専門家が危惧する燃料デブリ内の有毒な化学物質〜いわきで講演会 民の声新聞
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フクイチ放射能汚染水に含まれるのはトリチウムだけでなく、基準値を数百倍も超えたストロンチウム90などが含まれていることは分かっていたが、化学物質に関しては、情報がなかった。
今回、初めて恐ろしい化学毒性を持った物質が含まれていることを明らかにした研究者がいるので紹介したい。
以下引用
2022/01/24 日本原子力研究所(現・日本原子力研究開発機構)の元主任研究員で工学博士の天野光さんが22日午後、福島県いわき市内で講演し、「燃料デブリには放射性物質はもちろん、水銀やヒ素など様々な種類の有毒物質も含まれている。
それらがどれだけ汚染水に溶け出すのか、多核種除去設備(ALPS)でどの程度取り除けるのか全く分からない」として、国や東電による情報開示の必要性を強調。
そのうえで改めて海洋放出に反対の姿勢を示した。福島県の市民団体「これ以上海を汚すな!市民会議」(織田千代、佐藤和良共同代表)の主催。
【水銀やヒ素、カドミウム、テルル…】
「汚染水を海に流してはいけないというのが私の意見です。海や海の生物が様々な人工放射能や化学毒物で汚染する可能性があるからです」
福島第一原発敷地内にたまり続ける汚染水(国や東電は「ALPS処理水」と呼ぶ)の海洋放出を巡っては、ALPSで取り除けないトリチウムなど、放射性物質の危険性が指摘されることが多い。天野さんももちろん放射性物質について言及しつつ、有毒な化学物質の存在についても指摘した。
「燃料デブリには水銀やヒ素、カドミウム、テルル、鉛などが含まれています。汚染水にどのような化学毒がどの程度含まれているかについては、現時点では分かりません。燃料デブリからどの程度溶け出すのか、ALPSでどの程度取り除けるのかも不明です。東電は汚染水中の重金属などの詳細な分析結果を公表するべきです」
この指摘には、これまで汚染水の海洋放出反対の声をあげてきた人々も驚きの声をあげた。海を汚す原因に放射性物質だけでなく有毒な化学物質も含まれるとなれば、ますます海に流す事など認めることはできない。
天野さんは「汚染水のなかに有毒物質が全部含まれているわけではありません。接触した燃料デブリのなかに含まれているということ」と前置きしたうえで、燃料デブリに含まれている化学物質の危険性について語った。
「例えばテルルは青酸カリに匹敵する毒物です。0・25ミリグラムの摂取で中毒症状を発症します。『イタイイタイ病』の原因物質であるカドミウムの毒性も強く、いったん体内に取り込まれると、その量が半分になるまでに数十年かかります」
だからこそ、国や東電には有毒な化学物質に関する詳細なデータを開示する必要があるというのだ。
講演で、燃料デブリに含まれる有毒な化学物質の危険性について指摘した天野光さん。汚染水中にどの程度溶け出すのか、ALPSでどの程度取り除けるか不明のため「国や東電は汚染水中の重金属などの詳細な分析結果を公表するべき」と語った=いわき産業創造館
【「放射性炭素も取り除けぬ」】
もちろん、放射性物質に関する問題点も多い。
「トリチウムの本当にリスクはまだ分かっていません。予防原則に従って放出してはいけないと思います」
「低レベル放射線のリスクが判明してきています。これ以下なら安全、という放射線レベルはありません。環境放射線にもそれなりのリスクがあります」
「告示濃度以下であっても、公表されている62核種が福島の海に流されることになります。ひとたび汚されてしまった海は、なかなか元には戻りません」
東電は「ALPSで二次処理する」として2020年9月に試験を始めているが、「トリチウムや放射性炭素は全く取り除けません。放射性ヨウ素やストロンチウム、放射性セシウムなども完全には取り除けません」と天野さん。
ALPSは万能ではないうえ、吸着剤を交換する際には2日から14日間は運転を停止しなければいけないため、稼働率を上げるために東電は「吸着剤交換による処理量の低下の影響が大きい場合は、告示濃度限度を大きく超えない範囲において交換時期を調整」という運用方針(「多核種除去設備等処理水の性状について」)を2018年10月に公表している。
天野さんは「要するに『除去しきれなくても海に流す』ということです」と批判した。
東電が昨年11月に公表した「多核種除去設備等処理水(ALPS処理水)の海洋放出に係る放射線影響評価報告書」についても「海水ですぐに希釈されると仮定されているが、そもそも放出される水は密度や温度、塩分の違いにより容易に希釈・拡散されません。
そもそも放出されるのは64核種だけではありません。30年以上放出し続けるはすですが、放出期間の記述もありません。沖合の放射能濃度も過小評価しています」と、天野さんは複数の問題点を指摘した。
汚染水の海洋放出問題が抱えるリスクは放射性物質だけに限らない。水銀やヒ素、カドミウム、テルル、鉛なども重大なリスク要因となり得る(講演会の配布資料より)
【「豊かな海が汚染される」】
質疑応答も含めて90分間にわたって講演した天野さん。改めて「海に流してはいけない」と強調した。
講演会を主催した「これ以上海を汚すな!市民会議」の共同代表・織田千代さんは講演の冒頭、「国は『海に流そうとしているのは処理水であり、市民が汚染水という言葉で周りの人に宣伝するのはやめて欲しい』と私たちに釘を刺したが、事故のあった原発から流される水は、トリチウムなど処理しきれない放射性物質を含む水。
今後も汚染水と呼びます。事故のあった原発から何が流されようとしているのか。流そうとしている水にはどんな物質が含まれ、どんな影響が予想されるのか。
海洋放出の問題点をより深く理解しながら反対の声をあげ続けたいと思います」とあいさつした。
やはり共同代表の佐藤和良さん(いわき市議)は「燃料デブリには、放射性物質のほかに化学物質が存在するということでした。
130万トン近いタンク貯蔵水の中身はどうなっているのか。東電は自分たちに都合悪い情報は公表しないという体質が抜け切れていないが、公害(原発事故)の原因者(東電)が情報を開示して、環境にも人体にも無害であると証明しなければなりません」と、改めて情報開示を求めた。
天野さんは東北大学を卒業後、日本原子力研究所(現・日本原子力研究開発機構)の室長や主任研究員などを歴任。環境中の放射性核種の測定や動きに関する研究を行った。
2014年からはNPO法人「いわき放射能市民測定室たらちね」の顧問に就任。また茨城県常陸太田市で暮らしながら、茨城県内の放射能汚染調査も続けている。
昨年11月にいわき市小名浜で行われた海洋放出反対集会にも参加し、「海に放出される放射能が基準値以下であったとしても海産物は濃縮します。生物濃縮と言います。たとえ基準値以下の放出であっても、福島の豊かな海が放射能で汚染されることは容易に予想できます」などとスピーチした。
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引用以上
「処理水」こと福島第一原発「放射能汚染水」に重大な化学毒物汚染が「デブリとの接触」によって生成されていることは、これまで明らかになってこなかった。
私も、薄々想像はしていたが、具体的な情報について無知だった。とりわけ、もっとも大量に事故デブリに存在するテルルが青酸カリに匹敵する化学毒性を持っていることはショックだった。
テルルには123や128など半永久的アイソトープが存在していて、その量も少なくないので、放出すれば海洋汚染の深刻な化学毒性を示すかもしれない。
東電と国は、この汚染水を「処理水」といいくるめてきたが、実際にはALPSフィルターでも除去できない危険核種が大量に残置していることは、たびたび報道された。
朝日の記事によれば、「処理水」には、放出基準値の数万倍のストロンチウム90など危険核種が含まれているという。
いよいよ放射能海洋投棄 2021年04月10日
http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-1459.html
炭素14問題 2021年03月12日
http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-1430.html
福島第一原発 トリチウム放出計画について 2019年12月24日
http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-975.html
汚染水、浄化後も基準2万倍の放射性物質 福島第一原発
https://www.asahi.com/articles/ASL9X6HQ3L9XULBJ014.html
海洋放出汚染水のなかで、トリチウムだけが「目くらまし」のように取り上げられているが、実際には、ストロンチウム90や炭素14の方が被曝リスクとしては深刻である。
DNAを傷つける「炭素14」の問題
炭素14の半減期は5,730年。環境中に放出されれば、炭素14は気の遠くなるような年月の間、周囲に影響を及ぼし続ける。
炭素は、人体を含むあらゆる有機物にさまざまな形で組みこまれている。地球上で、水素に次いでもっとも多い物質でもある。我々が飲食から「炭水化物」として取り込めば、遺伝子の材料となって、それを傷つける恐れがある。
「炭素14は細胞構成成分(タンパク質、核酸)、特に細胞DNAに組み込まれるためその結果として、分子の切断を伴うDNA損傷が生じ、細胞が壊死したり、突然変異が誘発したりする可能性がある」
東電自らが2014年に出した資料で、ALPS処理前と処理後の水の中の炭素14濃度は検出限界以下と報告していた。しかし、データに疑問点があることから、東電が検討した結果、炭素14の存在が浮かび上がった。
万が一、炭素14が海洋放出されれば、その影響は数万年にも及ぶ。
テルルの毒性
ウィキ引用=テルル単体及びその化合物には毒性があることが知られている。
単体に触れることは稀であるが、多くの化合物を生成して環境中に露出、体内に入りやすくなる。例えば二酸化テルルは難水溶性であるものの強酸や強アルカリには不安定である。
テルルは体内では代謝されてジメチルテルリドを生成し、呼気がニンニクに似た悪臭(テルル呼気)を帯びることが知られている。
さらに口渇、傾眠、食欲不振、悪心、発汗停止、頭痛、呼吸困難、指・顔・歯肉・顔に青黒い斑点が現れたり発疹を生じる皮膚炎、口に金属味を感じるなどの症状が知られている。
これらは主に鉱山労働者に多く見られた症状で暴露から遠ざけると改善している。反復暴露やラットなどを用いた長期間暴露試験では、臓器の異常や催奇性が報告されている。日本では特定標的臓器毒性(反復暴露)の区分2(中枢神経系、呼吸器)に分類している。
植物が産生するテルル代謝物の動物における体内動態および毒性影響評価
https://www.jstage.jst.go.jp/article/toxpt/43.1/0/43.1_P-195/_article/-char/ja/
このテルルが、炉心デブリには70トン以上含まれ、地下水と接触して溶け出し、海洋汚染の因子になっている。
これはALPSでは除去不能である。
そもそも、東電や国が主張する汚染水の危険性はトリチウムを主要争点にしているのだが、もしそうなら、トリチウムは廃棄タンカーなどに入れておけば100年もすれば放射能が消えるはずだ。その他の危険核種も、長期保存によって放射能が軽減される。
国や東電が焦って海洋放出したがる理由は、保管方針が決まれば東電の株価が下がり、経営陣の退職金が毀損するという理由にすぎないだろう。
フクイチ放射能汚染水を海洋放出することは、人類の未来に対する凶悪な犯罪である。

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