2021.05.03 「あなたは殺人者と一緒」人格否定、朝まで説教…ヤバすぎるモラハラ夫の言動一部始終 【前編】

 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/82690



  突然の豹変、朝まで説教、人格否定...。



 「夫といるとどうしてこんなに苦しいんだろう...」



 言葉の暴力や態度による嫌がらせなど、精神的な暴力のことを「モラル・ハラスメント」という。なかでも家庭内モラハラは顕在化が難しく、看過できない問題となっている。漫画家の榎本まみさんは、そうしたモラハラ夫から逃げ出すことに成功した妻たちと専門家に徹底取材を行い、漫画『モラニゲ モラハラ夫から逃げた妻たち』にてモラハラ被害者の悲痛の声を取り上げている。



 「モラル・ハラスメント」はまず自覚すること、と話す榎本さん。当たり前のように受けてきたハラスメントに、被害者たちはどのようにして気づき、どのように逃げ出したのだろうか――。



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 「お前は馬鹿だな、本当にダメだな」

 私がモラル・ハラスメントという言葉を知ったのは数年前のことでした。



 その言葉を知った直後に、ふと立ち寄ったスーパーで、買い物をしている高齢のご夫婦がいました。男性はずっと奥さんに向かって「お前は馬鹿だな、本当にダメだな」と言い続けていました。奥さんは無表情のまま、黙って横に立っていました。



 そしてその帰り道、また奥さんと思われる女性に向かって「とろいんだよ、いい加減にしろ!」と怒鳴りつけている男性を見ました。女性は俯いて、じっと地面を見ていました。



 その時「あ、そうか。これがモラル・ハラスメントなんだ」と頭を殴られたようでした。

 私には今までその風景が見えていなかった。もしくは少し嫌な気持ちになるけれど、ありふれた出来事だと思って生きてきました。

 けれどモラル・ハラスメントという言葉を知ってから、これは当たり前のことではない。不当で、許しがたい行為であり、苦しんで生きている人たちがきっとたくさんいるのだと、胸を突かれたような気持になったのです。



 モラル・ハラスメントに遭っている被害者の心理は複雑です。長年「お前が悪い」と言われ続け、自尊心を傷つけられ、一種の洗脳のような状態になっています。周囲が指摘しても「私が悪い、彼は私を教育してくれている」と言って拒絶したり、そうしていないと夫の機嫌が悪くなるのでさも夫に愛情のあるように振る舞っていたりします。



話し合って解決できる問題じゃない



 そしてモラル・ハラスメントは未だに「夫婦喧嘩の延長」「二人で話し合えば解決できること」だと言う人も多く、やっと勇気を出して相談した被害者が「男はそんなもの。子どもだと思って手のひらで転がす位がいい」「彼は愛情があるからそんな仕打ちをする」といったアドバイスを受けてさらに孤独に追い込まれることもあります。

 逃げられない。そしてその辛さすら認めてもらえない。それは想像を絶する苦しみです。



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 傍から見ると夫の言動が異常だと分かるのだが… 『モラニゲ』より

そんな苦しさに沈んでいる人が多くいます。自分の置かれている状況が「モラル・ハラスメント」だと気づいていない人もいます。



 言葉を知ることで可視化される世界がある。であればこの言葉をもっと多くの人に正しく知ってほしいと思っています。



人として価値がないと言われ続けて



 榎本さんは、著書にてモラハラ被害にあった女性9名の実例を記録している。本記事では、そのうちの一つ、モエさんのケースを紹介する。

 「何が何だかわからないけどずっと苦しい」――人として価値がないと言われ続けて



 振り返ってみれば、結婚前から人前で「こいつはバカ」と言われたり、束縛がひどかったりと、モラハラの兆候があったというモエさん。しかしそれがモラハラだと長い間気が付かなったと言う。結婚後、6年ものあいだ、夫はモエさんに「人として価値がない」と言い続け、最初は反論していたモエさんも、だんだん怒りや考える力がなくなっていった。



 気に入らないことがあると説教が始まり、朝まで続くことも。そうすると「俺がこのまま一睡もしないで車で会社に行って途中で人を轢いたら、あなたは殺人者だね」「あなたは人を殺していないだけでやっていることは一緒だからね」と言い募り、モエさんを追い詰めていった――。



 モエさんが自覚したのは、友人の「それは旦那さんがおかしいんじゃない?」という一言だった。役所に相談に行ったところ、モラハラの本を勧められ、読んでいるうちに自分がされていることってこれかも? と思い始めたそうだ。



 しかし、モエさんが夫から逃れるには、そこから2年くらいかかったのだと言う。いったい何があったのだろうか――。



2021.05.03夜行バスでモラハラ夫から逃げ出した妻に届いた、恐ろしすぎる「メール」の中身



  言葉の暴力や態度による嫌がらせなど、精神的な暴力のことを「モラル・ハラスメント」という。

 なかでも家庭内モラハラは顕在化が難しく、看過できない問題となっている。漫画家の榎本まみさんは、そうしたモラハラ夫から逃げ出すことに成功した妻たちと専門家に徹底取材を行い、漫画『モラニゲ モラハラ夫から逃げた妻たち』にてモラハラ被害者の悲痛の声を取り上げている。



 記事前編では、6年ものあいだ、モラハラ夫に「人として価値がない」と言われ続けたモエさんのケースを紹介した。彼女は、自分が受けているのが「モラル・ハラスメント」だと自覚してから、実際に夫から逃れるまでに2年の月日を要している。いったい何があったのだろうか――。



 最後まで迷っていた



 モエさんの夫は会社員で日中は家にいない。ライターを生業とするモエさんは、その間は一人で過ごせるので我慢し続けていた。けれども死にたいという気持ちはどんどん強くなる。次第に身体も動かなくなって、自分でお金も稼げなくなってしまった。

 そんなとき、夫が出会い系サイトで女性と連絡を取っている記録を発見。この人とやっていくのは無理だ逃げようと決意する。



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 『モラニゲ』より



 それからは逃げる日を決めて少しずつ荷物を実家に送ることに。前に耐え切れず家出したときに、夫に荷物は全て捨てると言われていたのだ。最後のほうはほとんど荷物がなくなり、夫に「なんか部屋すっきりしてない?」と聞かれても、最近片づけにハマってると言ってごまかした。



決行の日、でも…

いよいよ逃げ出す日が迫っていた。しかしモエさんは、直前まで逃げようかやめようか決められなかったと言う。貯金も尽きかけていた。けれどそのとき友人が仕事を依頼してくれて突発的にまとまったお金が手元に入ったのだ。



「これがあれば逃げられる」



それから夜行バスのチケットを予約して夫には黙って家を出た。しかしいざバスのロータリーまで行ったところで、夫からメールが届いた――。



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「今どこですか?」

「実はカギをなくして家に入れなくなってしまっている」



 そのメールを見てモエさんは「早く帰らなきゃ」とパニックを起こしてしまった。でもそこで一応近隣に住む友人に電話をした。

 夫が家に入れないみたいだから今日は逃げるのをやめようか、と。すると友人は「落ち着いて あなたのマンションの部屋 電気がついているわよ」と教えてくれたのだ。



 鍵をなくしたというのは嘘だった。それを聞いたとき、モエさんは心底ゾッとしたという。

 それからモエさんは夫とは一切会わず、離婚調停を始めた。35歳で結婚、41歳のときに逃げ出し、結局6年を費やすこととなったのだった――。

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 引用以上



「夫婦」は他人であるといわれるが、それぞれ育った風土のなかで異なる価値観を作り出して成人している。ひとたび「心の甲羅」に閉じこもる頑なな習性を身につけた人たちにとって、融和し、妥協を求められる共同生活は心の負荷が大きすぎる。



 「引くことを知らない」で「相手を踏み倒す」ことしかできない人は、古よりの封建的価値観を洗脳され、引き継いだ人のなかに、たくさんいる。

 戦前の男社会では、女性の人権は奴隷のように踏み潰されるのが普通だった。

 https://bushoojapan.com/jphistory/kingendai/2021/04/13/17452

 「民主主義」を標榜する戦後社会のなかですら、女性は人格を尊重されない男のための奴隷にすぎないと思い込んでいる人が普通にいる。

 

 日本社会の「保守」と呼ばれる人たちは、そんな価値観の土台の上に生きてきた。現代において保守を代表する自民党が政権を維持しているということは、女性蔑視の価値観が支持されていると言い換えることさえできる。



 だが、そんな価値観を信奉する人たちとの共同生活は、いわば「隷属」に他ならないのだ。自分独自の価値観は、死ぬまで周囲の誰も認めてくれない。奴隷としての人生しか残らない。

 それは解放された人間の姿ではない。



 男系氏族社会=男の権力社会だった日本では、少なくとも、男性権力が成立した奈良時代〜現代に至るまで、女性は男のための子供を産む道具にすぎなかった。

 女性が独自の価値観を持てるようになったのは、私の記憶では、おそらく1990年代以降のように思う。たぶん、敗戦によって、アメリカナイズされた生活のなかで、アメリカの価値観が持ち込まれたせいだろう。



 女性軽視・蔑視の価値観は孔子が作り出した封建秩序である。孔子は、「序列=身分」という秩序を社会の根底に置こうとした。

 人には生まれながらに持った「徳」という虚構があるという理屈で、人間には生まれながらの序列があるというわけだ。

 そんな儒教観念をすり込まれた人たちによって、幼い子供まで「さま」付けするような馬鹿げた身分制度である天皇制が支持されている。



 人間社会の根底には、「女よりも男の序列が高い、だから女は男のための奴隷(子を産むための道具)にすぎない」という虚構の秩序を強要しようとした。

 それが2500年間、東アジアに連綿と伝えられ、儒教本国の中国、韓国、日本、ベトナムなどで女性軽視・蔑視の価値観が伝えられてきた。



 冒頭に描かれた、妻に対するモラハラを行って逃げられた男たちもまた、そんな儒教的価値観を幼いうちから洗脳され、女性蔑視の甲羅に閉じこもって、絶対にその誤りを理解できない人たちなのだ。

 冒頭の文内にあるように、「話し合って解決できる」問題ではない。

 心の根底にすり込まれた、「男優位」の封建的価値観から来ている問題であって、もしも男性側が問題の本質に気づくことができれば、男尊女卑の思想を捨てることになるのだが、そんなことは、ほぼ絶対に起きない。



 もしも、問題解決の方法があるとすれば、それは男女20名程度の集団結婚という共同体生活のなかで、男性側の横暴で傲慢な姿勢、思想が物理的に許されないような生活空間を作るしかない。

 現在の男女関係の傾向(離婚率)を見る限り、日本では必然的に一夫一婦制が崩壊してゆくしかないだろう。



 高知県の離婚率は、2021年現在で、約50%に近づいている。

 https://master-jack.net/2021/03/17/%E9%AB%98%E7%9F%A5%E7%9C%8C%E3%81%AE%E9%9B%A2%E5%A9%9A%E7%8E%87%E3%81%8C%E5%85%A8%E5%9B%BD%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B3%E3%81%A4%E3%81%AE%E7%90%86%E7%94%B1%E3%81%A8%E3%81%AF/



 女性は、生涯で二人の男性と結婚するのだが、かなり多くが、最終的に一人暮らしになるともいわれる。

 この条件では、「運命の赤い糸」なんて幻想は通用しない。街を歩けば、すべての人が赤い糸を引きずっているからだ。

 結局、やがて集団結婚=共同体への道が拓かれてゆくことだろう。



 我々は、何よりも儒教から解放され、すべての人を平等に扱う、人間関係の価値観を獲得するしかない。

 やがて、男系社会の封建的価値観である天皇制とともに、女性蔑視・軽視のモラルハラスメントも、この世から消え去ってゆくにちがいない。