昨年から、にわかに浮上した上関町の「中間貯蔵施設」。
 これは再処理前の使用済み核燃料の一時保管施設というタテマエだが、実際には、青森県に建設されて失敗を続けている六カ所村再処理工場の稼働が、ほぼ絶望的なため、多くの識者が「最終貯蔵施設」と考えている。

 【中国電力】山口・上関町に使用済み核燃料“中間貯蔵施設”建設提案へ 2024年1月
  https://www.youtube.com/watch?v=ZW7LKRD5QAk

 どうして六カ所村再処理工場が、1993年に着工し、1997年完成予定だったものが、28年後の2025年現在、27回の完成延期を経て、現在もなお通常稼働には、ほど遠い未完状態になっているのか?
 これまで投じられた血税は、20兆円を大きく超えるといわれる。

 稼働しなくとも、年間1100億円の維持費が必要になり、高速増殖炉もんじゅと並ぶ、日本の核開発の超巨額の「負の遺産」となっている。
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AD%E3%83%B6%E6%89%80%E5%86%8D%E5%87%A6%E7%90%86%E5%B7%A5%E5%A0%B4

 再処理工場 動かなくても年1100億円 維持費 「もんじゅ」の5倍強 核燃料サイクル事業 東京新聞 2012年5月14日
 https://www.tokyo-np.co.jp/article/236495

 そして、私がGDFREAK(統計データ)から抽出した、2014年の周辺自治体の健康被害は凄まじいものになっていた。わずか数ヶ月の試験稼働で、恐ろしい結果を招いている。
 https://hirukawamura.livedoor.blog/archives/5828328.html
 もし、これで本格稼働したなら、青森県周辺の住民は全滅するのではないかと疑うほどだ……。

 現在のところ、再処理工場が稼働に成功しない最大の理由は、使用済み核燃料を溶液で溶解して、化学的にプルトニウムXを取り出す工程で、MOX燃料中に白金族が大量に生成されていて、これが硝酸や王水にさえ溶けないため、どうやっても液体化処理できないという問題である。

 王水や塩化処理した塩酸で溶解する手段もあるのだが、容器の耐久性が問題で、純銀容器を用いても、すぐにピンホールが開いて、使用済み核燃料が環境に漏れ出すという問題が解決できないため、通常稼働ができないと考えられている。

 またプルトニウムX中には、核反応にひどく敏感なプルトニウム240が含まれプルトニウム239との分離が困難で、臨界を制御することが非常に困難な技術であることも未解決問題になっている。
 (「キシュティムの悲劇」も使用済核燃料保管タンクで、Pu240が濃縮され、臨界を引き起こした可能性が指摘されている)
 https://www.hiroshimapeacemedia.jp/?exposure=20121220175902125_ja

 これらの問題は、日本が再処理を委託している欧州のラアーグやシースケール再処理工場では解決できているのか? という確度の高い情報も存在しない。もしかしたら、欧州再処理工場でも、本当には解決できず、環境汚染を引き起こしている疑いもある。
 まして、ロシアや中国(蘭州)の再処理工場の技術には強い疑いが向けられている。

 つまり、再処理工場というのは、人類の手に余る技術であって、使用済み核燃料は、80年前の核開発当初から「トイレなき核開発」であって、人類は一度も、まともな安全処理に成功していない。
 人類の核開発は、人類の未来を暗黒に覆うほどの欠陥技術でありながら、一度も克服に成功していない。世界中で、「安全な再処理」に成功しておらず、「未来における科学技術の発展と問題解決」に見通しもないまま勝手に期待し、見切り発車した「ブレーキのない列車」 「トイレなきマンション」を動かしているようなものだ。

 したがって、日本の核開発も、使用済み核燃料が安全に処分された実績はゼロのままである。
 54基の原子炉で、半世紀を超える稼働のなかで発生した数万トンに及ぶ使用済み核燃料は、最終処理が不可能な状態で、行き先がないため、各原発のプールで保管するしかない状態で、どこの原発も、使用済み核燃料保管プールが容量満杯寸前であり、これを放置すれば、臨界事故の危険性も出てくる。これも原発の再稼働を阻む要因になっている。

 そこで、どうしても柏崎原発を再稼働したい東京電力は、満杯に近い柏崎原発の使用済み核燃料をどうしても移動させなければならなくなり、六カ所村に「中間貯蔵施設」という名前の、事実上の「最終処分場」を建設し、使用済み核燃料を移動させた。
 
  青森県むつ市、使用済み核燃料中間貯蔵施設とは 2024年09月26日
 https://hirukawamura.livedoor.blog/archives/6165164.html

 冒頭の記事は、山口県上関町に二つ目の「中間貯蔵施設」を作る計画を発表したもので、2024年年末には、地盤調査を終えて本格的導入に動き出している。
  https://www.chugoku-np.co.jp/articles/-/580409

 中国電力が、上関町に中間貯蔵施設を建設したい理由は、関西電力の原発群の保管プールが、どこも満杯になり、また日本で三番目に古い島根原発が年末に再稼働し、使用済み核燃料の保管プールが満杯になっていて、大至急、移転させなければならない事情があるからだろう。
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B3%B6%E6%A0%B9%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB%E6%89%80

 もちろん、上関「中間貯蔵施設」も、六カ所村再処理工場の稼働が不可能な現在、事実上の「最終処分場」となるので、それにふさわしい大規模な施設になっている。

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 上の、周防大島に隣接したアウトラインが上関町だが、すぐ南に世界最大級の中央構造線(日本列島断層)が走っていて、真上に伊方原発が可動している。
 だから、この施設は、たぶん、西日本全域の使用済み核燃料の最終処分場になることが確定している。
 また、阿蘇山巨大噴火で火砕流に襲われたり、巨大地震の震源地になる可能性が十分にあって、施設の安全性は、まるで福島第一原発なみというしかない。

 阿蘇山の歴史的噴火では、9万年前の巨大噴火のとき、阿蘇山の火砕流が周防灘を渡って秋芳洞にまで達したことが確認されている。
 また7300年前の鬼海カルデラ大噴火では、火砕流と火山灰が西日本の縄文文化を全滅させた。

 使用済み核燃料は、ウラン235燃料で50年間、プルトニウム239燃料で500年の強制冷却期間が必要である。冷却が途絶えると、中身の恐ろしい放射能(セシウムやマイナーアクチノイド)が環境に飛び出してくる。
 その後、100度以下になった核燃料キャスクを「地層処分」と称して、地下深いトンネルに収容し、100万年を超える隔離保管によって、やっと危険性が消えるのだ。

 だが、500年も安定した政権など人類史に存在しない。もしも政権が変わって中国のような独裁政権になれば、安全性など考慮の対象外になるだろう。
 500年間に、火砕流に襲われたり、巨大地震で施設が破壊され冷却が途絶える可能性がかなり大きな確率で存在している。
 それが分かっていても、フクイチ事故のように、恐ろしいリスクを見てみないふりをするしかないのが、資本主義の産業というものだ。人類滅亡リスクよりも株価が大切なのだ。

 人類は、「核開発」という「ブレーキのない列車」に乗り込んでしまった。
 それは時速300Kmで走る新幹線が、巨大事故を起こす乗客のリスクに匹敵している。
 全人類と全生物が、勝手に「ありもしない未来の科学技術」に期待して、見切り発車した列車に乗り込んでいる現実を理解すべきだ。

 原発の厄介な排泄物 長周新聞 2025年1月26日
 https://www.chosyu-journal.jp/column/33612

 なぜ原発すら建てさせていない山口県が関西電力の使用済み核燃料のゴミ捨て場にされないといけないのか?
 「原発の墓場」ならぬ「原発がはき出したゴミの墓場」にされないといけないのか? これは山口県民の誰もが抱いている疑問で、昨年より突如として持ち上がった上関町への中間貯蔵施設の建設計画について、ほとんどの人が納得していない状態である。

 大概の人が、郷土山口県がなぜ核のゴミ溜めにされないといけないのか?と思っているし、福井県が「よそに持っていけ!」と憤慨しているものについて、有り難がって受け入れるいわれなどないのである。
 これを立地にかかる法制度(合意形成の在り方等)が未整備であることを逆手にとって、上関町のみの合意で強行するなどもってのほかで、周辺自治体が声を上げるのは当然である。

 使用済み核燃料の最終処分までをうたった「核燃料サイクル」が実質的に破綻しているもとで、全国の原発は何十年と吐き出し続けた使用済み核燃料の持っていき場がなく、実は原発屋内のプールに大量に溜め込んで冷却し続けていたというのは、福島第1原発の爆発事故後にみなが周知することとなった。

 もともと「トイレなきマンション」ともいわれてきた原発であるが、その厄介な排泄物の最終処分の方策もないまま、ただただ稼働させて、ゴミである使用済み核燃料は貯まり続ける一方だったからである。
 これがスットン便所ならバキュームカーで回収もしてもらえるが、使用済み核燃料とは強烈な放射性物質を放ち、保管期間は数万年ともいわれるきわめて危険な代物であり、それこそ最終処分の方法など確立されていないのである。

 「核燃料サイクル」の肝となる青森県六ヶ所村の使用済み核燃料再処理工場は30年近くたっても完成する見込みなどなく、1年ごとに完成を延期する「やるやる」詐欺みたいなことをくり返している。
 それは国際社会に向かって、「核燃料サイクルを実現するつもりなのです」とアピールしているだけで表向きのポーズにすぎず、実際には技術的にも完成する目処などない――。

 だから「中間貯蔵施設」みたいなものを青森県むつ市に作り(東電と原電)、ひとまず原発施設内のプールからかわして、50年間の時間稼ぎをしようというにすぎない。数万年の保管が必要なのに、50年以後にどうするかなど答えは何もないのだ。

 福井県に原発銀座を抱える関西電力もまた、それぞれの原発施設内で保管できる容量が軒並み80%超えとなり、それなのに再稼働したものだからさらに使用済み核燃料が増え続け、「あと○年で限界!」などといっている。
 そして、そんな関西電力に媚びを売るように中電が飛び出してきて、排泄補助みたいな立ち居振る舞いをしていることについては、田舎電力の悲哀すら感じさせるものがある。

 「漏れる! 限界!」と関西電力が叫んでいるのに対して、一般の山口県民からすると「知らんがな」であるが、単純な話が、そんなに限界で漏れそうで困っているなら、まず第一に原発再稼働などしなければいいし、即刻原子炉を停止させればいいだけなのである。

 使用済み核燃料を生み出し続ける行為をやめることなく、一方で「大変だ!」などと騒ぐのは本末転倒であり、ちょっと頭がおかしいのではないか? と思うのである。しかも、オマエとこの原発の排泄物をなぜわたしたちの郷土に持ち込むのか? である。まったくもって失礼な話であり、このような案件を下請企業みたく中電が進めていることへの違和感たるやない。

 目下、「中間貯蔵施設」などと呼称されているものの、核燃料サイクルが確立されていないもとでは実質の最終処分場である。
 あからさまにいってしまえば使用済み核燃料のゴミ捨て場である。このような施設を山口県に、上関町に受け入れ、数万年先まで保管がしいられる可能性もあることについて、県知事選や国政選挙、あるいは周辺自治体の各種選挙において重大な争点として問わなければならない。
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 引用以上 痛快に分析してくれているので、余計な注釈はしない。