福島では、いったい何が起きているのか? その2 2018/04/10
マスコミ・メディアは、フクイチ事故が、あたかも、とっくに放射能汚染も消えて、問題は解決し、汚染地が元通りに復活するような幻想を与える報道ばかりしている。
しかし、事実は、その真逆であり、フクイチ事故の本当の被害は、7年目を迎えた、これから始まるのである。
日本国民全体に襲いかかった被曝による遺伝子損傷問題は、これからダウン症など知的障害者、外からは見えない遺伝病など内部障害者、膠原病や多発性硬化症など免疫系難病の激増として日本社会=日本民族の未来を暗雲に包み込むだろう。
自民党政権は放射能被害を隠蔽する目的で、ベラルーシ・ルカシェンコ政権と同じように大規模な移民政策を行い、汚染された福島県周辺に外国人移住者を送り込むことになるだろう。
またフクイチ事故の収束作業、アリバイ証明に大量のベトナム人青年をフクイチに送り込むことだろう。
そして、必ず出てくるであろう、被曝者に対する「優生保護法」復活も叫ばれるようになり、強制不妊措置のような残虐な人権侵害が再び繰り返されるのも時間の問題だと私は考える。
放射能事故による遺伝子損傷問題が収束するのは数十世代をかけた淘汰の後、数百年後であるというのが原子力産業に買収されていない被曝専門家の本当の見解である。
幾人かの遺伝問題の専門家は、この事故によって千数百年続いている日本民族が消滅することさえ危惧している。
私は事故直後から繰り返し書いてきたが、フクイチ事故による死者は、事故から30年程度の間に数千万人の規模と予想している。
ウクライナでは、政府系団体が、チェルノブイリ事故によるウクライナ国民の死者は100万人を超えていると公表した。
しかし、福島では、ウクライナの数倍、数十倍の放射能汚染が起きていて、そんな数字ではすまないと私は考えている。
この考えを今でも変えるつもりはない。
法的に言えば、周産期と呼ばれる妊娠22週(154日=5ヶ月)以降の胎児から人格権のある人間と呼び、彼らは60歳成人の数千倍、数万倍の放射線感受性をもっていて、被曝で致命的なダメージを被る最大の被害者たちなのである。
この死をカウントしなければ、本当の被曝死総数にはならないことを知るべきである。したがって、周産期死亡数というのは、被曝障害を知る上で、もっとも大切な指標になるが、日本政府は、このデータさえも改竄捏造しているようだ。
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外国人評論家による、この記事は、フクイチ巨大放射能事故の全体像を理解するのに有用であると考え、一部を引用する。
[マスコミに載らない海外記事] より引用(抜粋)
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2015/06/post-ebf6.html
2015年6月18日 福島で本当は一体何が起きているのか?
(全文転載の価値があるが、長すぎて省略するのが残念、ぜひ全文を読んでほしい)
福島原発事故は、21世紀における最大の隠蔽として歴史に残る可能性が高い。政府も大企業も、リスクと危険に関して、住民に本当のことを語っていない。
何万人もの福島県民が、2011年3月の恐ろしい災害の後、4年以上も仮設住宅で暮らしている。
福島被災地の一部では、元の住民の公式に再居住が認められたが、問題なく、安全だという政府の主張への不信が広まっており、元住民の多くは帰宅に乗り気ではない。
こうした帰宅を渋る理由の一部には、放射線症がある。人間の五感では感じられないので、たちがわるいのだ。人間は、放射能を感じたり、見たり、聞いたり、触れたり、臭いを感じる能力を備えてはいない(カルディコット)。
それだけでなく、時間とともに、手遅れになるまで、わからない、ゆっくりと冷酷な形で蓄積する。
チェルノブイリの破滅が、福島の未来を映し出している
マスコミがどれほど、この災害のブローバックに対処し損ねているかの一例として、十分広くは報じられていないいくつかのチェルノブイリの事実をあげよう。
100万人以上の人々が、チェルノブイリの放射性降下物のせいで亡くなっている。
ベラルーシのレチッツァ児童養護施設は、非常に多数の重篤や奇形の子供達の面倒を見てきた。子供は、成人より、10から20倍、放射能を感じやすい。
ジュラーヴィッチ養護施設は、チェルノブイリ被災者用の多くの施設の一つだ。“施設は、辺鄙な田舎に隠されており、今日でさえ、ベラルーシの大半の国民は、その様な施設があることを知らずにいる
百万人の死者とは、大変な人数だ。だが、これから更に何人亡くなるのだろう? チェルノブイリ近辺の約七百万人が、原子力時代史上、最も強力な放射能被曝の一つに見舞われたのだ。
チェルノブイリ周辺の立ち入り禁止区域は、“死の渓谷”として知られている。区域は、30から、70平方キロに拡張された。ヒトは二度と、この区域内で生きることはできない。そこは永久の“死界”だ。
更にチェルノブイリを封じ込める作業で、極端に危険なレベルの放射能を被曝した為、25,000人以上が亡くなり、70,000人以上が身体障害者になった。緩慢で、苦しい“放射能被曝の死の行進”は余りに耐えがたい為、そうした死亡の20パーセントは自殺だった。
元参議院議員の水野誠一は、 2015年3月こう述べた。
“最大の問題は、原子炉炉心のメルトスルーだ… 地下水が汚染している… 汚染した水が港の中になんとか閉じ込められているという考え方は、きわめて馬鹿げている。
汚染水は直接太平洋に漏れている。ひどく汚染された水が、直接太平洋に流れ込んでいることがわたっている40以上のホット・スポットの証拠がある… 我々は、解決の見込みが皆無な膨大な問題に直面している。
福島では、それぞれの原子炉に、冷却の為、一分あたり、450万リットルの水が必要だが、津波が押し寄せた際、バックアップ用ディーゼル発電機が故障した。1、2、および3号原子炉は、数日のうちに、メルトダウンした。水素爆発が4回起きた。その後、溶融した炉心は、格納容器、あるいは大地に潜り込んだ。
カルディコット医師によれば、“100トンの極めて熱い放射性溶岩が、大地、あるいは格納容器内部のどこかに既に入り込んで、どれもひび割れし、砕けている。”熱い放射性の溶岩が一体どこにあるのか、誰にも良くわからないのだ。気味悪い答えられていない疑問が一つある。これは、チャイナ・シンドロームだろうか?
メルトダウンの後、日本政府は、住民に、列島内陸に吹き戻された放射能の環境濃度レベルを知らせなかった。不幸にして、また、誤って、住民は原子炉から離れ、当時、放線レベルが一番高い場所に避難してしまった。
事故が起きると共に、膨大なレベルの放射能が東京を襲った。東京首都圏で検出された最高の放射能の値は、埼玉で、検出されたセシウム放射線レベルが、919,000ベクレル (Bq)平方メートルで、チェルノブイリの“永久死界の500,000 Bqという避難限界値のほぼ二倍のレベル。
この理由から、カルディコット医師は、日本への旅行はしないよう強く忠告し、日本の食品を避けることを勧めている。
2011年8月15日、原子力発電エンジニアリング経験を持つエネルギー専門家、アーニー・ガンダーセンによればこうだ。
“アメリカ政府は、国務省や他省の最高レベルで、福島原発事故は、実際より軽いものとして扱うことに決定した。
強烈な津波と地震が原子力発電所を含む日本を破壊した一カ月後の4月、ヒラリー・クリントンは、日本との協定に署名し、日本食品の供給に問題がなく、購入し続けることに同意したのです。ですから我々は日本から輸入する食品のサンプリングをしていません。”
ところが、アメリカ合州国とは極めて対照的に、ヨーロッパでは、ライプツィッヒ大学の物理学博士で、ドイツ現職首相のアンゲラ・メルケルは、福島事故後、全ての原子炉を停止したのだ。
福島原発事故の後、ワシントン州の放射能の環境濃度は、通常の40,000倍に高まったが、カルディコット医師によれば、アメリカ・マスコミは“継続している福島原発災害”について報道しない。だから、一体誰が真実を知れよう?
カルディコット医師は、2014年9月の講演をこう言って終えた。“福島では、ことは終わっていません。あらゆる400トンの放射能の高い汚染水が、太平洋に注ぎ込み、アメリカに向かっているのです。
放射能は魚の中に蓄積するので、我々も蓄積します。
アメリカ政府は、水を調べておらず、魚を調べておらず、大気も調べていません。そして、日本の国民は、毎日放射能に汚染したものを食べているのです。”
更に、カルディコット医師によるとこうだ。“炉心を洗った雨水は太平洋に注ぎこみます。人が、こうした炉心に近づく方法はありません。人は死んでしまい、ロボットは放射能でやられます。福島問題は決して解決できません。一方で、人々はいまでも高放射能地域で暮らしています。”
“人は死んでしまい”“ロボットは放射能でやられる”ので、福島は決して解決できない。 どうやら、福島は果てしない放射能メルトダウン・シナリオにあり、文字通り、この世の終わりの地獄の縁で、つき落とされるのを待っている様に聞こえてしまう。
国連の危険は去ったという報告書
2014年4月2日、福島原発事故の健康に対する影響に対する「原子放射線の影響に関する国連科学委員会」(UNSCEAR)報告書は、放射能によって引き起こされる何らかの影響は、小さ過ぎて特定できないと結論している。
住民は十分保護されており、“低いか、極めて低い”放射線被曝しかしていない。UNSCEARは、危険は去ったという報告を出したわけだ。
2014年7月18日付けの核戦争防止国際医師会議(ドイツ支部による、UNSCEAR報告書に対する反論は、国連報告書に反対する違う立場をとっており、すなわち“福島原発事故は、終わったどころではない。
2011年12月の、日本政府による‘冷温停止’宣言にもかかわらず、破壊した原子炉はいまだに安定状態に達しておらず、UNSCEARさえ、放射性同位元素放出は衰えることなく続いていることを認めている。
東京電力は、周辺の土壌や海に、ずっと漏れ続ける膨大な量の汚染水と苦闘している。膨大な量の汚染冷却水が現場に蓄積され続けている。仮設冷却装置の故障が再三起きている。放射性廃棄物の放出は、長期間継続する可能性が極めて高い。”
“破損した原子炉と、使用済み核燃料プールには、莫大な量の放射性物質があり、しかも将来の地震、津波、台風や人為的なミスの影響に極めて脆弱だ。
放射能の破滅的な放出はいつ何どきでもおこりかねず、このリスクを無くす為には、何十年もかかる…現時点では、福島原発事故が日本国民に及ぼす影響を正確に予想することは不可能だ… UNSCEAR報告は、体系的な過小評価であり、康と環境に対して本当の影響をもたらす核の大惨事を見えにくくする科学的確実性という幻想を呼び起こすものだ。”
国連報告に対する反論全文を読むのは、こちら。https://japansafety.wordpress.com/tag/saitama/
引用以上
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上の評論、「マスコミに載らない海外記事」を読めば、国際的なフクイチ事故の本当の評価が理解できる。
ドイツ人をはじめ(メルケル首相は核物理学者)外国人はフクイチ問題を日本人のように軽薄に捉えてはいない。私と同じように、数十年間で数千万の犠牲者が出てくると予想している研究者が少なくない。
とりわけ遺伝子問題の専門家は、日本民族の未来について、巨大な暗雲に包まれた放射能汚染と被曝の現実を鋭く指摘している。
「本当に日本民族の未来があるのだろうか?」
おそらく10年20年後には、もの凄い数の障害者が生まれてきて、至る所に秘密裏に障害者収容施設を作らねばならなくなるだろう。
私は、かつて1960年代初頭に、米ソによる大気圏核実験競争が起きて、結果としての地球規模の放射能汚染のなかで、口蓋裂や多指症、ダウン症などの子供たちの遺伝障害が激増し、日本中の学校に「特殊学級」が設置された時代を目撃してきた。
今度のフクイチ放射能汚染は、そんな甘い規模ではない。
やがて社会全体が、被曝障害者の激増に耐えかねる時代がやってきて、場合によってはナチスドイツが行ったT4作戦を推奨する者さえ出てくるかもしれない。
相模原事件の植松を見よ! https://povril.wordpress.com/2016/07/28/%E3%83%8A%E3%83%81%E3%82%B9%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E8%80%85%E3%81%AE%E5%AE%89%E6%A5%BD%E6%AD%BB%E8%A8%88%E7%94%BB%E3%80%8Ct4%E4%BD%9C%E6%88%A6%E3%80%8D%E3%81%AE%E3%81%93%E3%81%A8/
日本人の若者で、正常な業務を遂行できる者は少なくなってゆくだろう。
その穴埋め、国内の工業生産など実務に携わる労働者は、おそらくベトナムやバングラ・台湾の労働者が担うことになるだろう。
日本人は高齢化し、国民の半数以上が60歳を超えてゆくだろう。自民党政権は、子供を産み育てる豊かなライフスタイルを援助するどころか妨害し排除してきたのだ。
この結果、子供は、どんどん減ってゆき、若者たちは少なくなり、その少ない若者に過酷な年金負担が覆い被さってきて、自由な生活、消費が事実上不可能な状態=低賃金の長時間労働による奴隷社会が成立しつつある。
事故から7年目を迎えた2018年3月を過ぎて、これから循環器障害による死者が劇的に増えることになり、発癌者も幾何級数的に増えてくるはずであり、さらに追い打ちをかけるように神経系障害者も爆発的に増え、交通事故をはじめ、あらゆる事故が激増するようになるだろう。


ウクライナの例では消化器系障害も増えて、大小便のコントロール不能な人がたくさん出てきた。これは劣化ウラン障害に見舞われたイラク派遣米兵にも起きた問題である。
すでに日本でも首都の電車のなかで、同じような事態が報告されている。
すでに述べたように、日本政府は人口動態統計さえ改竄捏造して、これらの事実を隠蔽しているが、東日本中心の汚染された広範な地域で、これらの恐ろしい現象が激増したとき、政府や原子力産業のもくろみ通りに覆い隠せるとはとうてい思えない。
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福島原発事故、遺伝子突然変異は人類にとっての問題 より引用
「低線量被曝でもDNAは損傷を受け、突然変異を起こす。その結果が現れるのは、さまざまな要因が絡み約10世代も後のことだ。だが、それは人類にとって大きな問題になる」と、スイスの内科医マルティン・ヴァルター氏は話す。
https://www.swissinfo.ch/jpn/%E7%A6%8F%E5%B3%B6%E5%8E%9F%E7%99%BA%E4%BA%8B%E6%95%85-%E9%81%BA%E4%BC%9D%E5%AD%90%E7%AA%81%E7%84%B6%E5%A4%89%E7%95%B0%E3%81%AF%E4%BA%BA%E9%A1%9E%E3%81%AB%E3%81%A8%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%AE%E5%95%8F%E9%A1%8C/31290712
突然変異した遺伝子を持つ者同士が遠い将来に偶然結婚して発現することは、しかし、どういったものなのかまったく分かっていない。ただそれは大局的に見ると、がんのわずかな増加より倫理的に問題だと危惧する。
ヴァルター氏は、1人の内科医として核兵器、核実験、原発など「核と人類は共存できない」と考え、医師の責任を強く訴える。核戦争防止国際医師会会議スイス支部(PSR/IPPNW Schweiz)の支部長を2年務め、脱原発を推進する側に立ってきた。チェルノブイリには政府からの派遣も含め5回行っている。
チェルノブイリでの甲状腺がんの子どもの検診や治療、またその後の放射線による遺伝子突然変異の研究などを通して蓄積された知識を、今福島で起こっている出来事を事例として引きながら語ってもらった。
swissinfo.ch : 内部被曝が今後の課題かと思われますが、どういった問題がありますか。
ヴァルター : まず外部被曝は放射性物質をシャワーなどで洗い落せるので今後それほど問題にならないと思うが、食品や呼吸で吸収する内部被曝は問題が多い。簡単な測定方法がないからだ。ホールボディカウンターがあるが、何百人も測れるようなものではなく経済的負担も大きい。
セシウムはまだそれでも測れるが、骨に吸収されるストロンチウム90はベータ線を出すため、内部被曝の測定は不可能だ。唯一の方法は、子どもの抜けた乳歯を取って置き、それを測ることだ。乳歯を焼いて灰にすれば測定できる。日本の検査機関では簡単にできるだろう。
核戦争防止国際医師会会議のアメリカの仲間が1960年代にネバタでの核実験で被曝した子どもの乳歯からストロンチウムが検出されたことを挙げ「自国の子どもが犠牲になってもよいのか」と当時のジョン・F・ケネディ大統領に働きかけた。これが核実験停止条約の一つの要因になった。
swissinfo.ch : 9月30日に放射性プルトニウム239が福島原発から45キロメートル離れた飯館村など、県内6カ所で検出されたと公表されました。プルトニウム239は半減期が2万3000年と気の遠くなるようなもの。取り込むとどうなるのでしょうか。
ヴァルター : プルトニウムは一度体内に入ると、セシウムとは違いほぼ体外に排出されることはない。アメリカが何とプルトニウムを使った人体実験を1948年に行っており、クリントン大統領のときに公にされたので、これは間違いない。
プルトニウムは骨や肺、肝臓などにとどまる。放射線を出し続けるので、がんを引き起こしやすい。
swissinfo.ch : では放射性セシウムですが、福島の多くの子どもの尿からセシウムが検出されました。長くて70日で体外に排出されますが、その間の内部被曝も問題でしょうか?
ヴァルター : その間の被曝量はわずかだ。しかし、問題はその土地に住み続けると排出されてもまた吸収し内部被曝が続くということだ。セシウムは10年間で6センチメートル地下に沈んでいくといわれている。
従ってたとえ徐々に地表面から無くなっても畑で野菜が吸い上げ、それを食べればまた被曝する。すべての土地の表面を上下に掘り返す作業は膨大な労力と費用がかかるだろう。
さらに現在、安全だという被曝量はないというのが定説になっている。がんになるリスクを縦軸、放射線量を横軸にするとそれは正比例の直線になり、たとえ1、2ミリシーベルトでもがんのリスクはある。
胸部や骨折のレントゲン撮影でもがんになるリスクはゼロではないといわれている。さらに慎重な医者は線量が少なければ少ないほどがんリスクは高く、正比例の直線が少量の値域では上向きにカーブするといっている。
チェルノブイリでの研究の中に、学会では正式に承認されていないが、セシウムによって、子どもたちの心臓病が数年から10年後に増えたという報告もある。心臓のリズムなどが不規則になる病気などだ。
また、すべての放射性物質の被曝で4、5年後に子どもの糖尿病が増えたという研究もある。
swissinfo.ch : 日本の基準値、年間20ミリシーベルトの上限をどう見ますか?
ヴァルター : 短期なら分かるが長期的に年間20ミリシーベルトは高すぎる。しかも子どもや妊婦を含んで20ミリシーベルトは非常に高い値だ。たとえ原発に賛成する科学者にとっても高すぎる値だ。
スイスではたとえ事故が起きても放射線の限度を年間1ミリシーベルトに決められている。
1991年のチェルノブイリ原発から50キロメートル離れたポルスコエにスイス政府の派遣で行った。同行のジャーナリストと、子どもがかくれんぼをすると想定して建物の地下や低い茂みなどを測ったが、放射線量は事故から5年後なのに非常に高かった。また場所によって数値にかなりの差があった。
福島でも5年後同じことになるだろう。つまり、県内の多くの地点で今後とも線量はそう変わらないのではないだろうか。年間20ミリシーベルト以下の地域から、避難するほうがよいと思う。もちろん故郷を捨てるといった社会的な問題は残るが。
swissinfo.ch : 放射性ヨウ素について伺います。8月18日付けの朝日新聞によれば3月24〜30日にいわき市、川俣長、飯館村の1150人の子どもを対象に甲状腺被曝を調査した結果、その45%が被曝していた。
14歳の男の子が「僕の体には放射性物質が入っているからゼロじゃないんですよね。本当に僕は大丈夫なのか教えてほしかった」と言っていました。実際のところ、被曝したこの子どもたちはどうなるのでしょうか。
ヴァルター : ということは、子どもたちが原発の爆発直後にヨウ素剤を服用しなかったということか?信じられない・・・(顔を曇らせ、データを見るためコンピューターに向かう)。
スイスでは原発から半径20キロメートル以内の住人は、全員ヨウ素剤を持っている。それが原発を持つ国の安全対策の基本であり、国民に対する責任だ。たとえ持っていなかったとしてもすぐに子どもに配るべきだった。
甲状腺に被曝したということは、それがいくら低い値であろうと、この器官の細胞のDNAがダメージを受けてしまったということだ。従って、何人かは今後、甲状腺がんを引き起こす可能性があるということだ。そのため、毎年定期的に超音波でがんの発生を調べていく必要がある。
そもそも子どもの甲状腺がんは普通は存在しないものだ。以前ウクライナでは住民5000万人に対し3人の甲状腺がん患者がいただけだ。それがチェルノブイリ以降、2000〜4000人の子どもがこのがんにかかった。
しかし、早期に発見し、甲状腺を摘出すれば大丈夫だ。チェルノブイリで私もこの超音波の検査に何度も携わったが、ベラルーシでもウクライナでも子どもたちはみんな手術を受けた。しかも手術は95%成功している。
ウクライナでは、ある経験豊かな70歳の医師が750人もの甲状腺がんを手術した。わずか3人だけが術後の複雑な炎症が重なり亡くなっただけだ。
また、たとえ甲状腺が摘出されても、その後ずっとホルモン剤を飲み続ければ、それで元気に大人になり普通に一生を送れる。
swissinfo.ch : 以上、放射性セシウム、プルトニウム、ヨウ素などの影響を見てきましたが、がんは増えるのでしょうか。
ヴァルター : がんにかかるケースは増えるだろう。ただ、現在の工業国では死因の25%はがんであり、また40%の人ががんに一度はかかるが、回復して最終的にはほかの原因で亡くなると言われている。こうした中で、フクシマの事故は全体の25%のがんでの死亡率に、わずかなパーセントを加えるということだ。
タバコや化学薬品などの害ですでにがんになるリスクが高くなっているところに、さらに放射線でのリスクが加算されるイメージだ。
ただし、フクシマの原発収束に働いている作業員のがんリスクは別物だ。チェルノブイリでもそうだったが、彼らのリスクは極めて高い。
[被曝による遺伝的影響]
swissinfo.ch : 最後に、放射線による遺伝子の突然変異、それも低線量被曝の遺伝子突然変異について説明してください。
ヴァルター : チェルノブイリの事故から10年後の1996年にロシアのドゥブロバ医師がネイチャー(1996Nature ;380:683-6)に報告した例によると、チェルノブイリでセシウムなどに汚染された地域の人に遺伝子突然変異が多く見られた。
また、イスラエルのヴァインベルク医師の調査(Proc Biol Sci 2001;268 (1471) :1001-5)によれば、チェルノブイリの事故収束に働いた男性の2人の子どものうち、事故以前に生まれた子どもには遺伝子突然変異がまったくなかった。
しかし、事故後イスラエルに移住して生まれた子どもにはある数の遺伝子突然変異が見られた。
放射能被曝によって父親の優先遺伝子が損傷されると子どもに病気が現れる。しかし、もし父親の劣性遺伝子が突然変異を起こした場合、子どもに受け継がれても、劣性遺伝子なので表面的には何の異常も起きない。これが、このイスラエルで生まれた子どもの場合だ。
しかし、もし遠い将来この子の子孫が偶然、同じ突然変異の劣性遺伝子を持った人と結婚し、劣性遺伝子同士が組み合わさるとさまざまな病気などが発現する可能性が考えられる。
ただ、何が発現するかは全く分かっていない上、こうしたことがチェルノブイリやフクシマで起こる可能性があるものの、さまざまな要因が絡むため約10世代は先の話だ。
ところで、ドゥブロバ医師などの方法で長崎と広島の被爆者の遺伝子を調べたところ、突然変異はほとんどなかった。原爆は瞬間的なインパクトを与えたが、長期の低線量被曝を起こさなかったということなのだろう。
従って、私には、低線量被曝が遠い将来の世代に与える遺伝的な影響が大きな問題だ。これは人類にとっての倫理的問題でもある。
宗教家で科学者の友人がイメージとして、こう語った。かつて、宇宙からの放射線量が徐々に減少したとき地球上に人類が誕生した。しばらくの年月人類は放射線を生産せずに生活した。ところが今、核実験や原発事故などで、自らの手で地球上に放射線量を増やし地球を住みにくい場所に変えようとしていると 。
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