「捕らぬ狸の皮算用」
 計画のなかでウハウハの成果が得られるはずだった事業も、実際にやってみると目論見が外れて、とんでもない負の遺産になってしまうことは珍しくもない。

 私の家の近所に、恵那峡という奇岩怪石のそびえる美しい木曽川の名所があって、恵那峡大橋の袂に、聖ラファエル教会という名の素晴らしい教会が建っている。
 だが、今では、それは工事用シートに包まれて、無残な姿をさらけ出している。
 それは、おそろしく雰囲気のいい、西洋の修道院を模した結婚式場だった。

 記憶では、2010年頃、それまで普通の教会で礼拝も行われていたようだが、突然、大規模な修道院風の改修を行って、立派な結婚式場になった。
 ちょうど、安倍晋三政権が消費税など大増税政策を行い、日本経済全体が萎縮して人々が貧しくなりはじめていた時期だったので、私は、これを冷ややかな目で見て、自民党によって失敗が約束されているのに、よくやるわ……と思った。

 経営者は少しだけ知っている人で、ロールスロイスに乗って恵那駅近傍に大豪邸を構えていたが、結婚式場に閑古鳥が鳴くとともに、いつのまにか、あの瀟洒な豪邸も更地になっていた。彼は、確か軽自動車に乗り換えていた。
 以来、見かけていないので、引っ越したか、亡くなったのかもしれない。

 今、我々には、維新の肝いりだった関西万博という事業の大失敗が見え始めている。
 これが計画承認されたのは、まだ日本経済がまともだった2018年のBIE総会で、当時、関西政界の主導権を握っていた維新勢力が、自分たちの躍進の象徴的事業を欲しがっていた時期だった。

 1970年の吹田万博の大成功を目に焼き付けた関西の権力者たちが、再び万博をやって景気をつけたい気持ちは分からないでもないが、1970年〜2025年という55年間の時間が意味することを、維新のメンバーは誰一人理解していなかった。
 万博推進の核心人物は、吉村洋文大阪知事で、彼は1975年産まれであって、吹田万博など、何一つ知らない。松井一郎元大阪市長でさえ、1964年生まれで、吹田万博は6歳のときだ。
 維新の全員が、「賑やかだったな」程度の感傷しか持っていないだろう。

 さて、その55年間に変化したものは、情報通信の進化?(私には退化に見えるが)だった。まず、マイコンが開発されたのが、1971年で、万博の翌年だった。
 私は、この頃、8080キットを買って、自分で機械語を組んで豆電球を点滅させて喜んでいた。

 次に、日本社会にパソコンが出回り始めたのが、1970年代後半で、デパートでタンディやアップル、コモドールが数十万円の価格で売られるようになった。
 それを見て、私はよだれたらたら状態だったが、さすがに手が出なかった。
 シャープからMZ80が発売されると、私は我慢できずに東尋坊から飛び降りる勢いで、それを購入した。当時で軽自動車が買える価格だったと思う。
 それが私の生活を豊かにするのに役立ったかといえば、絶対にない。私はパソコンのせいで、周囲に迷惑をかけ、生活の質を落としただけだった。

 それから、買ったパソコンは、延べ数十台だが、今は中古の2万円以下のパソコンを何台も利用している。
 ただ、パソコンが自由にハッキングできるものであって、絶対に金融機能を利用してはならないことだけを理解することができ、おかげでネット詐欺の被害に遭わずにすんでいる。
 今でも、ネット通販は、銀行振り込みとコンビニ支払い以外の手段を利用していない。
 まあ、私にとってパソコンとは、情報収集機能とワープロ機能だけの代物だ。

 この半世紀、パソコンによって、社会にどういう変化をもたらしたのか? 私は逐一、確認することができた。
 パソコンとインターネットの出現によって、人間社会は大きく変わった。それは、生活インフラのあらゆる場面にマイコンが使われるようになったこと、したがって、マイコンが太陽風磁気(あるいはEMP)破壊を受けるなら、人間社会のすべてのインフラが崩壊することを知ることができた。
 このことは、ブログで何十回も書いている。
 https://hirukawamura.livedoor.blog/archives/6182725.html

 インターネットは、既存のメディアの情報媒体としての必要性を奪ってしまった。かつて情報通信の旗手だった、新聞やテレビ、週刊誌などオールドメディアは、人間が生きてゆく上で必要なアイテムではなくなってしまったのだ。
 生きてゆくために必要な情報は、すべてインターネットの上にある。だから、必要なものはスマホかパソコンだけであり、新聞もテレビも、もういらないのだ。
 我々は、ネット上の仮想空間のなかで生かされるようになった。

 吉村洋文ら、維新の政治家たちには、この意味が理解できなかったらしい。
 世界の人々は、もう現物に触れる必要もなく、ネット上の仮想空間で必要な情報を正確に入手できるようになった。
 万博など行く必要もなく、世界の最先端のモデルを見聞することができるのだ。
 万博は、テレビや新聞、週刊誌と同じく、オールドメディアの延長である。それは必要とされなくなったものなのだ。

 だから、万博が失敗するのは、あまりにも分かりきった必然である。
 世界中の人々は、現物を見るまでもなく、詳細な情報をネットで得られるのだから、メタンガスで吹っ飛ばされるリスクを冒してまで万博会場に足を運ぶ意味が存在しない。
 本当のことを言えば、吉村や松井も、そのことを薄々理解していたはずだ。だが、なぜ強行したのか? それはIRカジノの誘致に、万博を口実として、巨額の金を使いたかったのだ。
 https://hirukawamura.livedoor.blog/archives/6181480.html

 このような収益性の不明瞭な事業には、たくさんのおこぼれ利権がついてくるので、維新の背後にいる竹中平蔵が、それを狙わないはずはなかった。
 万博の整備費は、当初の1700億円ではなく、今では2500億円になっているが、実は、同時期に実現される万博とIRカジノのインフラ環境整備費は、実に10兆円である。
 
万博はアレもコレも紐づけ「総費用10兆円」到達も! 壮大すぎるインフラ整備計画の全容 日刊ゲンダイ 2023/12/05
  https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/332941

 維新の本当の目的は、万博を口実にしたIRカジノのインフラ整備にあったというのは、今では常識といっていい。
 だから、ネット社会になった現在、大阪万博にまで足を運ぶ人々が少ないことは分かりきっていた。それでもよかった。失敗しても本当の目的はカジノ場建設だったのだから。

 それでも、今年行われる大阪万博が、史上空前の悲惨な大失敗になることが約束され、その責任を吉村博文と維新が負わされる事態になることは避けられない。
 なにせ、大阪府民が負担すべき、失敗のツケは、勤労者一人あたり何百万円になる可能性があるので、実益を重視する人々が、黙っているはずがない。
 維新勢力は、終わったも同然なのだ。

 そしてIR事業の利権が、中国共産党直営企業になることもはっきりしてきた。
 アメリカ司法省が、カジノの運営母体になるため、日本の政治家に巨額の賄賂を渡した事実を暴露したのだ。
 https://www.yomiuri.co.jp/world/20241130-OYT1T50153/

 このなかには、岩屋毅外務大臣の名前も上がったが、その額は当初、100万円とみられていた。しかし、その後の調べで、5000万円の賄賂が岩屋外相に渡った可能性が浮上してきた。
 https://gendai.media/articles/-/145078
 そうでなければ、岩屋が中国共産党富裕層に10年間の特別ビザを約束するはずがないのだ。
 https://coki.jp/article/column/42594/

 岩屋外相は、トランプ大統領就任式に出席する意向だが、アメリカからは、そのとき収賄容疑で逮捕されるという噂も出ている。だとすれば出席を拒否するはずだが……。

 今回のブログの主題は、どんなに精緻に組み上げた計画システムであっても、現実の変化の前には脆弱なものであり、失敗が避けられないものということを書くつもりだった。
 何せ、この文明の成果が、X100太陽風の地球軌道直撃で一瞬にして、200年前に戻るという、とんでもない脆弱性があるのだ。
 そのチャンスは、10年に一度だという。太陽風が地球を直撃しなければ問題は起きないのだが……。

 中国共産党は、自らの巨大な利権を守り抜くため、過去数十年にわたって、人民の監視システムを構築してきた。
 街頭に数百万個の監視カメラを設置し、顔認証システムAIにつなぎ、民衆の一挙一頭足を掌握し、強制的に従わせるものだった。
 だが、そのシステムは、ひどく脆弱であり、「すべては金次第」という仕組みから、金の切れ目が、システムの切れ目になっている現実を、妙佛が報告している。

 2025-01-20 人民監視システム「天網」も「先立つもの」枯渇問題に直面していた
 https://www.youtube.com/watch?v=4a3Car8BZCs

 このコンテンツを見て、私も同じように、システムの無力さに打ちひしがれているのだ。
 私は、近所に住むプロ泥棒Aの侵入と窃盗の被害に遭い続けてきた。それは今でも続いている。昨日の深夜も、遠くで咳払い音と、かすかなたばこの臭いを感じ、Aが我が家の裏側にいることを感じた。
 実は裏庭のフェンスがガタガタに崩壊していて、いつでも自由に侵入できるようになっていた。しかし、家の周囲に電線を張っているので、Aは窃盗を諦めたと思う。以前に、二回ほど感電したことが分かっている。

 このAの侵入を警察に報告し、被害届を出そうとしたが、中津川警察は、「全部ウソだ」と決めつけた。それどころか、私を精神病院に連れて行って、危うく強制入院させられそうになった。
 姉が「私の弟はウソをつく人間ではない」と、断固、入院承諾を拒否したため私は帰された。

 そこで、Aの侵入証拠がなければ、裁判に持ち込めないと、私は監視カメラを10台も設置した。
 だが、その監視カメラをAは悠々とすり抜けて窃盗を繰り返した。自分が写ったと思ったカメラはSDカードを抜き去り、またカメラそのものを盗んでいった。

 それでも他のカメラになぜ写らないのか? と調べると、電池が切れていたり、センサーが反応して数秒後に撮影が始まったりと、機能的に大きな問題があった。
 監視カメラで法的証拠を把握するためには、すべてのカメラの電池と機能を点検し、厳密に作動をテストする必要があった。
 私は、実に甘かった。監視カメラを有効化するのは、そんなに簡単なものではないのだ。

 Aは、そうした弱点を知り抜いた超ベテランの泥棒だった。これほどの侵入スキルなど想像もしていなかった。
 私も、肺線維症で鬱病になり、思考も体力も衰えていたが、回復するとともに、Aのもの凄いプロスキルに、半端な姿勢では問題解決できないことを思い知った。

 侵入防止のために、自分で完璧なシステムを構築したつもりでも、実際にはAの手にかかれば穴だらけの無意味なシステムだったのだ。
 私の対策とシステムに対する信頼は、地に墜ちた。自分は愚かな人間であることを思い知らされた。
 もの凄い場数経験の上に立つプロ泥棒の前には、あらゆる手段を講じても半端な穴だらけのものしかできないのである。

 それは、Aの問題だけでなく、世の中の「対策とシステム」すべてに共通する問題である。何もかも、詳しく調べれば穴だらけなのだ。完璧など不可能だ。
 それは、世界でもっとも厳格な監視システムを持った刑務所を悠々と脱獄してみせたラッセルらの記事を見れば分かる。

 https://minakoro.com/post-2946-2946
 https://zatsugaku-mystery.com/jailbreak-king/
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BD%E9%B3%A5%E7%94%B1%E6%A0%84
 
 それでは、結局、何が有効なのかといえば、「絶対に許さない」という意思と、無制限の努力の積み重ねしかない。
 「これだけやったのだから、これを突破されたなら、諦めるしかない」
 という姿勢に尽きるのではないだろうか?