ロシアと言えば、イワン雷帝の時代から、侵略と膨張を繰り返して周辺諸国を恐れさせてきた。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%B34%E4%B8%96
ロシアの国是は、「人を力の恐怖で従える」というものだ。
現在でもなお、ロシア人の基本的な人生観、価値観になっているので。ロシアでは競合者を力で叩き潰して強さを誇ることが、最大の価値であると認識が共有されている。
ヒョードルやカレリンがロシア思想の象徴として、もてはやされ、尊敬されるのは、こういうことだ。プーチンが、やたらとタフガイを演じ続けたのも同じだ。
だから、自分たちの領土を一寸たりとも渡したり、譲歩したりすることを拒絶しなければ指導者は尊敬されない。日本の北方領土の歴史的正当性が明らかであっても、ロシアが難癖をつけて返還しない理由も、「他人を力でねじ伏せる」ことが正義であるとの国是、共有された価値観からだ。
もし返還でもしたなら、「弱腰を見せて国土を売った」との世論が湧き出すのだ。
ロシアは膨張体質だ。ロシアの人口は、約1.4億人と日本よりも少しだけ多いが、領土は地球上最大の1710万平方キロ、日本の約38万平方キロの約45倍である。
1990年のソ連崩壊まで、2240万平方キロだったので、ロシア国民は、これを回復することをプーチンに求めてきた。それがウクライナ侵略の本質だ。
ロシア国内でウクライナ戦争の反戦、厭戦世論が爆発しなかった理由は、ロシア国民が膨張主義を容認しているからだ。
ロシアは自国領土を戦争で強奪することで拡大してきたので、ウクライナなど、旧ソ連領土は自分たちのものであり、戦争で復旧することが当然と認識している。
もちろん、プーチンが君臨したKGB→FSBの世論工作や、ロシア最大宗教であるロシア正教がプーチンを全面支持していることも大きい。
ロシア正教の最高司祭=ウラディーミル・ミハイロヴィチ・グンヂャエフ(キリル一世)は、プーチンがFSBトップ時代に送り込んだ世論操作工作員であることが有名だ。
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/29637?page=1
さて、ウクライナ戦争が長期化するなかで、膨大な国土を抱えて、兵站輸送能力の問題から、短期決戦しかできない体質のロシアが、長期戦に引きずり込まれ、いよいよ兵站の弱さを突かれて、戦況の悪化が濃厚になってきた。
これは、ウクライナ戦争が始まった2022年頃から、戦争の専門家が一様に指摘してきたことだ。ロシアの兵站では、3年以上の長期戦争は戦えない…。
最初に兵站の重要性を説いたのは、「孫子の兵法」である。
その80 孫子の兵法〜輸送・補給は、前線部隊を支援するための生命線 2020年6月1日
https://hayashi-hideomi.com/series/7305.html
侵略戦争を行い、地元民を敵に回した兵站距離の長い国は、長期戦を戦うことができないという原理は、すでに二千数百年も前から指摘されてきた。
だから墨子は、遠征侵略を否定し、防御戦争を行う側にだけ加担し、応援したのである。それは敵の兵站を断つという戦略だった。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%9E%E6%94%BB
近代軍事学の最大権威といわれるクラウゼビッツも、同じことを指摘した。
2011年5月24日 戦略よりも兵站
https://ahiguchi.com/five_cols/%E6%88%A6%E7%95%A5%E3%82%88%E3%82%8A%E3%82%82%E5%85%B5%E7%AB%99/
【戦史家のクレフェルトは「補給戦・何が勝敗を決定するのか」(中央公論新社)で「戦争という仕事の10分の9までは兵站だ」と言い切っています。
第2次世界大戦よりもはるか昔から戦争のあり方を規定し勝敗を分けてきたのは戦略よりも兵站でした。
兵士1人当たり1日3000kcalの食糧をどれだけ前線に送り込めるかという補給力の限界が戦争のあり方を規定してきたのです。 参謀たちが優秀な頭脳を使って立案した作戦計画も多くは机上の空論に過ぎません。
現実の戦いは常に不確実であり作戦計画通りになど行きません。現実の戦闘行為には計画実行を阻む予測不可能な偶発的出来事が満ちているからです。クラウゼビッツはこれを「摩擦」と呼び、その対応いかんによって最終的な勝敗まで逆転することもあると指摘しています(「戦争論」)。史家の多くは「戦争のプロは兵站を語り素人は戦略を語る」と口にしています。】
今朝のニュースが伝えたロシアの兵站の弱点
頭上から「黒い油の雨」が…プーチン、ウクライナドローンになす術なしの深刻事態 「ロシアが誇った『陸の架け橋』、いまや『地獄のハイウェイ』に」 6/8(月)
https://news.yahoo.co.jp/articles/0047eba9b9c9b6173d6ed87aaeb40b350bfcd143
米国戦争研究所(ISW)は、2026年春の時点でウクライナ軍が「ドローン優位」を達成したと評価した。Forbesが6月3日に配信した記事によると「ウクライナのドローンはロシアのトラックなどの車両やその縦隊、燃料貯蔵庫などを攻撃しているばかりか、主要な補給ルートに地雷も投下し始めたと報告されている」。経済誌プレジデントの元編集長で作家の小倉健一氏は「ウクライナが見せているのは、戦争の定義そのものの書き換えだ」と指摘する。
戦争の勝敗を決めるものは何か。長らくそれは、戦車の数であり、砲弾の備蓄量であり、動員できる兵士の頭数だと信じられてきた。物量こそが正義であるという論理は、二十世紀の戦場を支配し続けた。
だが、2026年現在、ウクライナの戦いを眺めていると、その常識が音を立てて崩れていくのがわかる。鍵を握っているのは、巨大な軍事大国の財力ではない。一機あたり数百ドルから数千ドルの、安価な無人機(ドローン)の群れである。
中略
ロシアは5月だけで過去最多の8973機のドローンを撃墜したと発表した。だが、この数字こそが事態の深刻さを物語っている。これほど撃ち落としてもなお、突破した少数のドローンが甚大な経済的損害をもたらしているのだ。
安価な無人機を大量に放つことで、敵の防空網の処理能力を飽和させる。撃墜できても勝てない、という「コスト強要のジレンマ」にロシアは陥っている。
その証拠に、5月末のタガンログ基地への攻撃では、世界に12機から14機しか存在しないとされる希少な戦略通信機Tu-142MRが、安価なドローンによって地上で破壊された。核抑止の一翼を担う代替不可能な機体が、数百ドルの機械に葬られたのである。
巨象の足を一本ずつ切り落としていく
今、ウクライナが見せているのは、戦争の定義そのものの書き換えだ。物量で勝る者が勝つのではない。
より速く適応し、より賢く非対称な手段を見つけた者が、巨象の足を一本ずつ切り落としていく。安価で自律的な無人システムが、はるかに巨大な正規軍の防空網をすり抜け、その兵站と経済の根幹を体系的に崩していく――この現実を、私たちは目撃している。
それは遠い国の出来事であると同時に、これからの世界の戦争がどう形を変えていくのかを示す、最も鮮明な実証実験でもある。
「ドローン優位」を確立したウクライナの戦術は、プーチン政権の経済基盤を揺るがすだけでなく、従来の軍事常識を根底から覆した。
圧倒的な物量を誇るロシア軍が、安価な無人機の群れに翻弄され、頭上からの「黒い油の雨」になす術もなく立ち尽くす姿は、まさに新時代の戦争の縮図と言える。
持たざる者が知略と技術で巨象を討つ――。戦場の主導権が完全に移行しつつある中、このハイテク非対称戦の結末は、ウクライナの勝利のみならず、今後の国際秩序と地球規模の安全保障の未来をも決定づけることになるだろう。
******************************************************************
一部引用以上
世界最大の領土を生み出したものは、強欲と膨張の思想と体質であり、それを許したのは、強力な中央集権体制だった。
世界の帝国主義は、みんな同じように、中央集権が支配できる領土の拡大競争を行った。日本も例外ではない。
しかし、膨張すれば、その分、中央集権体制を維持するのにコストがかかる。領土を拡大すると、それを維持するために幾何級数的な権力と人員と物資が必要になり、国家の力を国土維持ばかりに向けなければならなくなり、内政はスカスカになってしまう。すなわち、兵站の質が落ちてゆく。
戦争は兵站力で決まる。兵站の準備、能力のない戦争は、暴走であり必敗が待っている。
私の父は三河地区から徴兵された。行先は中支戦線だった。最高司令官は、私が生まれた病院に屋敷があった松井石根。陸軍きっての名将だった。
ところが、参謀本部が突然、松井石根を事実上解任した。彼が孫文や蒋介石と内通しているとされたからだ。本当は、11軍、長勇中佐が通州麻薬基地大惨殺の報復をするため、南京の蒋介石国民党軍を住民ごと皆殺しにする計画を建てたため、蒋介石と交流のある松井を遠ざけた。
後に、松井は南京大虐殺の責任を背負わされ、文句もいわず絞首台に向かった。
https://hirukawamura.livedoor.blog/archives/6224635.html
中支軍は、そのままビルマに向かい、インパール作戦従軍命令が出された。
インパール作戦最高指揮官は、牟田口廉也中将といい、やたらと大和魂という精神論を口に出す人物だった。
彼は、兵站が不十分でも大和魂があれば苦難を克服できると決めつけ、2000m級山脈を超えさせてインドのインパールに日本軍を向かわせた。
父は、少しだけ英語が話せたので初期の段階で、通使として英軍と交渉し、その場で捉えられ、敗戦後、体重が半分になって生還することができた。
本軍にいた日本兵10万人は、兵站が崩壊していたため、食べ物もないまま次々に英軍の戦闘機に殺された。
父が所属していた第3師団?、大隊3000名のうち、日本に帰還できたのは100名に満たなかったという。
兵站を最重視した将官は失敗がなかった。牟田口のあまりの愚かさに気づいた司令官(佐藤幸徳)は、軍命を放棄して撤退を指令した。戦争は司令部、参謀ではなく底辺現場の最前線部隊が行うものだったからだ。
さて、ウクライナ戦争に戻る。
このままでは、プーチンはロシア史上最低最悪の敗戦司令官という悪名が歴史に残ってしまう。
私は、2022年段階で、ロシアが追い詰められたなら、必ず核兵器を使用すると予想していた。ボグダンによれば、すでに二回、戦術核兵器の使用が命令されていた。
ところがロシア軍は、中国軍と同じで腐敗の伝統があり、中国軍はロケットの燃料が水にすり替えられていたことが暴露されたが、ロシア軍も同じで、ウクライナに向けて発射された核ミサイルは、爆発しなかった。
理由は、核ミサイルの経年劣化だ。プルトニウムよりも、起爆剤(分割したプルトニウムを爆縮で瞬時に臨界を作りだす)の寿命は短く、数年ごとに変えなければならないが、腐敗した軍上層部によって手を抜かれていたのだ。
地球上の超大国は、ロシア・中国・アメリカである。いずれも国土が大きすぎて、高密度で国土防衛をカバーできないだけでなく、他国を軍事的に恫喝し、侵略するとき、兵站が弱くなることが避けられない。
面積が大きいということは、それだけ防衛コストがかかるということであり、中央集権力が大きくなければならない。
超大国は、体質的に短期侵略しかできないのだ。長期になれば兵站を突かれて敗北する。それがウクライナ戦争であり、今現在、アメリカが中東イラン戦争で手をこまねいて敗北局面に傾いている現実である。
アメリカは、過去にも長い兵站を突かれてベトナム戦争でも敗北し、ロシアもアフガニスタン戦争で敗北した。
支配者は、このことが大きな国家に本質的に付随する問題であることに気づいていなかった。
イラン戦争でも、ベトナム同様に超長期化が避けられず、これからはイランの独壇場になってしまう。トランプは追放されるか、殺害されるだろう。プーチンも習近平も同じだ。
「大きいことは良くないことだ」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%B34%E4%B8%96
ロシアの国是は、「人を力の恐怖で従える」というものだ。
現在でもなお、ロシア人の基本的な人生観、価値観になっているので。ロシアでは競合者を力で叩き潰して強さを誇ることが、最大の価値であると認識が共有されている。
ヒョードルやカレリンがロシア思想の象徴として、もてはやされ、尊敬されるのは、こういうことだ。プーチンが、やたらとタフガイを演じ続けたのも同じだ。
だから、自分たちの領土を一寸たりとも渡したり、譲歩したりすることを拒絶しなければ指導者は尊敬されない。日本の北方領土の歴史的正当性が明らかであっても、ロシアが難癖をつけて返還しない理由も、「他人を力でねじ伏せる」ことが正義であるとの国是、共有された価値観からだ。
もし返還でもしたなら、「弱腰を見せて国土を売った」との世論が湧き出すのだ。
ロシアは膨張体質だ。ロシアの人口は、約1.4億人と日本よりも少しだけ多いが、領土は地球上最大の1710万平方キロ、日本の約38万平方キロの約45倍である。
1990年のソ連崩壊まで、2240万平方キロだったので、ロシア国民は、これを回復することをプーチンに求めてきた。それがウクライナ侵略の本質だ。
ロシア国内でウクライナ戦争の反戦、厭戦世論が爆発しなかった理由は、ロシア国民が膨張主義を容認しているからだ。
ロシアは自国領土を戦争で強奪することで拡大してきたので、ウクライナなど、旧ソ連領土は自分たちのものであり、戦争で復旧することが当然と認識している。
もちろん、プーチンが君臨したKGB→FSBの世論工作や、ロシア最大宗教であるロシア正教がプーチンを全面支持していることも大きい。
ロシア正教の最高司祭=ウラディーミル・ミハイロヴィチ・グンヂャエフ(キリル一世)は、プーチンがFSBトップ時代に送り込んだ世論操作工作員であることが有名だ。
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/29637?page=1
さて、ウクライナ戦争が長期化するなかで、膨大な国土を抱えて、兵站輸送能力の問題から、短期決戦しかできない体質のロシアが、長期戦に引きずり込まれ、いよいよ兵站の弱さを突かれて、戦況の悪化が濃厚になってきた。
これは、ウクライナ戦争が始まった2022年頃から、戦争の専門家が一様に指摘してきたことだ。ロシアの兵站では、3年以上の長期戦争は戦えない…。
最初に兵站の重要性を説いたのは、「孫子の兵法」である。
その80 孫子の兵法〜輸送・補給は、前線部隊を支援するための生命線 2020年6月1日
https://hayashi-hideomi.com/series/7305.html
侵略戦争を行い、地元民を敵に回した兵站距離の長い国は、長期戦を戦うことができないという原理は、すでに二千数百年も前から指摘されてきた。
だから墨子は、遠征侵略を否定し、防御戦争を行う側にだけ加担し、応援したのである。それは敵の兵站を断つという戦略だった。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%9E%E6%94%BB
近代軍事学の最大権威といわれるクラウゼビッツも、同じことを指摘した。
2011年5月24日 戦略よりも兵站
https://ahiguchi.com/five_cols/%E6%88%A6%E7%95%A5%E3%82%88%E3%82%8A%E3%82%82%E5%85%B5%E7%AB%99/
【戦史家のクレフェルトは「補給戦・何が勝敗を決定するのか」(中央公論新社)で「戦争という仕事の10分の9までは兵站だ」と言い切っています。
第2次世界大戦よりもはるか昔から戦争のあり方を規定し勝敗を分けてきたのは戦略よりも兵站でした。
兵士1人当たり1日3000kcalの食糧をどれだけ前線に送り込めるかという補給力の限界が戦争のあり方を規定してきたのです。 参謀たちが優秀な頭脳を使って立案した作戦計画も多くは机上の空論に過ぎません。
現実の戦いは常に不確実であり作戦計画通りになど行きません。現実の戦闘行為には計画実行を阻む予測不可能な偶発的出来事が満ちているからです。クラウゼビッツはこれを「摩擦」と呼び、その対応いかんによって最終的な勝敗まで逆転することもあると指摘しています(「戦争論」)。史家の多くは「戦争のプロは兵站を語り素人は戦略を語る」と口にしています。】
今朝のニュースが伝えたロシアの兵站の弱点
頭上から「黒い油の雨」が…プーチン、ウクライナドローンになす術なしの深刻事態 「ロシアが誇った『陸の架け橋』、いまや『地獄のハイウェイ』に」 6/8(月)
https://news.yahoo.co.jp/articles/0047eba9b9c9b6173d6ed87aaeb40b350bfcd143
米国戦争研究所(ISW)は、2026年春の時点でウクライナ軍が「ドローン優位」を達成したと評価した。Forbesが6月3日に配信した記事によると「ウクライナのドローンはロシアのトラックなどの車両やその縦隊、燃料貯蔵庫などを攻撃しているばかりか、主要な補給ルートに地雷も投下し始めたと報告されている」。経済誌プレジデントの元編集長で作家の小倉健一氏は「ウクライナが見せているのは、戦争の定義そのものの書き換えだ」と指摘する。
戦争の勝敗を決めるものは何か。長らくそれは、戦車の数であり、砲弾の備蓄量であり、動員できる兵士の頭数だと信じられてきた。物量こそが正義であるという論理は、二十世紀の戦場を支配し続けた。
だが、2026年現在、ウクライナの戦いを眺めていると、その常識が音を立てて崩れていくのがわかる。鍵を握っているのは、巨大な軍事大国の財力ではない。一機あたり数百ドルから数千ドルの、安価な無人機(ドローン)の群れである。
中略
ロシアは5月だけで過去最多の8973機のドローンを撃墜したと発表した。だが、この数字こそが事態の深刻さを物語っている。これほど撃ち落としてもなお、突破した少数のドローンが甚大な経済的損害をもたらしているのだ。
安価な無人機を大量に放つことで、敵の防空網の処理能力を飽和させる。撃墜できても勝てない、という「コスト強要のジレンマ」にロシアは陥っている。
その証拠に、5月末のタガンログ基地への攻撃では、世界に12機から14機しか存在しないとされる希少な戦略通信機Tu-142MRが、安価なドローンによって地上で破壊された。核抑止の一翼を担う代替不可能な機体が、数百ドルの機械に葬られたのである。
巨象の足を一本ずつ切り落としていく
今、ウクライナが見せているのは、戦争の定義そのものの書き換えだ。物量で勝る者が勝つのではない。
より速く適応し、より賢く非対称な手段を見つけた者が、巨象の足を一本ずつ切り落としていく。安価で自律的な無人システムが、はるかに巨大な正規軍の防空網をすり抜け、その兵站と経済の根幹を体系的に崩していく――この現実を、私たちは目撃している。
それは遠い国の出来事であると同時に、これからの世界の戦争がどう形を変えていくのかを示す、最も鮮明な実証実験でもある。
「ドローン優位」を確立したウクライナの戦術は、プーチン政権の経済基盤を揺るがすだけでなく、従来の軍事常識を根底から覆した。
圧倒的な物量を誇るロシア軍が、安価な無人機の群れに翻弄され、頭上からの「黒い油の雨」になす術もなく立ち尽くす姿は、まさに新時代の戦争の縮図と言える。
持たざる者が知略と技術で巨象を討つ――。戦場の主導権が完全に移行しつつある中、このハイテク非対称戦の結末は、ウクライナの勝利のみならず、今後の国際秩序と地球規模の安全保障の未来をも決定づけることになるだろう。
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一部引用以上
世界最大の領土を生み出したものは、強欲と膨張の思想と体質であり、それを許したのは、強力な中央集権体制だった。
世界の帝国主義は、みんな同じように、中央集権が支配できる領土の拡大競争を行った。日本も例外ではない。
しかし、膨張すれば、その分、中央集権体制を維持するのにコストがかかる。領土を拡大すると、それを維持するために幾何級数的な権力と人員と物資が必要になり、国家の力を国土維持ばかりに向けなければならなくなり、内政はスカスカになってしまう。すなわち、兵站の質が落ちてゆく。
戦争は兵站力で決まる。兵站の準備、能力のない戦争は、暴走であり必敗が待っている。
私の父は三河地区から徴兵された。行先は中支戦線だった。最高司令官は、私が生まれた病院に屋敷があった松井石根。陸軍きっての名将だった。
ところが、参謀本部が突然、松井石根を事実上解任した。彼が孫文や蒋介石と内通しているとされたからだ。本当は、11軍、長勇中佐が通州麻薬基地大惨殺の報復をするため、南京の蒋介石国民党軍を住民ごと皆殺しにする計画を建てたため、蒋介石と交流のある松井を遠ざけた。
後に、松井は南京大虐殺の責任を背負わされ、文句もいわず絞首台に向かった。
https://hirukawamura.livedoor.blog/archives/6224635.html
中支軍は、そのままビルマに向かい、インパール作戦従軍命令が出された。
インパール作戦最高指揮官は、牟田口廉也中将といい、やたらと大和魂という精神論を口に出す人物だった。
彼は、兵站が不十分でも大和魂があれば苦難を克服できると決めつけ、2000m級山脈を超えさせてインドのインパールに日本軍を向かわせた。
父は、少しだけ英語が話せたので初期の段階で、通使として英軍と交渉し、その場で捉えられ、敗戦後、体重が半分になって生還することができた。
本軍にいた日本兵10万人は、兵站が崩壊していたため、食べ物もないまま次々に英軍の戦闘機に殺された。
父が所属していた第3師団?、大隊3000名のうち、日本に帰還できたのは100名に満たなかったという。
兵站を最重視した将官は失敗がなかった。牟田口のあまりの愚かさに気づいた司令官(佐藤幸徳)は、軍命を放棄して撤退を指令した。戦争は司令部、参謀ではなく底辺現場の最前線部隊が行うものだったからだ。
さて、ウクライナ戦争に戻る。
このままでは、プーチンはロシア史上最低最悪の敗戦司令官という悪名が歴史に残ってしまう。
私は、2022年段階で、ロシアが追い詰められたなら、必ず核兵器を使用すると予想していた。ボグダンによれば、すでに二回、戦術核兵器の使用が命令されていた。
ところがロシア軍は、中国軍と同じで腐敗の伝統があり、中国軍はロケットの燃料が水にすり替えられていたことが暴露されたが、ロシア軍も同じで、ウクライナに向けて発射された核ミサイルは、爆発しなかった。
理由は、核ミサイルの経年劣化だ。プルトニウムよりも、起爆剤(分割したプルトニウムを爆縮で瞬時に臨界を作りだす)の寿命は短く、数年ごとに変えなければならないが、腐敗した軍上層部によって手を抜かれていたのだ。
地球上の超大国は、ロシア・中国・アメリカである。いずれも国土が大きすぎて、高密度で国土防衛をカバーできないだけでなく、他国を軍事的に恫喝し、侵略するとき、兵站が弱くなることが避けられない。
面積が大きいということは、それだけ防衛コストがかかるということであり、中央集権力が大きくなければならない。
超大国は、体質的に短期侵略しかできないのだ。長期になれば兵站を突かれて敗北する。それがウクライナ戦争であり、今現在、アメリカが中東イラン戦争で手をこまねいて敗北局面に傾いている現実である。
アメリカは、過去にも長い兵站を突かれてベトナム戦争でも敗北し、ロシアもアフガニスタン戦争で敗北した。
支配者は、このことが大きな国家に本質的に付随する問題であることに気づいていなかった。
イラン戦争でも、ベトナム同様に超長期化が避けられず、これからはイランの独壇場になってしまう。トランプは追放されるか、殺害されるだろう。プーチンも習近平も同じだ。
「大きいことは良くないことだ」

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