ヨーロッパが消える… : 大きな物質的パーフェクトストームが迫っている模様 InDeep 2022年9月1日

 https://indeep.jp/2023-perfect-storm/



英国とドイツには何もなくなっちゃうのでは

前回の記事「架空の世界に生きる : 欧州のエネルギー危機は回避される模様…」では、中国経由のロシア産天然ガスの購入により(元値より非常に高価になっていますが)、ヨーロッパの壊滅的な「エネルギー危機による崩壊」は避けられるのでないかというような可能性を書きました。



しかし、今日、「イギリスは大変なことになっている」ことを知りました。

さまざまな英国圏内のカフェなどを含む「小さな個人ショップ」への電気料金とガス料金の「請求書」の数々が載せられている記事を見たのです。

たとえば、以下はひとつのツイートにあった写真です。



英国アバディーンで小さな店を経営している方の投稿より



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ツイートには以下のように書かれていました。

> 今夜、仕事場に行ったときに「お店を閉店しなければならないかもしれない」と言われた。先週の電気料金は 10倍高くなり、今日はガス料金が 900ポンド (約 15万円)から 10,058.59 ポンド(約 161万円)になった。

この店は 1982年以来、家族経営の小さなビジネスをしている。



 「家族経営のショップの月のガス料金が 160万?」と、さすがに思いますが、アイルランドの報道メディアでは、アイルランドの小さなコーヒーショップへの 2ヵ月分の電気料金の請求が、

「日本円で約 140万円」

 だったことが報じられていまして、英国圏内の多くで起きていることのようです。



 このアイリッシュタイムズの記事によれば、紹介されているコーヒーショップの昨年の電気料金は、1年間で約 12,000ユーロ (約 170万円)だったのが、現在のような請求が続いていった場合、今年は 45,000ユーロ (約 620万円)になると計算されていて、「お店を継続できるかどうかわからない」と、女性オーナーは述べていました。



 それにしても、先ほどの「電気料金が 10倍」にしても、これはあまりにも極端なことではないかとは思いました。普通はこういうことが起きないように「料金の上限設定」があるものなのでは? と思ったからです。

 しかし、以下の時事通信の記事にある記述でわかりました。



(報道) 英の象徴パブ、閉店危機に エネルギー価格高騰で (時事 2022/08/31)

 https://www.jiji.com/jc/article?k=2022083100069



> 英BBCは、一般家庭と異なり、企業にはエネルギー価格の上限規制が設けられていないため、負担額はさらに膨らむ見通しだと報じた。(時事)

 個人ショップでも町の小さなカフェでも、企業は企業ですので、上限がないようなのですね。この記事にも、



> 英ビール・パブ協会はこのほど、ジョンソン首相宛ての書簡を発表し、「ある小さな町の店は前年から3万3000ポンド(約530万円)もエネルギーコストが増えた」と指摘。業界全体に「取り返しのつかない損害を引き起こしている」と強調した上で、「政府による迅速な介入がなければ、間違いなく膨大な数のパブがその扉を永久に閉じることになる」と訴えた。 (時事)



 しかも、英国では、今後の見通しとして、これは家庭用電気料金ですが、料金の上限が、現行の 1971ポンド (約 32万円)から・10月1日から 約 80%増加の 3549ポンド(約 57万円)に上昇することが決定していて、さらに、・来年 1月までに 5,439ポンド(約 87万円)に・来年春までに 8,594ポンド(約 140万円)になることが予測されています。以下の記事に翻訳しています。



(記事) 英国は、エネルギー価格の上限を 80% 引き上げることで、「数百万人に債務と死刑判決を下した」 (2022/08/27)

 https://nofia.net/?p=6810



 つまり、来年春までに、一般家庭でも、「電気料金が今の 4倍以上になる」ことを示しています。今でもすでに過去よりはるかに高いのにも関わらずです。

 ということは、企業の電気料金とガス料金の負担もさらに高騰していく可能性のほうが高いと見られるのですが、しかし、そもそも、一般家庭にしても、来年春までに予定されている、「電気料金が約 140万円」というのは、これが年間だとすれば、月に 10万を超えますから、普通の家庭では「電気そのものを使うことが難しくなる」可能性さえあります。



 イギリスのラウダーという場所にあるブラッスリー (庶民的なレストラン)の SNS には以下のように書かれていました。

(ブラッスリー「ファイアーブリック」の facebook より)



> 本日、レストランを閉店せざるを得なかったことは非常に悲しいことです。

> コロナでとても困難な数年間でしたが、ここ数ヶ月は生活危機によるビジネス損失、コストの大幅な増加、そして企業が請求している完全に馬鹿げた価格上限なしのエネルギー価格が要因にありました。経営を継続することはもはや可能ではなくなりました。

> 私たちは、過去 7年間私たちを支えていただいた素晴らしいお客様たち、サプライヤー、スタッフたちに深く感謝しています。 (Firebrick Brasserie)



 こういうお店がものすごいペースで増えていると見られますが、しかし、政府が小規模企業すべてを救済するのは難しそうです。

 たとえば、イギリスにはパブは 4万軒弱あるそうですが(最近 200軒が閉店して 4万軒を切ったそうです)、先ほどの時事通信の記事にあるように、



> 前年から約 530万円もエネルギーコストが増えた

というものを 4万軒分救済すれば、それだけで数千億になり、もちろん、パブだけではなく、英国にはさまざまなカフェや小規模・中規模のショップがあり、その件数はわからないですが、パブの何倍、何十倍となるかもしれません。それすべてを救済するとなるのは……というより、現在のエネルギー危機の影響を最も受けているのは「大手」とも思われます。



 電気にしてもガスにしても大量に使わなければ、少なくとも飲食の企業や食料生産施設は運営できないですので、大企業も含めて救済するとなると、「国家が立ち行かなくなる」と思われます。

 もう債務や借金はどの国でも限界にきているわけで、選択肢があまり考えられないような気もします。



 ドイツでも、電力価格が「昨年初めの 8倍」くらいになっていて、ドイツの家庭用電気料金の上限価格はわからないですが、以下に翻訳があります。

(記事) 熱波が発電を抑制している中、ドイツの電力価格は記録的な高値を記録 (2022/08/06)

 https://nofia.net/?p=6480



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 また、このエネルギーの高騰により、ヨーロッパにある「世界最大規模の肥料企業が次々と肥料生産を停止・縮小している」ということを最近の以下の記事で取りあげています。



[記事] 天然ガス価格高騰で次々と肥料の生産が停止。世界最大の英国肥料企業の子会社と、EUで二番目に大きなポーランドの肥料メーカーも操業を停止すると発表

 地球の記録 2022年8月28日

 https://earthreview.net/no-fertilizer-producers/



[記事] 世界最大の肥料メーカーのひとつであるノルウェーの企業が、ガス価格高騰によりアンモニア生産を大幅に削減すると発表

 地球の記録 2022年8月31日

 https://earthreview.net/european-fertilizer-will-soon-disappear/



 この状態が続くと、来年からのヨーロッパの農業生産が壊滅的になる可能性があります。少なくとも収穫量と作物の品質の大幅な低下はあると見られ、つまり、エネルギー高騰により「食料生産そのものがなくなってしまう」懸念さえあると。

 それ以上に、農業生産もまたエネルギーを多く使用しますから、「農家の経営がなり立たなくなる」(あるいはもうなりつつある)ということもあります。



 異常な高値の肥料と、異常な高値のエネルギー価格のもとでは、作物の価格もそれに合わせなければ農家はやっていられませんが、作物の価格を 5倍、10倍、20倍とするのは、現実的ではなく、「それなら農家をやめる」という選択をする方々が増える可能性があります。これは今なら、日本を含めて、どこの国でも起こり得ます。

 生産者自体がいなくなってしまう。



 先日、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長が、「 EU はエネルギー危機を緊急事態だと宣言」したと海外で報じられていましたので、ヨーロッパで広範囲にこの問題が広がっているのかもしれません。



[記事] 誰を崩壊させるための対ロシア制裁なのか。目指すのは西の自死? それともこれもいわゆるグレートリセットへの道?

 In Deep 2022年4月2日

 https://indeep.jp/what-hell-are-we-in/



 ここでご紹介したカナダのグローバルリサーチの 4月の記事には以下のようにありました。



> 今、私たちは、確実に食糧危機とエネルギー危機に進んでいる。それは戦争と制裁のために起きた。食料価格の上昇、化石燃料の使用減少、生活水準の低下、そして、公的資金が「再生可能エネルギー」に注ぎ込まれる。

> これらはすべて非常によく知られている議題の一部でもある。

> プーチン、ゼレンスキー、戦争全般、またはウクライナについてどのように感じているかに関係なく、私たちが、巨大なものと対峙する時が来た。

> 私たちは考える必要がある。「これらのロシア制裁の本当の目的は正確には何なのか?」そして「なぜこれらはグレートリセットの内容と完璧に一致するのか?」ということを。



 ヨーロッパの豊かな庶民文化や、飲食酒食文化が現在実際に消えつつある渦中にあります。

 小さなカフェで、毎月、数十万円の電気料金を請求されて、立ちゆくショップはほとんどないと思われます。

 先ほど書きましたように、救済も難しいように思いますし、「何もなくなる」という可能性に直面している気がします。



 これがヨーロッパだけのことなのか、日本などを含めた西側全体が多少似た状況に突入していくのかはわからないですが、対ロシア制裁が始まって、たった半年弱でここまで進んだというのは驚くべきことです。

 なお、ドイツでは、小規模のお店だけではなく、「ドイツの多くの製造業者がエネルギー価格の急騰に対応して生産を停止した」ことが報じられています。ドイツもまた、いろいろなものが消えゆく渦中にあるようです。



 最近のいろいろな状況を見て思い出すさまざまなこと

話が逸れますが、ブルガリア最大の預言者といわれていたババ・バンガさんという女性がいますが、2015年のデイリーメールに以下のような記載があったことを思い出します。



> 伝えられるところによると、バンガは、ヨーロッパは来年末までに「存在しなくなり」、ヨーロッパは「ほとんど空っぽ」になり、「生命の形態がほとんどない荒れ地」になると語った。(Daily Mail 2015/12/08)



 年代は異なっていますが、今後のヨーロッパが迎える可能性のある状況と似ていなくもないような気もしないでもありません。デイリーメールの記事では、これは、「イスラム勢力の台頭にあるのでは」というようにしていましたが、ババ・バンガさん自身は、その理由は述べていません。



 このババ・バンガさんという人は 1996年に亡くなっていますが、ブルガリア政府から綿密な調査を何度も受けており、そして、「ブルガリア政府から給料が支給される初の国家指定の公式予言者」となった方でもありますが、バンガさんは、1979年の予言として、以下のようなことも述べていました。



「すべてのものが、氷が溶けるように消え去るが、ウラジミールの栄光、ロシアの栄光は残る唯一のものである。ロシアは生き残るだけではなく、世界を支配する」 (Baba Vanga)



 何だか最近起きているさまざまなことを見聞していますと、このバンガさんの預言もそうですが、お釈迦様の予言ともいえる『法滅尽品』というお経なども思い出します。

 いろいろなことが述べられていますが、抜粋しますと、以下のような下りがあるようです。



 『法滅尽品』より

 仏法が滅しようとする時、女人は精進して常に徳を積むが、男子は怠けて信心がない。

 仏法が滅ぶ時、天の神々はみな涙をこぼし、泣き悲しむ。

 作物という作物は実をつけなくなり、疫病が流行し、死んでいく者も多くなって人々は苦しむ。



 税金は重くなり、道理に合わない税のかけ方をする。悪人が海の砂の数より多くなり、善人は一人か二人になる。世界が最後になる寸前には、日月が短く、人の寿命も段々と短くなって四十歳で白髪になる。

 男子は淫乱にして、精も尽き若死にするようになり、長生きしても六十歳ぐらいであろう。女子の寿命は八・九十歳、あるいは百歳となる。

 時に、大水がにわかに起こり、富める者も卑しい者も水中に漂い魚の餌食となるであろう。 (法滅尽経の話)



> 世界が最後になる寸前には、日月が短く

 というフレーズを聞き、「そういえば地球の自転も早くなっているんだよなあ」と思い出しました。以下の記事にあります。



[記事] 地球は本当に壊れてきちゃっているんだろうか、とか。地球の自転速度の過去最大の上昇、磁場の崩壊、気流の崩壊、海流の崩壊、近隣宇宙の崩壊……を見る中で  In Deep 2022年8月2日

 https://indeep.jp/aim-for-a-happy-ending/



 この地球の自転速度は、実は 2017年までの数年間は「遅くなっていた」のです。以下の 2017年11月のブログ記事で、アメリカ地質学会の発表を取りあげた米フォーブスの記事をご紹介しています。



 [記事]「地球の回転が《謎の速度低下》を起こしている」 :アメリカ地質学会の衝撃的な発表… In Deep 2017年11月21日

 https://indeep.jp/earth-rotation-mysteriously-slowing-down-and-earthquakes-must-increase/



 このように地球の自転速度が速くなったり遅くなったりするメカニズムはわかっていません。……けれど、地球自身の問題ではないことは確かだと思います。

 太陽系のエネルギーはますます増大しているようで、最近、NASA が、ウェッブ宇宙望遠鏡でとらえた「木星の最新画像」を公開していました。

 見ますと、今の木星は「虹色に輝いている」んですよ。

 以下略

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 一部引用以上



  英国、欧州で起きている超異常なエネルギー危機は、対岸の火事なのか?

 違う! 日本でも事情は同じだ。

 以下は昨年2月の記事。つまり、ウクライナ戦争によるロシアの供給制限がなかったときでさえ……。



1月の電気料金が10倍に!? 新電力会社と契約で驚きの請求書

 https://nikkan-spa.jp/1733243



 8月の電気代、最大32.2%上昇 日本列島に電力の危機、なぜ今? 2022年7月1日

 https://www.asahi.com/articles/ASQ6Z53MKQ6YULFA02X.html

 以上は、新電力ではない、通常供給の場合。



 2022年8月分電気料金の燃料費調整について 2022年6月29日 東京電力エナジーパートナー株式会社

 https://www.tepco.co.jp/ep/notice/pressrelease/2022/1663316_8667.html



 2022年3月の電気料金、過去5年で最高値に 家計や企業の負担重く 新電力には再び淘汰の波が

 https://energy-shift.com/news/e94889ba-1bb6-4a63-8f2e-bb0dcd334510



 日本では、新電力料金が10倍以上に、家庭用は数割程度だが、これも英国並みの10倍という事態になる可能性も覚悟する必要がある。

 もちろん、そんなことになれば自民党政権は瞬時に崩壊するから、何らかの対策は行うだろうが、それでも電気の原材料である天然ガスや石炭など化石燃料の高騰が下げ止まる気配はない。



 電力大手、7社赤字 燃料高が直撃―22年4〜6月期 2022年08月02日

 https://www.jiji.com/jc/article?k=2022080201005&g=eco



 いずれ庶民のエネルギー事情も、英国やドイツの後追いをする事態が避けられないのだ。

 プラザ合意以来の歴史的な円安もあって、当分のあいだ、日本工業製品の輸出競争力が高まり、日本国内工業は大忙しになるだろうが、一方で、輸入エネルギー価格の劇的な高騰が避けられないのだ。



 我々、一般庶民の生活は、小氷期を前にして、冷暖房に恐ろしい負荷が避けられない。

 今年の冬の寒さを、どうやって過ごすのか、今から真剣に考える必要がある。