私にとって、これは驚異的ニュースだ。それは関電が、第二のフクイチ事故を起こすと宣言したに等しいからだ。
 関西電力、美浜原発3号機の残酷な事故を記憶している方も多いだろう。
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%BE%8E%E6%B5%9C%E7%99%BA%E9%9B%BB%E6%89%80

 私は個人的事情で、この事故を詳細に知っている。これは、美浜原発管理者が、原子炉施設の点検をサボタージュし、軽視していたことから生まれた人為的ミスだった。
 1970年稼働から事故の起きた2004年まで実に34年間、危険な高圧配管が一度も点検されず、エロージョンコロージョンの経年劣化作用で、減肉し、検査時に穴が開いて10気圧、150度のスチームが噴出し、室内にいた作業員11名のうち5名が火傷で死亡した。残りの作業員も、重篤な火傷を受け後遺症が残った。

 この事故は、二次冷却水復水配管で起こったのだが、もしも一次系の160気圧配管で同じことが起きたなら、即座に原発メルトダウン巨大事故につながっていた。
 そうなれば、福井県と京都府は、全滅し、住民は二度と故郷に帰還できなかったかもしれない。数千万人が「彷徨える避難民」になったかもしれない。

 簡単にいえば、必ず非破壊検査が必要な危険配管が、完工後も点検計画の不備によって一度も検査を受けず、ごく当たり前の結果として大事故を引き起こした。
 実は、私も非破壊検査に携わった経験があり、このような配管をたくさん見てきた。プラントシステムには、点検管理を無視したような複雑な(検査機器の入らない)構造があったりして、どうしても点検不能の箇所が必ず出てくるものだが、普通は、似たような環境の箇所に準じると勝手に決めて点検完了のフリをする。

 だからプラントシステムは、全体の寿命が、このような1カ所の脆弱性によって定まるものだ。1カ所の破壊が、全システムの破壊を招くのだ。だから、もっとも弱い箇所の寿命が、全体の寿命を定めるのである。
 40年稼働の原発プラントが「おおむね安全」であったとしても、見落とされた1カ所の脆弱性によって巨大事故を生む。だから、もっとも弱い箇所の寿命を見切って耐用年数を定めなければならない。

 そのことを、エアコンの効いた本社にいる関電首脳も、事務所にいる管理者たちも、机上の知識しか持たない原子力規制委員も、まるで理解していない。
 全体に安全そうに見えれば、安全だと勘違いしてしまっているのだ。その危険性を知っているのは、現場で配管を直接検査してきた者だけだ。

 2022年、原子力規制委(政府)が60年超過運転も認めると発表した。
 
 原発運転「原則40年、最長60年」削除へ 規制委、政府方針追認 福島事故の反省どこへ 2022年10月6日
  https://www.tokyo-np.co.jp/article/206651

 原子力規制委員会の山中伸介委員長は5日の記者会見で、現行の「原則40年、最長20年延長できる」という規定が原子炉等規制法(炉規法)から削除されることを容認した。これを受け、政府は東京電力福島第一原発事故を踏まえた現行規定の見直しを本格化させ、岸田政権が掲げる「原子力の最大限活用」に向け原発の60年を超える長期運転へ大きく政策が転換する。
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 一部引用以上

 今回の高浜原発1号機、50年延長認可の記事は以下のとおり。

  高浜原発、50年超え運転認可 国内初、原子力規制委 10/16
 https://news.yahoo.co.jp/articles/f05256f7f82627e9039f05788bbbb29c1bce650a

  高浜1号機は国内で最も古い原発。規制委は2016年、2号機とともに最長60年までの運転を認めているが、30年を超えて運転する場合は10年ごとに保安規定の認可が必要となる。

 規制委は中性子によって原子炉圧力容器がもろくなって破損する恐れがないことや、熱や放射線を受けたコンクリートの強度が保たれているとする関電の評価を確認した。関電は原子炉内に入れてある金属片で原子炉の劣化状況を調べるほか、炉内の構造物の一部を取り換えるなどの対策を取るとしている。

 来年6月に原発の60年を超える運転が可能になる新制度の開始後、改めて60年までの運転について規制委の認可が必要になる。
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 一部引用以上

 このヤフーニュース記事に対して数百件のコメントが寄せられた。私もさっそく書いた。
 だが、3分後には削除された。もう一度書いたが、今度は受け付けてくれなかった。
 ヤフーの情報管理は、たぶん電通子会社が行っているので、原子力政策に都合の悪いコメントは無条件削除するのだ。
 私のヤフーブログも大半が反原発だったが、いつのまにかプラットフォームごと消されてしまった。500編以上あった私のブログはエクスポート機能が提供されなかったので、ほぼ消えてしまった。

 私のコメントは、関電が当初、25年だった運転寿命を30年、40年、50年と次々に延伸してきた本当の理由について書いたものだ。
 実は、関電だって美浜3号機の恐ろしい大事故を経験しているので、本当は廃炉更新が必要なことくらい分かっている。
 しかし、40年前に、原子炉一基の廃炉費用が200〜500億円と見積もられていたのに対し、フランスの廃炉経験から一基1兆円もかかることが明らかになってきた。(フランス廃炉データはネット上から消された)

 関電の収支は以下のとおり。
 https://irbank.net/E04499/bs
 総資産が約9兆円、有利子負債と社債の合計が約4兆5千億円。残りの資産も、大半が発電インフラ関連で、預金などの実質資産は3兆円程度しかない。
 この財務状況から、銀行が貸し出すにしても1兆円が限度だろう。

 ところが、関電の抱える原発で、原子炉が13基あり、うち7基が稼働している。残り6基は廃炉にする必要があるのだが、これには6兆円近い、とてつもない費用がかかる。
 まず、莫大な使用済み核燃料が敷地内のプールに保管されていて、数万トンの使用済み核燃料の持って行く先(中間貯蔵施設)がない。さらに恒久保管施設は、全世界で稼働に成功した施設は存在しない。
 原子力は、未完成の技術であり、世界で完全な運用サイクルを確立した組織など、どこにも存在しないのである。

 原子炉の圧力容器は、長年中性子を浴びて、コバルト60などのアイソトープが生成されているため、もの凄いガンマ線を放射していて、危険で近寄ることもできないので、そもそも近寄って解体移動作業が可能になるまで50年以上かかる。
 抜き取った核燃料がMOXだった場合は、強制冷却期間が500年かかる。それから恒久保管施設で放射能毒性が消えるまで100万年保管しなければならない。
  https://www.kyuden.co.jp/nuclear_pluthermal_answer_12.html

 解体された原子炉や配管は、やはりもの凄い放射能を帯びているので、数十年間保管した後に、ぶつ切りにして放射性廃棄物として処理する。
 日本政府は、どうやら福島汚染水放流に味をしめて、海洋投棄を考えているようだ。

 原子力施設の解体廃炉には、天文学的な工程と時間、費用がかかるのである。だから、国内第一号廃炉の、東海第一原発は、1998年に廃炉決定されたが、2024年現在、未だに、ほとんど手が付けられていない。
 廃炉計画では、2034年に原子炉撤去になっているが、こんな拙速な解体だと、とてつもない被曝者を出すことになると思う。
 https://www.japc.co.jp/tokai/haishi/construction.html

 東海第一原発廃炉工程は、実に35年間にわたっているが、私は、この時間でも無理だと確信している。
 被曝者を出さない安全な廃炉があるとすれば、それは100年間、原子炉を封鎖して放置することだ。そうすれば、ある程度安全に解体作業を進めることができる。
 だが、それでは、世間に原子炉の恐ろしさを印象づけるプロパガンダになってしまうので、無理な廃炉工程を組んでいるのだ。

 関電は、6基の廃炉決定原子炉を解体する費用さえ、たぶん負担できない。国策なので、国からの借り入れによって行うのだろうが、電力企業にとって、廃炉解体費用は、経営上の絶望的な暗雲といってよく、国策事業でなければ、経済的に絶対に成立しないのである。

 さて、今回50年の運転延伸が認められた高浜1号機は、PWR特有の「脆性劣化」という特異な現象が報告されてきた。
 長年の中性子照射によって、鍛鉄の耐圧容器が劣化してガラスのように硬化する脆性破壊が進行し、ECCS注水時に、耐圧容器が割れてしまうリスクがあるのだ。
 すると160気圧の原子炉が大爆発を起こして、半径100キロ圏は、人間が生活できる放射能濃度をはるかに超えてしまう。
 京都も、福井県も、永久に人が住めなくなる可能性がある。もの凄い人が死ぬだろう。

 いつ巨大爆発を起こすか分からない高浜原発1号機 2019年07月08日
 https://hirukawamura.livedoor.blog/archives/6081309.html

  高浜原発で危険な警報!2019年09月09日
 https://hirukawamura.livedoor.blog/archives/5827831.html

  恐るべき腐敗、悪臭を放ち続ける関西電力 2019年09月28日
 https://hirukawamura.livedoor.blog/archives/6081391.html

 そもそも、関西電力は、私の知っている範囲でも、役員が入墨を入れていて山口組の組員だという話を聞いた。関電の担当者が、反原発姿勢を見せた大飯町長を殺害する指令を出したことも確認されているが、福井県警は関電に買収されていて立件しなかった。
 
  反原発町長を、はよ殺さんかい! 2019年10月01日
 https://hirukawamura.livedoor.blog/archives/6081394.html

 つまり、買収どころか、殺人を含めた、どんな汚いことでもやってのける反社集団なのである。
 その反社集団に高浜原発50年運転延伸を許可したことの意味は、結局、巨大原発事故が必然であることを承知で認可したことを意味する。
 どんなに原子炉の脆性劣化が進んでも、「行けるところまで行って、大事故になれば国に始末を押しつけて、経営陣はドバイに逃げればよい」という、究極の覚悟があるということだ。

 大事故が起きて賠償する資力が東電にあるのか? ドバイに逃げる……2024年07月17日
 https://hirukawamura.livedoor.blog/archives/6148068.html

 当初、25年の設計寿命だった原子炉を2倍の50年に運転認可したどころか、60年を超えても安全だと主張し始めている。
 だが、日本は世界の地震の10%を引き受けている世界最大級の地殻変動地帯だ。
 関電の原発群は、すべて、木村政昭教授が指摘した「日本列島断層」の近傍に位置していて、ここでは、M8に迫る巨大震災が頻発している。

 誰一人、何一つ語られず隠蔽され続ける「日本列島断層」2024年02月09日
 https://hirukawamura.livedoor.blog/archives/6110331.html

 元旦にも能登大震災が起きたが、未だに救援さえチョロ出しで政府が本気で復興するつもりがあるのか甚だ疑問なのだ。
 関電の若狭原発群の直下で、天正・慶長地震や寛文近江若狭地震が起きている。敦賀原発の原子炉直下で活断層が発見され、さすがの規制委も再稼働を認可できなかった。

 ボロボロに劣化したPWR老朽原子炉群を50年稼働させれば何が起きるのか?
 次の大地震で、我々は思い知ることになるが、そのときは日本という国家の終わりだ。