“恐怖の生体実験”に、いつまでかけられるのか?――八重洲ブックセンター本店での講演(1)広瀬隆
https://diamond.jp/articles/-/78686?page=4
わずか22分でメルトダウンが起こる恐怖の事実!
その蒸気発生器の部分を拡大すると、左の図のように20メートル以上の高さ(つまり2メートルの巨人が10人分)もある装置で、内部には、半分あたりから下のほうに、細いパイプ(U字管を逆さにしたもの)がぎっしりつまっているのが見える。

そのうち一本の細いパイプをさらに拡大すると、右側の図のようになる。原子炉からきた高温の熱水(赤色の部分)がパイプの中を流れ、その外側に薄水色で示した水が流れている。そして、外側の水が熱を受けて沸騰する。
もし大地震が来て、この細管が破断すれば、どうなるか。
勿論、原子炉の熱水がどっと噴出する。原子炉の運転条件は、フクシマ・タイプの沸騰水型では280〜290℃で、70気圧だが、加圧水型では290〜330℃と高温で、しかも圧力が、2倍以上の150気圧もある。
このように沸騰水型に比べて、加圧水型は温度も圧力も高い状態で運転されている。配管破損による事故では、冷却水の噴出は、高温・高圧の分だけ激しくなり、メルトダウンに至る速度は加圧水型で格段に早くなる。
フクシマ原発事故では、ほぼ4時間後にメルトダウンが始まったと見られているが、ダイヤモンド書籍オンラインでの田中三彦さんとの対談で語られたように、「加圧水型原発では、わずか22分でメルトダウンが起こる」という恐怖の事実は、それが原因なのである。まさに一瞬で、大事故に突入するのだ。
のメルトダウンを引き起こす、この蒸気発生器の細管破断事故が、実際に日本で起こっているのだ。
1991年2月9日に、関西電力の福井県・美浜原発2号機で蒸気発生器のギロチン破断事故が起こったのだ。
あの時には、沸騰してはならない原子炉の水が沸騰し始め、原子炉の上の部分の水が失われ始めた。しかし、フクシマ原発事故と同じように、メルトダウンに突入しようとする寸前で、かろうじてそれを食い止めた。
この大事故で明らかになったのは、蒸気発生器の細管は、絶えず破損している、という事実であった。その破損パイプを、定期検査の時に見つけては、栓をして、文字通り、綱渡りで使っていたのだ。
現在も、そうなのである!
なぜなら、今回、再稼働にとりかかった川内原発1号機では、さきほどの図で、赤い部分のパイプが、直径21ミリ、厚さ1.3ミリしかない紙のように薄いインコネル(ニッケル・クロム・鉄の合金)製の金属管である。
なぜ、そんなに薄い金属を使うのか?
なぜ、厚い頑丈なパイプにしないのか?
それは、熱交換機だから、薄くないと、相手側の水に熱を伝えられないからである。1台の蒸気発生器には、その頼りないパイプがほぼ3400本も走っている。川内原発には、蒸気発生器が3台あるので、合計1万1000本を超えるのだから、絶えず破損が起こっているのだ。
1本でも破断すれば、連鎖的に破断し、炉心から水が失われ、たちまち大事故を引き起こす。
なぜかって?
いいですか、150気圧の水が噴出すると、それは、水というより、鉄砲玉のような破壊力を持ったものだからだ。
相手側の水との差圧を考えても、おそらく100気圧ぐらいの力である。
その爆発的な噴出力を持った鉄砲玉が飛んできて、隣の細管が破損しないだろうか? それが、イギリスで起こったのである。
ソ連でチェルノブイリ原発事故が起こった翌年、1987年2月、イギリスの高速増殖炉ドーンレイPFRの蒸気発生器細管のギロチン破断事故が起こった。
その時、この図のように、10秒にも満たない短時間に、40本の細管がダダダダッと連鎖的に破断し、70本が損傷した。
しかもこの重大事故は、しばらく隠されていたのだ。
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引用以上
(アマ註)1991年2月9日に起きたギロチン破断事故
2号機の蒸気発生器の伝熱管1本が破断し、原子炉が自動停止、緊急炉心冷却装置 (ECCS) が作動する事故が発生した。この事故は日本の原子力発電所において初めてECCSが実際に作動したものである。
事故の原因は、伝熱管の振動を抑制する金具が設計通りに挿入されておらず、そのため伝熱管に異常な振動が発生し、高サイクル疲労(金属疲労)により破断に至ったものと判明した。この金具は点検対象とされていなかったことも一因とされる。
この事故により微量の放射性物質が外部に漏れたが、周辺環境への影響はなかったと発表されている。また、美浜沖の海水から、通常なら数Bq/Lより少ないトリチウムが、2月10日に470Bq/L、2月18日にも490Bq/L検出された。
国際原子力事象評価尺度(INES)はレベル2と判定された。
(アマ註=関西電力は、事故を小さく見せかけるために、さまざまの工作を行ったといわれ、実際にはレベル4以上という意見も多い)
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私は1980年代だが、プラント非破壊検査に従事していたことがある。主には、金属構造体の溶接欠陥や腐食を調べる仕事だったが、「金属というものが、どのような性質をもっているのか?」について、相当に詳しい知見を実践的に得ることができた。
もう失効してしまったものが多いが、私は当時、非破壊検査に関連した20種類近いライセンスを取得していた。
放射線取扱主任者も、このとき取得している。他にも核燃や原子炉主任技師も目指したが、主に時間的余裕から取得することができなかった。
当時の非破壊検査対象となる金属構造物のなかで、「最悪の結果を招く可能性が強い」ため、とりわけ警戒した事故が「配管破断」であった。
これは、原子炉構造物の事故としては最悪のものだ。関西電力の若狭原子炉群の大半が加圧式電発(PWR)で、美浜原発も同じだった。
PWRの場合は、炉心の運用圧力が160気圧という、ちょっとした爆弾なみの危険な圧力で、超高圧にする理由は、水を300度以上まで沸騰させないで二次系に熱を渡すためである。ちなみに、この圧力は銃器弾丸の発射圧力にほぼ等しい。
300度の一次冷却水を熱交換器に送り、二次系冷却水を熱して発電タービンを回す圧力を得るわけだ。
もし冷却水が300度を超えてしまい、沸騰すれば気泡によって熱交換が不可能になるので、一次系の沸騰はメルトダウンを招く超危険なインシデントである。
熱交換器内部の配管は、広瀬隆の説明どおり、わずか1.3ミリの肉厚しかない。強度のある10ミリ近いパイプでは、熱交換効率が極端に劣り、実用性がない。
薄いパイプは、繰り返し熱応力によりピンホールが開きやすく、繰り返し膨張収縮応力による破壊が頻繁に発生する。もし穴が開けば、弾丸なみのスピードで一次系熱水が二次系に飛び出す。
だから、壊れた配管にメクラ栓をつけただけで運用するのが普通だが、この破損が増えると、熱交換効率劣化から沸騰し、メルトダウンを起こす危険性が増してくる。
一次冷却水には、核燃料被覆管のピンホールなどから相当量の放射能汚染が起きる。熱交換器の破損が起きるたびに、これが破損した熱交換器によって二次系冷却水にも放射能が移行するので、以下の事故で、二次系の放射能汚染がなかったというのは、ひどいウソだ。
建屋作業員のほとんどが被曝させられたはずだ。
2004年8月9日、通常運転中の3号機二次冷却系の復水系配管が第4低圧給水加熱器と脱気器との途中で突然破裂し、高温高圧の二次系冷却水が大量に漏れ出して高温の蒸気となってタービン建屋にいた作業員を襲った。
最終的には死亡5名・重軽傷6名となった。
この事故も1991年のギロチン破断事故に酷似している。
原因は、炭素鋼製の直径55cm、肉厚10mmの配管の内面が腐食などによって減肉し、事故当時は肉厚1.4mmにまで減肉していた。
150℃10気圧という運転圧力と流体振動に耐えられずにこの部分の上側を起点に大きく破裂したと考えられる。
本来は肉厚4.7mmまで減肉してしまう前に予防措置をとるという内部規則があり、1989年には配管を検査し1991年には取り替えることになっていたにもかかわらず、関西電力と検査会社(三菱重工業と日本アーム)の見落しで点検台帳に登録されておらず、この個所は稼動以来の27年間一度も点検さえ行われていなかった。
この事故は、「火薬庫内で焚き火をしていた」に等しいほど、絶望的な杜撰さ、レベルの低さであり、戦後、日本プラント管理史上でも、もっとも馬鹿げた愚かしくも残酷な事故である。
これが関西電力の隠された、ありのままの姿といってもいい。他の核プラントでも類似のミスが極めて多いからだ。
私は、美浜原発の度重なる深刻な(場合よっては日本国終了の)事故歴史をみて、これは福島第一原発とほぼ同じレベルと理解した。
30年前、日本で最初に巨大放射能事故を起こすのは、このどちらかと認識した。
そして、フクイチが巨大事故を起こした。このとき、私は「次は美浜」と考えるしかなかった。
美浜原発で起きたギロチン破断事故について、さらに、原子力情報室の解説を掲載する。(長いので一部抜粋引用)
https://cnic.jp/44
美浜3号で配管破断・死傷事故
8月9日、11人の下請け労働者が死傷する大事故が、関西電力の美浜3号炉(加圧水型炉・82.6万キロワット・1976年12月1日運転開始)でおきた。
2次系の配管が破裂し、中をながれていた9.5気圧・140度の熱水が、爆発でもするかのように、蒸気となって一気にタービン建屋に噴き出したのだ。
噴き出した蒸気は、タービン建屋内で作業していた下請け労働者を直撃、5人が死亡・7人が全身やけどなどの重傷を負った(8月25日現在)。
関西電力の記者発表資料などをもとに、事故の経過を簡単に追っておこう。
配管が破裂したのは、8月9日の午後3時22分ごろである。この時刻にタービン建屋の2階の天井付近に設置された火災報知器が作動した。運転員がタービン建屋に湯気が充満しているのを確認し、3時26分にタービン発電機の緊急停止操作を開始した。
その2分後の3時28分に給水ブースターポンプ、ついで主給水ポンプが自動停止したため、直後に、蒸気発生器A(3つあるうちの1つ)で給水流量と蒸気流量のミスマッチがおき、原子炉が緊急自動停止した。
タービン建屋内で作業員が倒れているのを最初に発見したのがこれより少し前の午後3時27分ごろである。
原子炉停止後は「タービン動補助給水ポンプ」が起動して蒸気発生器の冷却をつづけた。
美浜3号の破断箇所は2次系炭素鋼配管の管理指針による検査リストから漏れており、関西電力と検査下請会社(三菱重工・日本アーム)のあいだでそれが放置されていた。ここではリスト漏れの経緯をたどるほか、指針自体の問題点、そして事故後の対策について考える。
1970年に運転開始した美浜1号(34万kW)は大阪万博に電気を送ったことで知られるが、73年に燃料破損事故を起こし、関電と三菱重工は幹部ぐるみで隠蔽した。
美浜2号(50万kW)は72年に運転開始し、91年に蒸気発生器細管ギロチン破断を起こしたが、ギロチン破断は起こらないと断言していたのが関電であった。
そして美浜1号の燃料破損が内部告発によって明るみに出た76年に運転を開始したのが、美浜3号であった。1号〜3号いずれも三菱重工製である。
美浜3号の2次系配管のうち脱気器の前にある復水管オリフィス下流部は、76年の運転開始以来28年間まったく検査されないまま、減肉をもたらしやすい140度の熱水にさらされつづけ、10mmの設計が1mm前後まで薄くなっていた。
事故箇所は定期検査の直接の対象ではなく事業者の自主検査(02年の法改正後は定期事業者検査)の対象であったが、加圧水型炉(PWR)を運転する各電力会社は90年から、2次系炭素鋼配管について共通の「原子力設備2次系配管肉厚の管理指針(PWR)」を策定し運用していた。
(アマ註=「自主検査対象」というのは、「何もしないでいい」と同義語である。一次系と異なり、直接メルトダウンの原因にならないという理由で「自主検査」に区分されたが、関西電力は、「経費削減」を最大課題とし、「手を抜ける場所は全部手を抜け!」という方針を下請けに伝えていた。「努力目標」に格下げされた検査対象が、厳密に検査されることなどありえない。)
美浜3号の事故箇所は、「指針」によれば減肉傾向のないとされる「その他」の部位でなく「主要点検系統」として、計画的な超音波測定による肉厚管理の対象のはずであった。
ところが三菱重工が管理指針に従って検査台帳を見直した際にA,Bともリストから漏れてしまい、96年の日本アームへの引継ぎ後もそのままの状態であった。
関西電力は、非常に深刻な収賄事件を起こしているが、検察や警察、裁判所の天下り先としてツーカーの関係を構築していたため、不起訴になった。
関西電力旧経営陣9人、金品受領の特別背任など不起訴 2021/11/26
https://news.yahoo.co.jp/articles/bc60875d4b817347ac18db1f24d041888567a6a5
だが、この収賄事件の本質は、極めて深刻なものであることを郷原信郎が指摘している。
関電金品受領問題は「戦後最大の経済犯罪」〜原発事業をめぐる「闇」の解明が不可欠 2020/3/19
https://news.yahoo.co.jp/byline/goharanobuo/20200319-00168613
高浜町の元助役の森山栄治氏が関係する企業に対して、関西電力の役員や社員が、工事を発注する前に工事の内容や発注予定額を伝えたうえで、約束に沿って競争によらない特定発注を行うなど特別な配慮をして便宜を図っていたこと、森山氏が金品を提供したのは、その見返りとして、要求したとおりに自分の関係する企業に関西電力から工事を発注させて経済的利益を得るという構造・仕組みを維持することが主たる目的だったことが明らかにされた。
文句のない「受託収賄事件」であり、株主特別訴訟を提起されても、損害賠償を免れることができない。これが不起訴になった。
自民党による腐乱した政治的司法介入がなければありえない事件だ。ちょうど、伊藤詩織強姦事件の安倍友=山口敬之を中村格(警視総監)が強引に揉み潰した手口と同じくらいの犯罪性だ。
どろどろに腐り落ちた死体=関西電力 2020年03月20日
http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-1066.html
私は、ギロチン破断について、流体振動や繰り返し応力破壊の原理から、詳しく説明したかったが、ネット上で調べようとしても、かつて存在した、この事故の詳細な報告が、ほとんど削除されていることを知り唖然とした。
それは、存在しなかったかのように隠されるようになったのだ。
「失敗百選」サイトでも、美浜ギロチン破断事故は、なぜか消えてしまっていた。あったはずの原発事故の記述が、ほとんど消されてしまっていることに驚かされた。
http://www.sydrose.com/case100/index.html
真実を捏造歪曲するというのは、安倍晋三政権が登場した10年前から顕著になった傾向だが、統計不正問題で、そうした卑劣な姿勢が暴露されてからも、「権力に都合の悪い記事を削除する」という傾向は、ますます加速しているように思える。
思えば、それは東日本震災、福島第一原発事故の真実を捏造歪曲しはじめてから、日本社会の公正さが、根底から自民党によって破壊されているのだ。
私のように、反原発姿勢からブログを書いてきた人間に対しては、凄まじい人格誹謗中傷、嫌がらせ攻撃が続いてきた。
その発信元を調べてゆくと、自民党青年部(事実上統一教会)に行き着くのだ。

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