かなり前だが、『デイ・アフター・トゥモロー』という映画があった。
 地球に突然、氷河期がやってくるというものだった。
 https://www.youtube.com/watch?v=IqfNmgnpQRM

 最近、リメイク版2023デイアフターが出ているらしい。
 https://www.youtube.com/watch?v=cKHa2aTR9to

 真田広之の「将軍」なんかと比べると、レベルの低いろくでもないB級映画なのだが、地球の劇的寒冷化を予告し、警告する意味はある。
 実は、最近、晴天になると40度近い猛暑が続く中で、雨天になると寒くていられないほど冷えを感じる不可解な気候を感じている。
 毎日、極端から極端への気候変動が繰り返されているのだ。

 この不可解な変動の理由について、2030年、あとわずか6年後に地球は氷河期に突入するからと予告する研究者が少なからずいる。高気温と寒冷化が同時に起動しているのかもしれない。
 https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00059/062500060/

  https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%95%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%88%E3%82%A5%E3%83%A2%E3%83%AD%E3%83%BC

 ところが、この映画を地で行くような恐ろしい気象異変が、現在真冬の南半球で突然、起き始めたのだ。
 アルゼンチン全土に異様な寒波。川や海の凍結も 2024年7月19日
 https://nofia.net/?p=21539

 この理由について、情報収集力に優れたInDeepが取り上げているので紹介する。

 現在、南極上空で起きている「尋常ではない異常」が、数か月後に私たちの北半球の気温と地磁気に影響をもたらすメカニズム  2024/07/19
https://indeep.jp/the-impact-of-antarctic-ssw-on-us/

 めったにない異常が南極上空で起きている
「成層圏突然昇温」という現象をご記憶でしょうか。文字通り、成層圏において突然気温が上昇する現象のことなんですが、ここ数年は、北半球でよくこれが起きていました。
 そして、この成層圏の気温が突然上昇する現象が「北極」で起きた際には、北半球の広範囲に信じられないほどの寒波をもたらします。

 その原因は、通常、北極上空を規則正しく循環している「極渦」という大変に寒冷な大気が、成層圏の気温が突然上昇する現象によって「崩壊」して、その大気が一気に北半球に拡大するのです。
kyokuuzu01
 





















(記事)成層圏の気温が突然上昇する現象により北極の大気循環が崩壊。これにより2月にかけて北半球に超低温がもたらされる可能性が…In Deep 2021年1月9日
 https://indeep.jp/arctic-atmospheric-circulation-collapses-due-to-sudden-rise-in-stratospheric-temperature/

 現在は世界中で猛暑猛暑と連呼されていますが、ほんの半年前までは、やはり極渦の崩壊で、アメリカなどにマイナス40℃などの信じがたい寒波をもたらしていました。
 それでですね。この「成層圏突然昇温」という現象がですね、「現在、南極上空で起きている」のです。

 これは大変に珍しいことで、Wikipeida には、> 突然昇温は南半球では滅多に起こらず、大昇温は観測されている限り2002年9月の一度しか発生していない。とあります。
 ともかく、南極で現在この突然昇温現象が起きているのですけれど、直接的な影響としては、南半球のいくつかの国に一種、壊滅的な低温をもたらしています。以下のような翻訳記事にあります。

(記事)厳しい寒波が南アフリカの農作物に壊滅的な打撃を与えている
BDW 2024年7月18日
 https://nofia.net/?p=21522

(記事)アルゼンチンの一部で過去90年の観測史上での最低気温を記録 BDW 2024年7月11日
 https://nofia.net/?p=21381

 おそらく、これらは、南極で現在起きている突然昇温による「極渦の崩壊」の影響だと思うのですが、現在起きている南極での現象の中期的な影響と、そして、「北半球に対しての影響」について、気象の専門メディアであるシビア・ウェザー・ヨーロッパが解説していました。

 (かつて起きた南極での成層圏の気温上昇の後)米国上空の電離層では、電子電荷の 40〜80% の強力な異常が観測された。…これらの要因は地球の大気の地磁気活動に影響を与えており、その変化は検出され測定されるほど強力だった。
 というように、何と南極での突然昇温現象は、「地球の地磁気にも影響を与える」ようなのです。しかも、遠い北半球にまでです。

 成層圏温暖化のような大規模な現象により、南極上空で長期にわたる高気圧異常が発生する可能性がある。
 そして、その後、数週間から数か月の期間を経て、成層圏突然昇温現象の影響が北半球に現れる可能性がある。
 他の部分を読みますと、南半球の成層圏突然昇温と北半球の成層圏突然昇温は「連動する傾向」があるようです。

 南半球の成層圏突然昇温が起きたあと「数か月」で、「北半球にも成層圏突然昇温が起きる」可能性があるようなのです。
 必ずということではないようですが、そうなりますと、今の夏が仮に暑いまま過ぎたとして、その後にやってくる冬などは一転して苛酷な寒波等が発生する可能性もないではないということと、

 「地磁気の大きなレベル異常が北半球で発生する可能性がある」
 ということのようで、現在の南極での層圏突然昇温は、時間の経過と共に、北半球の私たちの生活にも直結してくる可能性が高いです。地磁気の異常については、影響も複雑になりますが、その点は別の機会にということで、全般的な解説をご紹介します。

 南極上空でまれな成層圏の昇温現象が始まり、現在普通ではない強い異常が発生している。
A rare Stratospheric Warming event has begun over the South Pole, with unusually strong anomalies now developing
severe-weather.eu 2024/07/15

 南半球は現在冬季にあり、ダイナミックな気象パターンにより南極上空の成層圏で強い昇温現象が発生している。このような現象は南半球ではまれだが、強力で、地球全体に影響を及ぼすことが知られている。
 こうした成層圏の昇温現象は大量のエネルギーを蓄えており、半球全体に影響を及ぼす可能性がある。北半球でこのような現象が発生し、冬の天候パターンに影響を及ぼした事例は過去にいくつかあった。

 南半球で冬季の成層圏昇温現象が起きることは稀で、過去数十年間に数件発生したことが知られているのみだ。
 現在発生している成層圏昇温現象と、それが北半球に及ぼす可能性のある異常な影響について見ていきたいと思う。

 極渦循環
 これらの現象の原動力は極渦だ。
 極渦が何であるかを理解するには、通常、視覚化するのが最善だ。簡単に言えば、極渦は北半球(および南半球)の冬の広い循環を表す名前にすぎない。
 極渦は大気圏の高いところまで広がっている。最下層は対流圏と呼ばれ、あらゆる気象現象がここで発生する。しかし、その上には成層圏があり、これはオゾン層があるより深く乾燥した層だ。

 全体として、極渦は北極全体から中緯度までを覆う非常に大きなサイクロンのように機能する。極渦は地面から上まですべての大気層とつながっているが、高度によって形状が異なる。
 このため、極渦全体を上部(成層圏)と下部(対流圏)に分ける。両者はそれぞれ異なる役割を果たすため、2つの別個のシステムとして監視するが、それらがどのようにつながっているかも非常に重要だ。(下の図の北極上空を回っているのが極渦)

 上部(成層圏)部分は、地上より高く回転するため、流れの障害物が少なくなり、より円形で対称的になる。
 しかし、極渦の下部構造ははるかに不均一で、定期的に乱れている。これは、障害物として作用する地形/山々や強い気圧システムの影響によるものだ。

 地面に近づくほど、複雑な地形と、極渦を変形させる多くの気象前線や気象システムにより、極渦はより変形する。
 南半球でもプロセスはまったく同じだが、しかし、南半球には複雑な地形がはるかに少ないため、成層圏の極渦の乱れも少なくなる。

 成層圏の極渦
 極渦は私たちの日常の天候に大きな影響を与える可能性があるため、その状態を監視する必要がある。極渦は主に 2つのモードに分けられる。
 強くて安定した極渦は、通常、強い極循環とジェット気流を意味する。これにより、冷たい空気が北極圏に閉じ込められ、米国のほとんどの地域でより穏やかな気候が生まれる。

 対照的に、極渦が弱くなったり乱れたりすると、ジェット気流のパターンも弱くなる。その結果、極地から米国に逃げる寒気を封じ込めるのが難しくなる。(極渦が乱れると米国が寒くなるということ)
 したがって、北半球、南半球どちらの半球の話をしているかに関係なく、極渦が弱いと気象パターンがより乱れることになる。

 これは通常、極域成層圏の圧力または温度の上昇によって起きる。このような現象は「成層圏突然昇温」と呼ばれ、その名の通り、成層圏の急激な温度上昇を意味する。
 以下は NASA の監視システムによる分析だ。2020年/2021年冬の北半球の成層圏ジェット気流が1月初旬にマイナス値に反転したことを示している(赤い線)。

 これは、非常に強力な突発的な成層圏温暖化現象によって引き起こされた、成層圏「極渦」の崩壊/崩壊現象だった。
 成層圏突然昇温現象は、1月5日に極圏の風向きが逆転したことにより発生した。成層圏温暖化の波は成層圏内の北極全体に広がり、極渦の冷たい核を 2つの部分に分割した。

 崩壊した極渦の一部は北米上空を移動し、もう一部はヨーロッパ上空を移動した。この時点では高度 30km にあるため、地表の冬の天候に直接影響はなかった。しかし、この時点で極渦は脆くも崩壊し、その影響は最終的に地上にまで及んでいった。

 上記の出来事は北半球で発生したが、そのダイナミクスは南半球でもまったく同じだ。もちろん、最初の直接的な影響は南半球に限定されるが、後でわかるように、その影響は北半球にまで及ぶ可能性がある。

 南極成層圏の温暖化
 南半球は北半球と逆の季節だ。そのため、夏が終わりに近づいても南半球ではまだ冬があり、極渦循環が活発であることを意味する。

 以下は NASA からの特別画像だ。高度約 30 kmの南成層圏極渦の中心部の温度を示している。紫色のラインは、成層圏の南極温度の強いピークを示しており、この時期としては過去最高に上昇している。
 省略=原文で見られたい

 では、この現象はどのように進行しているのだろうか。
 下の画像では、南極上空の成層圏の最新の温度分析を見ることができる。非常に強い温暖化波が南極渦の中心に押し付けられ、極圏の奥深くまで広がっている。
 省略

 気温異常分析では、この高度 (10mb ~ 30km/18 マイル) で強い気温異常も示されている。この平年より高い気温の領域は成層圏温暖化現象であり、ピーク気温は長期平均より 60°C 以上高くなっている。

気圧パターンを見ると、南極に高気圧異常が見られ、オーストラリア南部と南アメリカに向かって低気圧が移動しているのがわかる。

 これは循環の乱れを示しており、成層圏で発達している気圧異常と関係している可能性がある。予報では、成層圏の温暖化異常は来月まで続くが、おそらく強度は弱まるだろう。しかし、全体的に、これは南半球上空の成層圏温暖化現象としてかなり重大なものとなる。

 世界的な気象への影響
 私たちは北半球に住んでいるのに、なぜ、南極の成層圏の温暖化現象を気にする必要があるのだろうか?
 これは、両半球間の地球全体の空気循環への影響による。冬の半球では流れと動きがはるかに激しく、夏の半球は一般的に穏やかだ。

 これは「ブリューワー・ドブソン循環 (成層圏下部で起こる大気循環のこと)」と呼ばれ、両半球からの循環を大気圏上部で結び付ける。実際にはこのメカニズムは非常に複雑だが、これは基本的に、北半球の成層圏と南緊急の成層圏の両方がつながっていることを示している。

 以下は、2019 年に南極上空で発生した成層圏温暖化現象に関する研究から得られた興味深いグラフだ。グラフは、米国とヨーロッパ上空の電離層における全電子量 (TEC) の変化を示している。
 最初の画像は、南極上空の強力な成層圏温暖化現象に続く、米国上空の電離層異常を示している。米国上空の電離層では、電子電荷の 40〜80% の強力な異常が観測された。
 省略=興味のある方は原文で

 強力な成層圏温暖化現象によるエネルギー波がすでに北半球に到達していたため、ヨーロッパでも同様の、しかし逆の変化が観測された。
 こちらの研究によれば、全体として、米国とヨーロッパの熱圏酸素/窒素比と総電子含有量にプラスとマイナスの両方の擾乱が見つかった。

 これらの要因は地球の大気の地磁気活動に影響を与えており、その変化は検出され測定されるほど強力だった。
 この強力な現象の後、高層大気と下層大気で直接的な気象変化が観測された。また、この現象が北半球の 2019/2020年の冬に気象影響を及ぼすほど強力であったという兆候も現れている。

 このグラフは、8月から 10月にかけて南極上空で長期間続いた高気圧異常と、翌年の 12月から 2月にかけての米国上空の低温との間のシグナルを示している。
 ここで大きな注意点がある。この相関関係は、南極上の高気圧異常が翌年の冬に米国上空で低気温の兆候を直接引き起こすことを意味するものではないということだ。何らかの関連があることを示しているだけで、それが具体的に何なのかは説明していない。

 成層圏温暖化のような大規模な現象により、南極上空で長期にわたる高気圧異常が発生する可能性がある。
 そして、その後、数週間から数か月の期間を経て、成層圏突然昇温現象の影響が北半球に現れる可能性がある。
*****************************************************
 引用以上 専門性の高い画像のいくつかを省略したので、原文で見てください。

 今後、2030年を転換点として、巨大な気象環境異変が起きると警告する研究者は少なくない。
 「マウンダー極小期」と呼ばれる太陽活動の停滞による小氷期は、1700年代前後にも数百年規模で起きていて、天明天保の大飢饉など激しいダメージを社会に与えた。
 江戸時代の264年にのぼる政治的安定は、小氷期のため戦争準備ができなかったためと考える研究者もいる。
 
2030年にミニ氷河期が到来? 江戸時代にもあった異常気象の原因とは
 https://ecotopia.earth/article-669/

 今回の南極極渦の異常は、おそらく小氷期の前兆現象に思える。
 この影響により、北半球でも異常寒冷化が起きる可能性が示唆されている。
 極端な円安インフレが続いて、庶民を救済するはずの資金は、安倍晋三・消費増税以来、すべて大企業の内部留保に向かい、株主配当金と経営者手当だけを潤している。
 おかげで、庶民は暖房費の支出にさえ苛酷さを感じている。

 インフレは、国家債務の価値を下げるために行われ、「国が儲かれば庶民は貧しくなる」という関係の中で、実質的な大増税として機能している。
 そこに200年ぶりといわれる厳寒が襲ってくるのだ。