アメリカの医療と抗議活動

 元NHKアナウンサーの久保純子が、夫がアニサキス症で入院したとき、ほとんど手当もされなかったのに200万円請求されたことを暴露した。

元NHK人気アナ久保純子 アニサキスで病院→何も治療されず高額請求 金額公表にさんまら仰天 9/5
  https://news.yahoo.co.jp/articles/dfae4987382c74c64c5f888a42bb9682dc9b7ad8

 アニサキス症は、正露丸の服用で簡単に治療できることが明らかにされている。
 私も何度も体験しているが、その胃腸症状の苦痛は痛風発作にも匹敵するほど辛いのだが、痛み出してから正露丸を4錠服用すれば、1時間もすれば回復してしまう。
 実は、大正時代に正露丸が世に出た頃から、アニサキス症に効くことは漁師や海浜部住民の常識で、病院のない大海での航海漁業に従事する漁師たちは、出港時にたくさんの正露丸を用意していたのだ。
https://www.yoshoku.or.jp/news/20210927_suikei01/

 この知識があれば、久保夫妻は正露丸を飲めば解決できたはずだが、アメリカ医療に頼った結果、200万円をドブに捨てる結果となった。
 もう半世紀以上前、私の子供時代、通った小中学校では、保健室に必ず正露丸が常備されていて、「腹痛があれば正露丸」が常識だった。
 やはり、今より生鮮魚食がはるかに多かった、当時の腹痛の多くもアニサキス症だったのだ。

 実は、アニサキス症の治療マニュアルとして、日本の医療界では「正露丸」が認められていない。
 もしも医者に駆け込めば、すぐに胃カメラ、内視鏡手術での摘出ということになる。
 https://www.mima-naika.com/anisakis/

 そりゃ、胃カメラ、内視鏡手術をやれば医療施設側は、少なくとも5〜10万円の治療費を受け取ることができる。ところが、正露丸処方など、せいぜい数百円なのだ。
 儲からない正露丸を、おいしいアニサキス症に適用されては病院側が困るわけだ。

 アメリカでも、アニサキス症に正露丸を処方することは認められていない。正露丸自体はサプリメントとして販売されているようだが、医療としては存在しないのだ。
 私は、アニサキス症やアメリカ医療の本質についても何回もブログを書いた。

  http://hirukawamura.livedoor.blog/archives/5827436.html

 http://hirukawamura.livedoor.blog/archives/5937440.html

 アメリカの、凄まじい医療マフィアの実態 2020年01月08日
 http://hirukawamura.livedoor.blog/archives/5827700.html

 一日入院しただけで466万円の請求、自己負担は78万円
 https://twitter.com/Matsuhiro/status/1483973942222077952

 首の骨折、三日間の医療費800万円
 https://twitter.com/Tana_Ace_KzyNV/status/1567858036357857280

骨折医療請求が2000万円だった
 https://twitter.com/gnpthnt311/status/1679821474524459009/photo/1

 アメリカの医療費は、日本の数百倍である。だから、低所得者(年収430〜720万円)の人々は、メディケイドという安く上がる医療体制があるようだが、質が低く評判が悪い。
  https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%B1%E3%82%A4%E3%83%89

 しかし、受給条件が厳しく、年収720万円を超える所得者は、上の一般医療を受けなければならない。実は、720〜1500万円程度の中産階級が、アメリカの医療で一番困っている人々だという。
 彼らは仮に市民向け医療保険に加入していたとしても、毎月の支払いが10万円近い高額の上、自己負担分も大きい。骨折で入院したとき、2000万円請求され、医療保険に入っていても自己負担分が数百万円にもなる可能性があるという。

 だから、年収が1500万円以下のアメリカ人の大半が、医療体制のぼったくり請求を警戒して、病気だろうが、骨折だろうが、基本的に医療にはかからない。
 ほとんどの人が薬局の薬や怪しげな民間医療を頼るのだ。
 これがアメリカの平均寿命が驚くほど低い理由になっている。
 日本人の84・3歳に対し、アメリカ人は、76.4歳と、同じ先進国でありながら8歳もの差が出ている。
 https://eleminist.com/article/2589

 国別平均寿命ランキングでは、日本が世界三位、アメリカはなんと世界64位であり、アルジェリアにさえ劣っている。
 https://www.globalnote.jp/post-3764.html

 この理由については、中国がアメリカに秘密裏に送り込んでいるフェンタニルという麻薬が関係しているとの解説もある。
 http://hirukawamura.livedoor.blog/archives/6016049.html

 しかし、基本的な理由は、間違いなくアメリカの医療体制が、アメリカを支配する超高額所得者のためだけに作られていることだ。
 アメリカでは、中産階級以下の人々は人間扱いされず、新自由主義による「自助努力」だけが要求され、その命や健康を保護しようという機運が存在しないのだ。
 アメリカの超高額ぼったくり医療体制を産み出しているのは、ユダヤ人金融資本が経営する医療保険業界である。
 https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=56114?pno=4&site=nli

 こうした民衆の命を屁とも思わないで、特権階級の金儲けだけを優先させる政策の思想は、「新自由主義」から来ていることは間違いない。
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E8%87%AA%E7%94%B1%E4%B8%BB%E7%BE%A9

 新自由主義は、社会の原理を「金儲け」に一元化し、人間が金儲けすることだけが人生と世界の目的であり、正義であるという思想である。
 政府による規制を排除して、「市場原理」つまり弱肉強食思想に、すべての秩序を委ねれば、自然に社会の理想的な秩序が成立すると、ユダヤ人、フリードマンが主張した。

 これを日本に持ち込んだのは中曽根康弘だったが、自民党全体を新自由主義に染め上げて、日本社会を新自由主義思想で支配しようとしてきたのが竹中平蔵である。
 だから、日本の医療体制もアメリカ並みにして、政府負担の大きい国民皆保険制度を廃止し、医療保険業者に委ねるべきと、自民党と維新、竹中平蔵が主張し続けている。

 だから、日本の医療体制が、アメリカ並みのぼったくり経営になることも、竹中平蔵と自民党がいる限り、確実と考える必要がある。
 事実、菅義偉が首相時代に、それを自民党の方針として主張した。
 https://ameblo.jp/damedamewanko2/entry-12650140996.html
 菅義偉や竹中平蔵は、日本の医療体制が共産主義だと決めつけている。

 アメリカは、すでに「医療地獄」といっていい。中産階級以下の大半の人々から医療の恩恵を受けられなくなってしまっている。
 ひとたび、医療に頼ったら、破産するしかないのだ。
 
 アメリカの自己破産、原因の半数以上が「医療費!?」歯の治療が飛行機代より高く、盲腸手術が300万円のアメリカで日本より「お得」なものとは? 6/15
 https://news.yahoo.co.jp/articles/8244ba283a91d112ca2e44d9cd4f46cfcb77959a

 こんな恐ろしい、アメリカの現状に対し、とうとう市民レベルで「間違っている」とする抗議やストライキが頻発するようになった。
 
全米はストライキの嵐 医療、自動車、ハリウッド…社会の機能破壊した金融資本に反旗 「社会を支えているのは労働者だ!」2023年10月11日
 https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/27805

  米国内では現在、医療、自動車製造、運送、教育、食品、映画・脚本など、あらゆる業種でストライキの波が広がっている。
 資本側が金融資本を中心にして統合・寡占化を進め、デジタル分野などの革新技術を独占してより多くの利益を上げるビジネスモデルを構築するなか、労働者の側は個々バラバラに切り離され、労働組合の企業とのパートナーシップ路線によって労働運動は停滞を強いられてきたが、近年、大手労組でも改革派が権限を握り、労組の有無や企業・産業の違いをこえた下からの連帯意識の高まりとともにストライキが各地で頻発している。

 米国では4日、米3大医療・保険グループの「カイザー・パーマネンテ」で働く医療労働者7万5000人が3日間のストライキに突入した。カイザー社はカリフォルニア州、コロラド州、オレゴン州、ハワイ州、メリーランド州、バージニア州、ワシントン州で事業を展開し、6万8000人の看護師、21万3000人の技術者、事務職員、管理スタッフ、2万4000人の医師を雇用する米国最大の医療・保険グループだ。

 これら複数の州にまたがって同時におこなわれたストライキには、看護師、検査技師、歯科助手、セラピスト、薬剤師、栄養士、受付係などあらゆる部門の労働者が参加し、カイザー社で働く従業員の40%が職場前でピケライン(封鎖線)を張った。米国労働統計局によると過去最大の医療ストライキは2018年の5万3000人で、今回のストはその記録を塗り替えるものとなった。

 同社に限らず米国内の医療業界では以前から人手不足が深刻化し、2020年に始まった新型コロナ・パンデミックがその矛盾を一気に激化させた。
 看護師や医療スタッフたちは、ひっ迫した医療の最前線に駆り出され、心身のストレスに耐えながらキャパシティをはるかにこえる患者のケアにあたった。その献身的な働きに対して、当初は政府やメディアは「英雄に感謝を!」と賞賛したが抜本的な解決策はとられず、現場ではトリアージが常態化し、十分な治療ができない患者や、治療を受けられずに亡くなる患者も増加した。

 カイザー・パーマネンテ社の労働組合連合がおこなった調査では、3分の2の労働者が人員不足による治療の遅れや治療拒否に遭遇したと回答している。医療従事者たちのあいだでは、過労と無力感から「燃え尽き症候群」とよばれる精神疾患が社会現象化した。過重労働、低賃金、低評価を理由にした離職が加速し、現場はさらに疲弊する悪循環となった。

 燃え尽き症候群とは、「極度の肉体的、精神的ストレスと離人感(意識と体が分離されて自動的に動かされている感覚)、仕事における達成感の低さを特徴とする職業病」(米医務総監諮問報告書)と定義され、鬱状態となって意欲や熱意が喪失する病だ。米医学専門誌『メイヨー・クリニック紀要』に掲載された研究では、米国では2021年に医師の5人に3人がこの症状が一つ以上あると回答している。全米医学アカデミーによると、2019年だけで看護師の35〜54%が同様の症状を訴えていた。

 米国の医療制度では、各病院に対して患者1人当りに対する看護師数の配置基準が法的に定められていない。各病棟の看護師の配置比率を規制しているのはカリフォルニア州だけだ。そのため医療機関の集中治療室や緊急治療室などの部門で働く看護師たちは、推奨される適正基準とはかけ離れた環境で、多くの患者をケアすることが日常茶飯事となっている。ストに参加した看護師たちは「1日に1人で20人以上看るのが当たり前になっている」「空きベッドがないため、助けを求める多くの患者を見捨てなければならなかった」「患者を救う看護師さえ自分の命が守れない」と窮状を訴えている。

 米国では、大手医療機関が投資会社などと統合したコンソーシアム(共同企業体)となり、大手IT企業と提携した最先端医療システムの構築や利益率の高い高度医療には力を注ぐ一方、一般的な病気(喘息、糖尿病、心臓病)に関する対応は先進国の中で最下位レベルにあるといわれる。

 米国の妊婦死亡率は、過去30年にわたり増え続け、他の先進国の2倍以上となっている。これには経済格差や人種差別などの多様な要因があるものの、2002年の査読付き論文では、病院の看護師が担当する患者が1人増えるごとに、早期死亡の確率が7%増加すると報告されている。

 米国の医療現場では近年、数千〜数万人規模のストライキが頻発している。今年1月にはニューヨークでも二つの基幹病院で1万5000人の医療従事者がストライキをおこなった。
 彼らの第一の要求は、これまでの一般的な労使交渉と同じような給与や福利厚生の向上ではない。病院や介護施設に対して、看護師を増員して看護師の仕事量を減らし、患者の安全性を高めるために、患者と看護師の適正な比率を設定することを強く求めている。

 医療現場でストを起こすことは簡単ではない。病院業務が滞れば、治療を求めている人々の命や健康に直結するためだ。経営陣は「ストライキは多くの人々を危険にさらすものだ」と労働者側を攻撃して現場の声を封じ込めてきたが、複数の労組が横に連携し、より多くの労働者が一斉に立ち上がることで、適切な義務を果たしていない病院経営陣の問題を可視化し、医療現場の疲弊を知っている患者や広範な市民がストを支援する動きへと発展している。
 後略
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 引用以上

 長いので紹介しきれないが、アメリカのぼったく医療は、日本のように整備された医療体制ではないのだ。
 何よりも資本の論理=金儲け思想が最優先され、「金にならないことはするな」 「同じ利益を上げるため労働者を極限までこき使う」という発想しかなく、患者も医療労働者も苛酷で残酷な環境に置かれている。

 金こそすべて、利益最優先という、アメリカ社会を支配するユダヤ金融資本に対し、アメリカの底辺の人々も、やっと目覚め始めているわけである。
 ただ、今度は、アメリカ医療が日本にやってくるのも確実で、日本の医療産業労働者も患者も、すでにコロナ禍でアメリカと同じ目に遭い始めている。
 対策としては、私は共同体、助け合い運動くらいしか思い浮かばない。