2023年8月に、福島第一原発事故に伴う放射能汚染水の海洋投棄が始まった。2025年1月で、17ヶ月目ということになる。
  福島第一原発の廃止措置が完了する2041年から2051年までの間で完了する予定と国が言うが、もちろん、福島事故原発の始末が21世紀中に終わる見通しなど存在しない。
 ところが、みんな東電寄りの報道に馴らされてしまって、放射能汚染水放出の意味を深く考えて警鐘する人が非常に少なくなってしまった。あたかも、放出は日常風景であって、問題になっていないかのようだ。

 すでにフクイチ事故始末に、国は24兆円の税金を注ぎ込んでいる。実際には、東電に貸し付けている分も含めれば、はるかに多い。今世紀中に100兆円を超えるのは確実だろう。
 https://www.tokyo-np.co.jp/article/312473#:~:text=%E7%A6%8F%E5%B3%B6%E5%8E%9F%E7%99%BA%E4%BA%8B%E6%95%85-,%E7%A6%8F%E5%B3%B6%E7%AC%AC1%E5%8E%9F%E7%99%BA%E3%81%AE%E4%BA%8B%E6%95%85%E5%87%A6%E7%90%86%E8%B2%BB%E7%94%A8%E3%81%AF23,%E8%A6%8B%E3%81%88%E3%81%9A%E3%80%81%E3%81%95%E3%82%89%E3%81%AB%E8%86%A8%E3%82%89%E3%82%80%E6%81%90%E3%82%8C

 24兆円を日本の勤労人口6000万人で割ると、一人当たり40万円だ。これだけあれば、日本中の電気料金を数年間無料にできるはずだが、この事故始末費用は、原発発電コストには、一切含まれていない。他の発電システムで、こんな超巨額の事故始末費がかかるものなど存在しない。原発発電コストは無理矢理、安く見せかけられている。

国や東電が、福島第一原発事故の汚染水を海洋放出するに至った本当の理由は、もし汚染水の処理コストを、このまま膨らませると東電の株価が下がるからだといわれている。東電は、株主を安心させるため、もっとも安く上がる処理方法を選んだのだ。
 だが、本当は、巨大廃船タンカーに汚染水を入れて100年も待てば、ほとんどトリチウム放射能は消えてしまう。ただ、ストロンチウム90が消えるには300年かかる。

 フクイチ汚染水の放出計画は、年間で7回の放出を行い、年間放出トリチウム量は約14兆ベクレルというが、実際には22兆ベクレルとの試算もある。
 汚染水について、国は「トリチウム」のことしか言わないが、実際には70種類くらいの核種が含まれ、わけても水溶性で生物危険性の高いストロンチウム90も大量に含まれている。この核種は、二価のカルシウムと同系列なので、生物がとりわけ吸収しやすいので危険性が高いといわれている。

 国や東電の汚染水検査にはストロンチウムXがあまり出てこないが、それは、世論や反対意見への対策として、ALPSを何十回も通して除去しているからで、それがいつまでも続けられるわけではなく、やがて、必ずストロンチウム90濃度の高い汚染水も出てくるだろう。

 仮に、現在、問題になる核種がトリチウムだけであるとしても、生物に対する安全処理などできていない。放射能は屎尿とは異なり、生物分解することができないので、自然消滅(半減期の数十倍程度)を待つことしかできない。
 これを海水で薄めたことで、勝手に「処理」した「安全だ」と言いくるめているのである。
 だが、薄めても生物側には「生物濃縮」という性質があって、どんどん元の危険な濃度に戻ってしまうのだ。

 国際海洋保全条約(ロンドン条約)で明確に放射能や化学廃物質の「希釈投棄」が禁止されているのだが、日本政府は口をつぐんだまま海洋に条約違反の不法投棄を続けている。
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%B3%E6%9D%A1%E7%B4%84_(1972%E5%B9%B4)

 https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/treaty166_5_gai.html

 国や報道機関は、放射能汚染水の放出を「安全だ」と決めつけているが、安全である根拠など存在しない。勝手な解釈のウソばかり羅列している。
 トリチウムの生物毒性を評価するにあたっても、国は、ガス体・水体のトリチウムだけを取り上げて安全性を強調するのだが、実はひどいウソが含まれている。

 確かに、トリチウムA形態のガス体の場合は、弱いベータ線しか出さず、毒性は低い。しかし、水になったトリチウムの毒性は1万倍になる。さらにトリチウムは、水生生物(海藻類)に取り込まれ、光合成を受けることで、有機化されてOBTという有機トリチウムに変化すると、数倍の毒性を持つ。これにはOBT1とOBT2の二種類があり、それぞれ毒性が異なる。

 【OBTに2タイプがある。OBT1は体内で容易に他の化学物質と化学反応を起こす。酸素、硫黄、リン、窒素などの原子と結合してアミノ酸、タンパク質、砂糖、でんぷん、脂質を作る。そして細胞の構造物質を作る。この場合の生物学的半減期は40日である。
OBT2はDNA中の炭素原子と結合する場合であり、この場合には生物学的半減期は550日である。食べ物がOBTを含んでいた場合にはOBT1は一層増加する。拡大したOBTの定義からはエネルギー係数は3とするべき。
• 科学者たちの主張では、OBT1とOBT2からの被ばくは不均質、局所的である。この不均質な被ばくはHTOからの被ばく線量の4倍強い。
• 体内でHTO/47.5%-OBT1/47.5%-OBT2/2.3%の割合で存在した場合には組織h9mGy/yのエネルギーを吸収することとなる。専門家によれば組織について9mGyの被ばくは被ばく線量は18−27mSv、おおよそ20mSvになる。】

 トリチウムガスに比べるとOBTトリチウムの毒性が2.3万倍になり、DNAに取り込まれたものは、DNA原子が突然ヘリウムに壊変することで、崩壊させてしまうため、さらに数倍の毒性を持つようになる。
 http://www.jca.apc.org/mihama/News/news125/news125tritium.pdf

 これは原子力産業監修の百科事典であるATOMICAにも明記されている。
 https://atomica.jaea.go.jp/dic/detail/dic_detail_2269.html
 
https://www.foejapan.org/energy/fukushima/pdf/200414_ban.pdf

 国や東電の言うトリチウムとは、有機化されないガス体トリチウムのことで、これは仮に内部被曝しても40日の生物半減期で排泄されるといわれる。生物濃縮はされない。
 ところが、OBT形態の有機化トリチウムの生物半減期は、1〜2年の可能性があり、生物濃縮される。トリチウムの物理半減期は、12.3年と長く、100年後でも残っている。
 有機トリチウムは、海洋生物連鎖のなかで、どんどん濃縮される可能性があり、1〜2年という短期間でなく10〜20年の長期間で、濃縮を見なければならない。

 つまり、現在行われている福島沖の放射能汚染水投棄は、トリチウムが藻類などの光合成によりOBT化されてから、太平洋の魚の体内に蓄積し、次々と食物連鎖のなかで濃縮し、10年、20年後に、上位生物である鮪やクジラに蓄積される可能性があるのだ。
 だから、今の福島沖魚類のトリチウムを計測することの意味はほとんどない。

 トリチウムの毒性を研究したものとして、グリーンピースによるカナダ、ピッカリング原発環境調査がある。
 ピッカリング原発では、稼働後、周辺地域でダウン症が85%増加したことをグリーンピースが明らかにした。
 http://www.inaco.co.jp/isaac/shiryo/genpatsu/tritium_1.html

 だから、生物濃縮されたOBTトリチウムを含んだ魚介類を食べた人々の子供に、ダウン症児が生まれてくる可能性も軽視できないのだ。
 それは、10〜20年の後に起きてくる可能性がある。

 以下に、6年前に、西尾正道氏が明らかにした、日刊ゲンダイの記事を紹介する。
 西尾正道氏による、汚染水海洋投棄が人類を滅亡させる指摘  日刊ゲンダイ 2019年12月02日
 https://hirukawamura.livedoor.blog/archives/5827727.html

   西尾正道氏 原発汚染水の海洋放出は人類への“緩慢な殺人”
2019/12/02
 https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/265439

 最近はすっかり“安全運転”になっている小泉進次郎環境相だが、就任直後、まず発言に窮したのが福島第1原発の汚染水問題だった。
 前任大臣が離任直前「海洋放出しかない」と“宿題”を投げ、小泉氏の見解に注目が集まったのだ。敷地内での保管に限界が迫り、海洋放出論は加速している。
 これに強く警鐘を鳴らすのが、内部被曝を利用したがんの放射線治療に長年携わってきた医師で北海道がんセンター名誉院長の西尾正道さん。がんと核をめぐる闇を語った。

 ――放射能汚染水の処理について海に投棄されれば希釈されて大丈夫だという声もありますが反対の立場ですね。

 大量の汚染水は貯蔵の限界に迫っています。汚染水放出について、国の有識者会議は5つの処分方法を提示しています。費用は34億円から3976億円の幅がありますが、一番安価なのが海洋放出。
だから海洋放出をしようとしているわけです。しかし、廃炉が決まった福島第2原発の敷地は広大に空いていますから、そちらに大きなタンクを造り貯蔵すればよいのです。

  ――自然界にも放射性物質はあるから、放出は安全だという声もあります。
 自然界の放射性物質はもともとごく微量で、ほとんどが大気中核実験や原発稼働によって自然界が汚染されて急増したものです。このため放射性物質であるトリチウム(三重水素)は1950年の約1000倍の濃度になっています。汚染水に大量のトリチウムが含まれるから危険なのです。

 ――どのように危険なのでしょうか。
 トリチウム(半減期は12・3年)はベータ線を出しヘリウムに変わりますが、水素としての体内動態を取ります。細胞内の核の中にも水素として入り放射線を出します。このため、低濃度でも人間のリンパ球に染色体異常を起こすと、74年の日本放射線影響学会で報告されています。
ドイツでも原発周辺のがんと白血病の調査をして、子どもに影響があると結果が出ています。

 カナダでもトリチウムを大量に排出する重水炉型原発の周辺で小児白血病の増加、新生児死亡の増加、ダウン症などの健康被害が報告されました。米国でも原発立地地域では乳がんが多い。
 トリチウムは脂肪組織での残留時間が長いためです。これらは統計的にも有意です。原発から近いほど濃度が高いのです。

 ――稼働させているだけで放射性物質が放出されれば原発はクリーンエネルギーとはいえませんね。
 日本でも全国一トリチウム放出量が多い佐賀県の玄海原発の稼働後に、白血病死亡率が高まりました。
北海道でも泊原発のある泊村は原発稼働後数年して、がん死亡率が道内市区町村でトップになりました。
加圧水型原子炉はトリチウムの排出量が多いからです。ノーベル物理学賞受賞者の小柴昌俊さんも2003年に「トリチウムを燃料とする核融合はきわめて危険で、中止してほしい」という嘆願書を当時の小泉純一郎首相に提出しています。

 ■DNAに取り込まれ内部被曝が続く
 ――トリチウム被曝はどのようなメカニズムで人体に影響するのですか。
 まず内部被曝は、取り込まれた放射性物質の周囲の細胞だけを被曝させます。
トリチウムのベータ線は体内で約10マイクロメートル(0・01ミリ)の距離しか届きませんが、トリチウムは水素として細胞に取り込まれて内部被曝させます。
体内の有機物と結合して有機結合型トリチウムになり、排泄が遅くなり、体内に長くとどまります。

 DNA(デオキシリボ核酸)の中にも入り込み、また遺伝情報を持つDNAを構成している塩基の化学構造式の中にも水素として取り込まれ、ベータ線を出してヘリウムに変われば塩基の化学構造式を変化させ、健康被害につながります。
また、遺伝情報を持つDNAの二重らせん構造は4つの塩基で構成されていますが、この二重らせん構造は水素結合力でつながっているので、水素として取り込まれたトリチウムがヘリウムに変われば水素結合力も失われます。

 ――化学構造式まで変える特異な放射性物質だと。これまでトリチウムの内部被曝についてあまり耳にしませんでした。
 目薬も全身ではなく目に滴下するから効くわけです。同様に放射線は当たった細胞や部位にしか影響しません。放射性微粒子が鼻腔内に付着すれば鼻血の原因にもなるのです。内部被曝の放射線量をまったく当たっていない部位まで含めて全身化換算してシーベルト(Sv)で評価するICRP(国際放射線防護委員会)理論では、内部被曝の数値は超極小化されてしまって、内部被曝の人体影響は評価できません。

 ――内部被曝がピンポイントで被曝することをICRPは誤読させている。
 原爆製造のマンハッタン計画に関わった核物理学者を中心につくられたNCRP(米国放射線防護審議会)が、衣替えをして1950年に設立したのがICRPなのです。
ICRPは内部被曝に関する審議を打ち切り、内部被曝を隠蔽・軽視し、原子力政策を推進してきました。
ICRPは国際的な原子力推進勢力から膨大な資金援助を受けてきた民間のNPO団体に過ぎませんが、その報告をもとに各国はさまざまな対応をしてきました。実証性のないエセ科学にもかかわらず。

 このままでは日本人の3分の2ががん患者
 ――日本はどうでしょう。
 日本政府もトリチウムが危険だとわかっているからこそ隠してきました。米国は広島・長崎の原爆投下後も残留放射線や内部被曝はないとし、その後の歴史は内部被曝を隠蔽・軽視する姿勢が続いています。
がんは50年ごろから世界中で増えています。がんは生活習慣病ではなく生活環境病なのです。

 日本では40歳代から死因のトップががん死となりました。このままいけば日本人の3分の2ががんに罹患するでしょう。
これからの日本社会は放射線被曝だけではなく、農薬の残留基準値も世界一緩いデタラメな対応と遺伝子組み換え食品の普及による多重複合汚染の生活環境により、健康が損なわれると思います。

 ■科学には表と裏、光と影がある
 ――現代版「複合汚染」による健康被害があると。
 それにトリチウムの排出規制基準も日本は異常に緩く、日本の飲料水基準は1リットル当たり6万ベクレルです。これは日本で最初に稼働した福島第1原発が年間20兆ベクレルのトリチウムを排出していたことから、国は放出基準を22兆ベクレルとしました。それが理由で、医学的な根拠はまったくありません。

 ちなみにWHO(世界保健機関)が1万ベクレルで、米国が740ベクレルです。日本政府は「小学生のための放射線副読本」でも放射性物質は人体への影響はないと嘘の安全・安心神話をばらまいていますが、国民はICRPのフェイクサイエンスとデタラメな行政の催眠術から目を覚ますべきです。

 ――汚染水が海洋放出されると内部被曝はさらに悪化しますね。
 トリチウムは食物連鎖で次々に生物濃縮します。動物実験で母乳を通して子どもに残留することも報告されています。処理コストが安いからといって海洋放出することは人類に対する緩慢な殺人行為です。

 ――原発敷地内にたまってしまった汚染水の解決方法はありますか。
 汚染水からトリチウムを分離する技術を近畿大学が特許申請中で、それが実現すれば海に流すことができます。汚染水の原因となっているメルトダウンをロボットを使用して処理しようとしていますが、ロボットのCPUも高線量が当たれば壊れます。最終的にはチェルノブイリ原発と同様に原子炉全体を箱に入れるように覆う石棺化しかありません。

 ――自著の「患者よ、がんと賢く闘え!」では、放射線の光と闇について書かれていますね。
  放射線治療はまさに放射線の光の世界です。しかし、医学部教育の問題もあり、医師もよく理解していません。放射線の治療と診断はまったく別領域なのに、日本では診断学と治療学に講座が分かれている医学部は3分の1しかありません。

 結果として日本のがん治療では放射線治療が上手に使用されていません。そのため放射線治療の啓発のために私は「市民のためのがん治療の会」という患者会活動を支援しています。科学や情報には常に表と裏、光と影が存在します。一番大切なことは科学的に議論をしていくことではないでしょうか。

(聞き手=平井康嗣/日刊ゲンダイ)

 ▽にしお・まさみち 1947年、函館市生まれ。札幌医科大学卒業後、国立札幌病院・北海道地方がんセンター(現北海道がんセンター)放射線科に勤務、約40年間がん治療の現場で放射線治療を続ける。2013年4月から現職。「市民のためのがん治療の会」を主宰。07年北海道医師会賞、北海道知事賞受賞。医学領域の専門学術論文など著書多数。
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 引用以上

 以下は私のブログ
 トリチウム (2016年01月06日)
 http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-106.html

 土岐市・多治見市における重水素核融合実験のトリチウムと中性子 (2016年02月17日)
 http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-56.html

もしかしたら、トリチウムが本当に人類を滅亡させるかもしれない。(2019年04月24日)
 http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-722.html

 実は、福島第一原発トリチウム汚染水の問題は、決してトリチウムだけではない。ストロンチウム90も深刻な影響を内包している。
 https://www.asahi.com/articles/ASL9X6HQ3L9XULBJ014.html

  海へ放流するという福島汚染水、関連資料もでたらめ
  http://japan.hani.co.kr/arti/international/31906.html

 福島 汚染水の海洋投棄許すな 沿岸漁民・漁業に壊滅的打撃 経産省公聴会で怒りが爆発 (2018年12月10日)
 http://www.zenshin.org/zh/f-kiji/2018/12/f29970301.html

福島原発事故放射能汚染水の行方 2024年08月28日
 https://hirukawamura.livedoor.blog/archives/6158660.html