2024/09/18 優生手術被害者「狂わされた人生、戻ってこない」〜旧優生保護法違憲判決で合意書締結
 https://www.ourplanet-tv.org/49679/

 障害などを理由に不妊手術を強いた旧優生保護法は憲法違反として、国に賠償を命じた最高裁判決をうけ、13日、原告らと国で、全国で続いている裁判を含む全面解決に向けた合意書の締結が行われた。

 合意書には、原告が優生手術被害者本人のみの場合は慰謝料として1500万円、本人とその配偶者で原告になっている場合は本人が1300万円、配偶者が200万円の慰謝料を支払うことが盛り込まれたほか、今後の謝罪や検証、恒久対策に向け、当事者団体などとの定期的な協議の場を設けるとした。また、子ども家庭庁の加藤鮎子大臣は「被害を訴えていない人たちの救済について、超党派の議員連盟で新しい保障の仕組みを検討中」と説明した。

 合意書への調印後、優生保護法被害全国原告団で共同代表の飯塚淳子(仮名)さんは「私が求め続けてきたことがやっと実現しました」と述べる一方、声を詰まらせながら「国に謝罪されても、賠償されても、優生手術によって狂わされた人生は戻ってきません」と複雑な胸中を述べた。

 優生保護法被害全国弁護団共同代表の新里宏二弁護士は「被害の回復、賠償が、かくも遅れたことに対して、国に猛省を求める」と強調したうえで、「優生保護法による被害の救済、優生思想を克服するたたかいはこれから」と述べ、この点については「国とともに前に進んでいきたいと思います」と結んだ。
*******************************************************
 引用以上

 優生保護法とは?
 簡単にいえば、国が世界のなかで優越的地位を目指す姿勢のなかで、「自分たちは優れている」と思い込んで自己満足する目的で、逆に「優れていない」ものを排除する仕組みを作ろうとする。
 排除の結果、国が優秀と認められて、何の利益があるのだろう?
 実は、「優秀を求めて非人道的な行為をなした」以外の評価は存在しない。

 国家のなかで「優れていないもの」というのは、第一に障害者、低所得者などの弱者である。「優れている者」、たとえば、皇族など家柄の良い者、高所得者、高学歴者、政治家などを人間評価ランキングの上位に置き、優越的地位を与える。

 何十年も、地域を無報酬ボランティアで清掃している者が含まれることはない。困った人を助ける善意の人が評価されることもない。
 たとえば、宗次徳二は、毎朝4時から公道を清掃し、子供食堂運動に何十億円も寄付を続けているが、公的機関から決して評価されず、受賞したこともない。
 それは「社会にとって不要」と見なされる弱者を支援しているからだ。

 社会のなかで評価されないばかりか「劣っている」と見なされる底辺の人々、障害者などの弱者は、権力者から「社会にとって不要、不合理」と見なされる。
 だから、「自分たちは優秀を目指す」とする価値観の人たちが権力を得ると、必ず社会から排除の圧力を受けることになる。

 それが「優生保護法」であった。それは、障害者の生殖能力を強制的に奪って、社会から劣った者、障害者を追放する目的で成立した。
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%84%AA%E7%94%9F%E4%BF%9D%E8%AD%B7%E6%B3%95

 人道主義を求める我々が大きなショックを受けるのは、優生保護法を上程した主役が、実は、民主主義を求める社会党議員だったことだ。

 戦前から産児制限運動を主導していた馬島偶や加藤シヅエは、1947年6月、それぞれ「日本産児調節連盟」と「産児制限普及会」を創設。福田昌子、加藤シヅエ、太田典礼らは、1946年(昭和21年)4月10日に行われた第22回衆議院議員総選挙で当選した後、日本社会党の代議士となり、1947年8月に優生保護法案を提出した。
 もちろん、彼らは障害者の排除を目的としたわけではなく、「堕胎の権利」を主題にしていたのだが、保守系議員たちが、障害者の強制排除(強制不妊手術)という内容にすり変えて、優生保護法を推進したのである。

 だが、加藤シズエらは、抵抗せずに言いなりになった。当時は、戦前からの皇室崇拝、国家主義の思想が根強く生きていて、「日本を優秀な国にする」という価値観は、野党にも蔓延していた。誰も、「本当の民主主義」を理解していなかった。
 平塚雷鳥や市川房枝でさえ、優生思想を支持していた。共産主義やアナキズム価値観を持った人たち、たとえばヤマギシズムの山岸巳代蔵でさえ、優生主義だった。

 戦後自民党は、戦前の「日本を優秀な国にする」という排他的価値観を延々と共有してきた。というより、日本人全体が、皇族を頂点とし、犯罪者・部落民を底辺とする序列主義の価値観に洗脳されきってきたというべきだろう。
 今行われている総裁選で、高市早苗が「日本を世界のてっぺんにする」と主張したのも、「優秀なものだけに価値がある」という優生保護思想の延長なのである。
 https://www.youtube.com/watch?v=jHkDcBY2ozA

 戦後日本人を強烈なストレスの泥沼に投げ入れ、たくさんの自殺者を出した学歴社会を作り出してきた価値観の正体も、人間に序列をつけて、「優れたものを目指す」という優生思想が生み出しているものだ。

 これは、元々、2500年前、春秋時代に孔子が産み出した儒教思想の影響によるものだ。
 儒教は、「支配者や長老を無条件に敬え」という序列最優先の価値観だったので、ほとんどの権力者が国家思想として採用したのだ。
 日本でも、家康が朱子学として採用し、全国の藩校や寺子屋で強要した。その影響は未だになくなっていない。

 日本の場合は、この「優生思想」によって、数万人の障害者(身体障害者や病弱者も含む)人たちが、強制的に不妊手術を受けさせられ、本人に手術の意味も伝えられなかった。これが冒頭に紹介した、優生保護訴訟を生んでいる。
 本当に恐ろしいことは、この強制不妊手術が、民主主義が尊ばれるようになった戦後社会のなかで実行されたということだ。

 1948年成立以来、1996年の廃止まで、社会党共産党も含めて、誰も激しく反対しようとしなかった。
 優生思想は、庶民の心のなかを洗脳しきっていたのだ。
 それは学歴を重視する価値観の表裏にあるもので、今でも消えていないから、高市早苗や小林鷹之のように優生保護価値観が今でも出てくる。

 実は、儒教の序列主義思想が、世界で一番浸透しているのは朝鮮半島で、だから文鮮明の作った統一教会が日本の政治政府中枢に入り込んで、どんな価値観をもたらしているかといえば、やはり儒教的序列主義である。
 「劣ったものを排除せよ」という思想であり、これはユダヤ人の「新自由主義思想」にも共通するものだ。

 新自由主義は、金儲け、蓄財の多寡で、人間に序列をつけようとするので、世界経済を「市場原理」で統一し、凄まじい弱肉強食の価値観を持ち込み、効率の悪いもの、金にならないものを市場原理で淘汰している。
 だから地方の交通ライフインフラや、中小企業などを淘汰し、社会から排除する結果を招いている。

 「良い仕事」に価値を見いだしてきた、日本の「職人社会」を追放しているのが新自由主義だ。
 強烈な格差社会を作り、金持ちだけを勝ち組する仕組みで、底辺の負け組を徹底的に排除する仕組みである。
 行き着く先は、特権階級と底辺だけの超格差社会だ。

 「優れていないもの」は徹底的に淘汰され、追放される。これが優生保護思想の行き着く先である。
 かつて、優生思想の価値観に洗脳されてしまった人たちが権力を握った、恐ろしい社会があった。
 ナチスドイツだ。

 彼らは、優れたドイツの足を引っ張っているのは障害者だと決めつけた。そこで「T4作戦」と名付けて、ドイツの障害者を子供も含めて全員殺害してしまうことを実行した。
 自分の甥までガス室に送られた事実をヒトラーが知るまで、40万人の障害者が殺戮されたといわれているが、同時にユダヤ人600万人を殺害したホロコーストの影に隠れて知る人は少ない。

 2009年1月30日 灰色のバスがやってきた
 https://hirukawamura.livedoor.blog/archives/5828568.html

 ファッシズムと優生保護 2017年02月25日
 https://hirukawamura.livedoor.blog/archives/5828401.html

 日本のT4作戦 2018年09月28日
 https://hirukawamura.livedoor.blog/archives/5828186.html

 日本のT4作戦 障害者への強制不妊手術の賠償責任を政府が拒否 2024年06月28日
 https://hirukawamura.livedoor.blog/archives/6143807.html

 ちなみに、上の優生保護法被害者への賠償を否定した判決を出した裁判官の多くが、統一教会(原理研)出身判事という噂がある。
 統一教会は、日本の保守政治家だけでなく、政府官僚や司法関係者、検察官、判事の多くに驚くほどたくさん食い込んでいて、検事総長就任を阻止された黒川弘務も、法相だった河井克行も原理研出身者と暴露した者(副島隆彦)がいた。
 統一教会員と見られていた安倍晋三が就任させたのだ。

 私は、高市早苗のような「日本をてっぺんにする」という優越至上主義の価値観を持った人物がいるかぎり、優生保護思想はなくならないし、何度でもT4作戦のような障害者排除の思想が息を吹き返すと考えている。
 高市だけでなく、小泉進次郎も小林鷹之も同じエリート主義の優越(優生)思想だ。現在の自民党総裁選候補者の全員が、優生保護思想を持っていると考えたほうがよい。

 残念ながら、立憲議員も、大半が(隠れ)原発推進派であり、すなわち「優れた日本」至上主義者たちだ。
 共産党は、「優れた政党が指導する政権なら核開発してもよい」と言っていて、これが原水禁=原水協分裂の原因になっている。未だに共産党は自己批判していない。

 エリートが上だけを向いて歩く社会は、必ず優生保護思想の社会になる。底辺の人は軽蔑嘲笑され、社会の片隅で人々の心を照らす価値観が認められることはない。
 宗次徳二が国家から表彰されることもないし、貧しい子供たちを救っている人が評価される社会もやってこない。
 むしろ、「底辺の人々は邪魔だからガス室で抹殺しろ」という、植松聖のような人間がたくさん出てくるだろう。

 我々の社会は、上を向いて歩く必要はない。むしろ下を向いて歩くべきなのだ。
 底辺の人々が幸せを感じられる社会こそ、「人間解放」の社会であり、未来に必要な社会である。