中国社会における賄賂の「文化」は、すでに2000年以上も前から定着しているもので、いわば中国文明の根底に根ざした民俗であり倫理である。
明朝、清朝にあって、知的階級の若者たちが命がけで科挙試験を目指した理由も、合格して高官になれば、一族郎党を特権階級として社会に君臨させられるほどの巨大な利権が約束されていたからだ。
中国では役人に賄賂を渡さなければ、何一つ話が進まない。以下に解説がある。
中国の腐敗の深刻さ:汚職・腐敗はなぜなくならないのか 日本戦略研究フォーラム(JFSS)2020.08.25
https://agora-web.jp/archives/2047757.html
アヘン戦争前の清王朝:政治腐敗と賄賂の実態
https://history.awaisora.com/2024/09/08/77c89518-a701-44d1-a17d-91a7e8a77c82/
中国共産党は、毛沢東が、文革を通じて物理的に賄賂階級を殲滅し、皆殺しにすることで一時的な「貧しさを前提とした社会的平等」、賄賂のない社会を実現することに成功したかに見えたが、田中角栄が中国経済への支援を約束して経済復興を果たし、社会全体が底辺からの豊かさを獲得するにつれ、あっというまに賄賂文化が復活し、今度は、中国共産党全体が賄賂文化に染まっていった。
現在の中国共産党指導部は、ほぼ全員が海外タックスヘイブンに、家族の名義で数千億〜兆円単位の賄賂による隠し資産を預け、もし中国共産党が瓦解し権力を失うことがあれば、一族郎党引き連れて海外に高飛びして、華僑として生活する計画を持っている。
【パナマ文書】中国資産の密やかな流出 党幹部の親族も 2016年4月7日
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-35984040
以下抜粋
【「モサック・フォンセカ」の中国事業拡大は、中国の最富裕層がいかにオフショア投資に依存しているかという大きいトレンドの証拠だ。
昨年1年で約1兆ドル(約110兆円)が中国外に流出し、外貨準備高をすり減らした。この動きは、中国の経済全体を不安定にさせる可能性がある。そして中国指導層の親族も、海外で資産を貯めているのだ。
元職と現職を含めて少なくとも7人の国家指導者が、「モサック・フォンセカ」が設立したオフショア会社と関わりがあった。7人には、習近平国家主席のほか2人の最高幹部が含まれている。
<現職>
・習近平国家主席――義兄がオフショア会社2社の会長・株主だった
・劉雲山中央政治局常務委員(共産党序列5位)――義理の娘がオフショア会社の会長・株主だった
・張高麗中央政治局常務委員(共産党序列7位)――義理の息子がオフショア会社3社の会長・株主だった
<元職>
・李鵬元首相(1987〜1989年在任)――娘がオフショア会社の会長・株主だった
・賈慶林元政治局常務委員(2002〜2012年在任、共産党序列4位)――孫娘がオフショア会社を所有していた
・曽慶紅元副主席(2002〜2007年在任)――兄弟がオフショア会社の会長だった
・胡耀邦元中国共産党総書記(1982〜1987年在任)――息子がオフショア会社の株主・会長・オーナーだった】
********************************************************
2018年12月27日 20兆米ドルに及ぶ習近平政権の「隠し資産」とは?
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/14913
習近平政権幹部が海外タックスヘイブンに20兆米ドル(日本円にして3000兆円)の金を預けていて、政権崩壊に備え、海外逃亡=高飛び準備をしているというものだ。
この記事は6年も前のものだが、すでに、この段階で中国共産党の今の崩壊が鮮明に見えている。こんな政権は世界のどこにも存在せず、存在することが許されないからだ。
中国指導者、親族利用し資産隠し 習主席は1000億円超 (2024年6月13日) 統一教会の日刊紙なので、額面通り受け取ることはできない。文鮮明ははるかに悪質だった。
https://washingtontimes.jp/2024/06/13/8939/
1000億円は、あまりに少ない。王岐山によって摘発されたチャイナセブンの周永康には2兆円の賄賂隠し資産があたことが知られている。曽慶紅や江沢民は、それどころではない数十兆円規模だと噂されている。だから、習近平の本当の資産も、彼らに匹敵する可能性がある。
究極の経済崩壊を来し、大爆発瓦解を始めている現在の中国共産党は、果たして、この恐ろしい賄賂文化を克服しようとしているのだろうか?
まったく逆で、よってたかって、中国共産党の最期の資産の分捕り合戦が起きていると、渋谷司が指摘している。
巨額の財政出動で中国経済蘇る? 渋谷司の中国カフェ 10月28日
https://www.youtube.com/watch?v=uoiZDCy3EkE
上のリンクの10分40秒くらいから、200兆円の財投を行っても、各段階で、役人がかすめとってポケットに入れるので、実際に効果を持つ投資はほとんど残らないと指摘している。
私は、ある事情で、1960年代末から、中国とかかわりがあった。私は毛沢東の思想に深く感銘し、街中を紅衛兵バッジを身につけ、毛沢東語録を懐に忍ばせる熱烈な親中国派だったのだ。
私は、1971年、名古屋で行われた中国とアメリカのピンポン外交にも警備員として加わって、一部始終を目撃していた。
当時の荘則棟をはじめとする、中国人卓球選手たちの人間性も素晴らしいものだった。
荘則棟は、後に、ピンポン外交の通訳だった女性と結婚したが、中国で迫害を受けて殺されたといわれる。
1970年といえば、文革の真っ最中で、たくさんの嵐のような出来事が起きて、中国社会が激しく変化していった。
私の知る当時の中国社会といえば、「みんなが貧しいが平等な社会」だった。広い道は自転車で埋め尽くされていた。車など軍用車とトラックくらいしかなかった。
だが、報道されない大虐殺が起きていた。毛沢東の指示で、「実権派」とよばれるインテリ階級、資産家階級が片っ端から追求され、殺害されていた。古い、歴史的文化財も片っ端から破壊された。
なぜ、当時の民衆が数千万人といわれる実権派大虐殺を行ったのかといえば、それは、中国の序列社会の伝統に対する激しい憎悪があったからだ。
この当時の中国は、本当に明るくて未来に対する希望に満ちているように見えて好感が持てた。みんな貧しい自転車社会に、不平等や特権階級の悪は存在しないかに見えた。
だが、隠された背後では、文革による凄まじい大虐殺が続いていた。
ところが、1971年のピンポン外交におけるニクソンによる米中国交回復を受けて、事態は一変した。1972年、田中角栄も日中国交回復を行った。
このときから、中国の悪魔が息を吹き返したのだ。
それは、凄まじい中国の工業化によって中国共産党員の資本家階級が生成され、短期間に貧富の格差、序列社会が復活したのである。人々は、「序列の悪魔」に搾取され、迫害されることで地獄社会がやってきた。
中国の工業化に大きな役割を果たしたのが、田中角栄による中国社会への莫大な援助である。
この頃、戦前の植民地支配への賠償として、1966年の国交回復で、韓国に対しては5億ドル、(当時の換算で2000億円、現在価値で数十兆円)の賠償を行い、それが「漢江の奇跡」を産んで、韓国社会を先進国の仲間入りを果たさせた。
ところが、周恩来首相は、「中国へ巨額の賠償を行えば、日本の労働者が苦しむことになる」として、日本による賠償を断った。
結果として、日本は、ODAなどによる実質援助賠償に切り替え、中国社会に対して数百兆円を超える投資をすることになった。これが中国の劇的な経済成長を産み出した。
もし、このODA賠償がなければ、中国共産党が今のように世界の厄介者になることもなかったが、結局、この日本からの援助金が中国共産党の利権を肥え太らせ、中国社会に歴史的な賄賂腐敗社会を完全復活させたのである。
田中角栄は、中国社会を繁栄復活させたのだが、結局その滅亡までもお膳立てすることになった。
革命前、中国は序列国家であり、差別国家だった。底辺の民衆の命は虫けらのように軽かった。
当時の中国社会の雰囲気を知るためには、パールバックの大地や、魯迅の阿Q正伝を読むのがわかりやすい。
https://mihiromer.hatenablog.com/entry/2019/12/21/204515
https://www.aozora.gr.jp/cards/001124/files/42934_16419.html
阿Q正伝を読んでいると、主人公に対する同情と軽蔑が絡み合って、複雑な感情が芽生える。中国における「民衆の死」は、このようなものなのだとため息が出る。
阿Qが無実の罪で処刑されたとき、それを見物に来た人々は、阿Qの体がバラバラになったりするショッキングなものを期待していた。阿Qに対する人間的同情を示した者は皆無だった。そして、この救いのない「命の軽さ」こそが中国の本質なのだと納得させられる。
この「救いのない命の軽さ」を産み出してきたものの正体、それは私は、孔子のつくった儒教であると、このブログで何百回も書いてきた。
儒教の本質は、人間に序列をつけることであり、序列下位の者は、序列上位の者を無条件に敬うことが社会秩序であると人々が洗脳されてゆく。
この思想哲学は、権力者にとって甚だ都合の良いものだったので、中国史における、ほとんどの権力者、国王たちが、民衆に儒教を学ぶよう強制した。
その儒教の集大成が、現代中国であり朝鮮半島である。
儒教を学んだ人々は、人間には生まれながらに犯しがたい序列があるものと勘違いするようになった。
日本では、家康が、林羅山に命じて朱子学を藩制支配の思想教育に取り入れた。
徳川幕府支配下の各藩の藩校や寺子屋などで朱子学教書を導入させた。四書五経や論語などだ。この教育体制は、世界最大のもので、江戸時代の識字率は、世界最高の8割以上に上っていた。しかし、朱子学は、序列主義を日本人に洗脳してしまった。
儒教は、簡単にいえば「エライ順番」である。藩で一番偉いのは殿様、それから家臣のランキングがあって、底辺には士農工商の庶民がくる。
家庭では、父が一番偉く、母は父や家庭の奴隷にすぎない。子を産むための道具に過ぎないというのは、朝鮮儒教ではっきりと示されている。
会社では社長が偉く、上司がエライ、エライ人には無条件服従せよというのが儒教の教えであり、この序列主義のため、ビッグモーターのようなブラック企業が無数に存在している。
日本の自動車企業が不正に手を染めた理由も、ほとんど、この序列主義、権威主義から来ているといわれる。
女性の地位が異様に低い理由も、基本は儒教にある。学歴社会の本質も儒教だ。
北朝鮮の金王朝が、とてつもない非人間性を発揮できている理由も、儒教の序列主義が原因である。北朝鮮では51階級がある。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%87%BA%E8%BA%AB%E6%88%90%E5%88%86
この階級差別のなかで、上に不満を抱いても、下の階級を虐めることで発散できるので、全体の差別システムが保たれる仕組みになっている。これが超理不尽な金王朝が存続できている本当の理由である。
また韓国社会に「水かけババアや、ナッツ姫」が登場する理由にもなっている。
日本で、実力も、人間性もないのに東大卒が尊ばれる理由にもなっている。
儒教の本家、中国では、中国共産党という序列身分があって、この序列の上位に上るためには、必ず賄賂が必要な仕組みが成立してしまっている。
役人の地位を定める権力をもった人間には、巨額の賄賂が入る仕組みなっていて、だからチャイナセブンの周永康は、人を昇進させる権力を利用して2兆円もの蓄財を果たした。
現在、習近平から権力を奪った張又侠もまた、数兆円の昇進蓄財を果たしていることは間違いのないところだ。張又侠は解放軍人事部の総元締めだったのだから。
腐敗によって腐敗をただすことなどできない。だから、腐敗している張又侠が腐敗の総本山としての習近平を糾弾することなどできない。
習近平は、一種の「独裁認知症」になっていたといわれ、「自分の意思に従わないものは皆殺しにする」という強迫観念のなかで生きていると言われている。
張又侠は、その強迫独裁をやめさせることには成功し、世界のすべてを敵に回す政策を取りやめ始めた。インドとの全面戦争への準備をやめたようなのだ。
だから、超無謀なインドの水涸れを期待した人工降雨作戦もやめることだろう。
習の隣国への羊の如き全面譲歩 渋谷司の中国カフェ 2024年11月1日
https://www.youtube.com/watch?v=SkqSqhZNyL8
https://hirukawamura.livedoor.blog/archives/6024109.html
だが、私は、何度も書いてきたが、まだ習近平派には何衛東をはじめ、たくさんの権力者が生きている。いずれ、張又侠派と関ヶ原の決戦をせずにはいられない。
もの凄い内戦が始まるだろう。億単位の死者が出るだろう。
張又侠もまた、台湾侵攻・尖閣侵攻を主張してきた。だから必ずその戦争が起きると予想している。まだ本当の地獄は、これからなのだ。
中国社会は、上から下まで、賄賂による腐敗社会であり、これをまともな方法で是正することなど不可能だ。ただ、凄まじい戦乱に焼き尽くされた焼け跡に、真実を理解した人々によって再建される意外に道はないと私は考える。
コメント
コメントする