで凍結し、スタッドレスタイヤでも通用せず、はしごチェーンでも運転が困難だった。

 しかし、この数年は、以前の常習的凍結路でも凍結がずいぶん優しくなり、スタッドレスタイヤが通用するようになっている。



 海抜700mに作られた代表的な都市は、松本や高山だ。松本の場合は、松本駅が標高600mくらい。塩尻が700m弱、岡谷が800mに満たない程度で、この高さに数百万人が居住している。高山市は、標高600m前後が多いが、高い場所は1000mを大きく超えている。

 ここでは、北海道と同様、最近までエアコンを完備した家は少なかった。

 https://j-town.net/tokyo/news/localnews/289731.html?p=all



 冬場の凍結状況は、ほぼ札幌と同等のように思えた。



 しかし、「中央高地」と呼ばれる、この一帯は、すでに人口が飽和していて、新しい大規模な街を作るのは困難かもしれない。それに、現在の大都市から、あまりにも遠い。

 そこで、海抜700mを確保できる大きな居住区を作れる地域はないかと、探してみると、わが中津川市が最適地であることが分かってきた。



 大きな居住区を作るには、既存の基幹交通ラインと接続が容易でなければならない。

 中津川の場合は、中央線が通っていて、大きな駅として中津川、恵那、そしてリニア新幹線岐阜駅になる予定の美乃坂本駅が並んでいる。

 新しく開拓した、標高700m地域に、基幹交通ラインを容易に施設できるかが問題になる。



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上に示した地図では、高野山のような広い山上都市を建設できそうな山上平原のある山は、二つ森山(岩山)と、高峰山、それに、すでに古い観光地である保古山(花無山の右側)だ。標高700m地域はピンクの毛虫で表している。

 やはり都市の中核部分は、平坦地が望ましいので、山上平坦地を有する、これらの山上に絞られてゆくだろう。



 これらの山は保古山を除いて未開発で、土地も非常に安いので、新しい道路や鉄道を敷設しやすい。

 気候の猛暑化は、これらの山上地の価値をひどく嵩上げしていると思う必要がある。

 私の個人的直観としては、我が家の裏山にあたる岩山(932m)は、大規模な平坦地がある上、林道も多く、土地所有者も市内の石屋ばかりなので、開発が容易で、条件が揃っているので、おそらく短時間に市街地化してゆくように思う。

 問題は、基幹交通を設置できるかどうかにかかっている。



 高峰山(944m)も、山上に高野山市街地を移設できそうなくらい平坦地が多い。ここも中津川駅が近いので、基幹交通路線次第で、あっという間に開発されるだろう。

 中津川の場合、リニア岐阜県駅が美乃坂本駅に設置されるということで、交通の便が極端に良く、海抜の高い山上都市は人気が出そうだ。



 そんなわけで、私は、これから都市は避暑地を兼ねて、海抜700m以上にシフトしてゆく必然性があるように思う。

 中津川のように、中央線という基幹路線で大都市名古屋と接続し、おまけにリニア駅で東京まで30分ということになると、もう全国の不動産屋が殺到してきそうだ。



 夏場、毎日毎日、延々と35〜40度の名古屋市なんかに、住み続けたいと思う人は少ないだろう。冬場の凍結路に対する対策や、基幹交通の整備があれば、もう、ゾロゾロと人々が移住してくる流れは避けられない。

 私が生きている可能性は少ないが、10年後には、極端な変貌を遂げるにちがいない。



 今回は、猛暑の定着から、都市が海抜700mにシフトしてゆくという予告を書いた。

 だが、いくら山岳国日本であっても、市街地の開発に適した土地が無限に転がっているわけではない。

 自分の住んでいる土地で、近郊に、移住可能な海抜700mが、どこにあるかを調べておく必要がありそうだ。



 私は、ブログのなかで、何度も繰り返しているのだが、地方の活性化は、一言でいって交通手段にかかっている。

 中津川市の場合も、中津川駅・美乃坂本駅・恵那駅から海抜の高い地域を結べる何らかの合理的な交通手段を開発すれば、それだけで、無数の人々が殺到して移住してくるポテンシャルを秘めている。



 私個人は、山岳地帯における、さまざまな危険性を考慮すれば、高架式モノレールや高架式アブト鉄道くらいかと考えている。また広いバス道路も必要だろう。

 現在の、保守や自民党に、こうして未来を見ることのできる人材が極めて少ないことが残念だ。みんな自分の目先の利権しか見えないのだ。

 まだ土地が驚くほど安い今のうちに、こうした公共的インフラを考えなければならないのだが、地方の役人は、未来を見つめる目を失っているのだ。